- 研究主任の仕事大全
- 教師力・仕事術
新年度が始まりました。初めての研究主任を任された先生もいらっしゃることでしょう。本連載のバックナンバーを参考に、一年間の見通しをもってよい研究を進めてください!
研究主任がやるべきことは?
あらためて、研究主任が学校でどのような役割を担っているか、まとめておきましょう。
研究主任に期待される働きは、次のようなことです。
- 学校全体の授業力を引き上げる
- 良質な情報を職員室に届ける
- 学校の授業のモデルとなる
- 授業を中心としたファシリテーターとなる
- 授業者のコーチングをする
- 職員室でダイナミクスを起こす
- 一流の講師と学校をつなぐ
- 研究の成果を見える化する
1.学校全体の授業力を引き上げる
研究主任の仕事は、学校のスタンダードと呼ばれる授業をつくりあげることでも、見せかけの研究の成果を打ち出すことでもありません。先生方一人一人の授業力を引き上げることです。
「その研究を通して授業の基礎基本を身に付けることができ、先生たちの授業力向上に役立つだろうか」、いつもそんな視点をもちましょう。
2.良質な情報を職員室に届ける
職員室が良質な情報であふれれば、当然、勤める学校の教育はよくなっていきます。情報は、私たちにとって欠かすことのできない大切な要素です。
「研究のことなら主任の◯◯さんに聞けばいい」と思われるくらいに情報を獲りにいきましょう。もちろん、インターネットのみならず、書籍や雑誌、さらには研究会などに参加し、直接情報を手にすることも重要です。その学校の研究レベルは、研究主任の持つ情報量で決まるのです。
3.学校の授業のモデルとなる
私は研究主任を務めるときには、自分が率先して授業を見せることに取り組んでいました。研究授業の一番手を引き受けたり、「今度、授業をするから」と声をかけて見に来てもらったりということを積極的に行うとよいでしょう。もちろん、「自分よりも◯◯先生がモデルになるなぁ…」という場合もあります。そんなときは、学校全体を研究に巻き込む第一歩となるチャンスです。相手に頼ることもどんどんしましょう。
4.授業を中心としたファシリテーターとなる
研究が職員室に浸透しているのかどうかは、「職員室で研究(授業)の話題が自然にあがっているか」で測ることができます。そのためには、研究主任からどんどん授業の話題をあげていきましょう。さらに、そのような会話が職員室で聞こえてきたら、積極的に輪に入っていき話題を広げていきましょう。職員室の話題を授業に向けてコントロールしていくのも、研究主任の大きな役目です。
5.授業者のコーチングをする
子どもたちから可能性を引き出すのが私たちの仕事だとするなら、研究主任は研究授業の授業者の可能性を引き出してあげなくてはいけません。授業後には、「今日の授業はどうでしたか?」と問うことで、授業者の方がまずは自分で振り返ることを促しつつ、授業者が気付いていない改善点やよい点を示しましょう。
6.職員室でダイナミクスを起こす
ダイナミクスとは集団力学のことであり、人の思考や行動は集団によって影響を受けるということです。つまり、学校の研究も「どのような集団が取り組むか」によって大きく影響を受けるということです。したがって研究主任は、学校の研究に様々な人を巻き込んでいくことを意識して、参加していく人を増やすという気持ちが大切です。
7.一流の講師と学校をつなぐ
研究主任の大きな仕事に「講師選定」があります。研究主任である自分自身が「おもしろい」と思える人かどうかという指標を大切に、「おもしろい!」と思える人を探してみてください。
8.研究の成果を見える化する
一年間の研究が終わったら、デジタルなり、アナログなりで、研究の成果をまとめることがほとんどです。「見える化」するに値する研究になるかは、研究主任の腕の見せ所です。