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4月、体育の授業開き。楽しくやりたいという思いから鬼ごっこを実施。
しかし、足の速い子どもが走り回る一方で、すぐにつかまって汗もかかずに突っ立っている子どもたちが目に付きました。しかも、男女が助け合いません。何となくもやもやしたまま、その日の体育の授業開きは終わりました。
授業でのこんな失敗ありませんか?
今回は、子どもたちが大好きで、授業開きに最適な、鬼遊びの指導のポイントをテーマにとりあげました。
ポイント1鬼遊びの基本形をおさえる
鬼遊びを実施する際のチェックポイントを挙げます。
- 安全面が確保されている
- ルールがシンプルで全員にすぐ理解できる
- 鬼も逃げる方も適度な運動量がある
これらの条件を満たすものを、数多く用意しておきます。
鬼遊びには様々な種類がありますが、大きく二つに分けると
A 鬼が一定
B 鬼が一定でない
の2種類です。
Aタイプの代表格が「氷鬼」と「ケイドロ」です。
鬼が変わらない分、逃げる側の復活ルールが肝です。
Bタイプの代表格が「変わり鬼」と「増え鬼」です。
鬼が交代したり増えたりするので、スタート時の鬼の数がポイントです。
この辺りの基本を押さえた上で、どの鬼遊びを実施するか決めましょう。
ポイント2ねらいに応じた鬼遊びに変化させていく
先ほどのAタイプ「氷鬼」を例にしていきます。
まず、基本の氷鬼を実施してみます。「捕まったらその場で氷になって固まり、味方がタッチしたら氷が溶けて復活できる」という実にシンプルなルールです。
この名称とイメージのしやすさは、誰もがすんなりと理解できます。
ここで、ねらいに沿って少しずつルールを変化させます。
「もっと友達同士のしっかりとしたふれあいをさせたい」と思うなら、接触時間の長くなるものや、仲間同士が協力するものを選びます。
この場合なら、氷のかわりに馬跳びの「馬」になって、味方が跳んでくれたら復活できる「馬鬼」や、味方二人が両手をつないで輪を作り、「レンジでチン!」とやってくれれば復活する「レンジ鬼」がおすすめです。
「馬鬼」を選べば、手が触れる時間が長くなる上に、運動量が増えます。ただ一方で、普通の氷鬼と違って跳び箱に関わる技能面が必要になり、安全面の確保への配慮も必要になります。
「レンジ鬼」を選べば、手をしっかりと握るので友達同士の関わりがより深まる上に、3人とも顔も近づけることになります。親密性が高まる分、特に高学年だと抵抗感も出るので、この辺りのさじ加減はやりながら考える必要があります。
ポイント3ねらいに沿ったルールにマイナーチェンジしていく
私は高学年を担任する時、先ほどの「馬鬼」を選ぶ場合が多いです。
理由は、運動量の確保という面に加え、「男女のふれあい」をねらうからです。
高学年になると、男女を意識して、男子は男子、女子は女子しか助けなくなったりします。
単なるタッチと馬跳びだと、意外にも馬跳びの方が抵抗なくふれあいます。
タッチと違い、あくまで「馬跳び」という運動をしている感覚によると考えられます。
それでも、やはり男女の助け合いが見られない時、どうするか。
二つのアプローチがあります。
一つ目は、それをした子どもを取り上げていくというもの。
「女子で男子、男子で女子を助けた人?」と1ゲームごとに全体で確認して称賛することで、「ああ、それが大切なのか」と認識させて、増やしていく方法です。
もう一つは、ルールとして決めてしまうというもの。
「女子は男子、男子は女子にしか助けてもらえません」というものにすると、否が応にも助け合います。
子どもたちは、教育の手を入れずに放っておけば、そのままの状態です。
特に4月は、教師の側で、明確なねらいに沿ったルールを設定することが大切です。
今月の格言
誰もが楽しめる鬼遊びは、明確なねらいに応じてルールを変えよう!