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この時期の子どもたち
保護者からの相談ごとで、けっこう多いのが、子どもが手を挙げて発表しないことへの不安です。「他の子と比べるわけではないのですが…」と言いながらも、比べて不安になるのが、親心というものです。
参観日で元気よく手を挙げて発表している子どもたちを見たら、手を挙げないわが子の様子に対してますます不安になるのは、当然です。
おうちで、「どうして発表できないの?」とたずねたり、「がんばって発表しようよ」とアドバイスしたりしますが、そういうプレッシャーをかけられればかけられるほど、子ども自身の挙手―発表へのハードルが上がるものです。
たまに手を挙げると、「ほらきた」とばかりに必ず指名されるので、それも子どもにはしんどいことなのです。
たかが発表ですが、親子で深刻に悩んでいる場合もあるということです。その悩みは、教師の思っている以上に深いものですよ。
担任が気をつけたいポイント
@保護者への言葉
できないことをなんとかしようとすると、ますます子どもへのハードルが上がります。挙手―発表のできないことに、あまりこだわらない方が良いでしょう。音読したら声は出ているというのならば、そんなに心配することではありません。
「あなたは、あなたなりにがんばっているんだから、それでいいよ。手を挙げようと思ったら、挙げればいいんだよ」と、言ってあげてくださいとアドバイスしましょう。そして、自分がその子に対して、どんなてだてをうっているかを伝えましょう。
A参観日の授業
参観日の授業を工夫して、そういう不安のある子どもたちを中心とした授業も、たまにはやってみましょう。たとえば、前日に書かせたノートを読み切っておき、「○○さん、いいこと書いてたね。ちょっと読んでくれるかな」と、指名する等です。
B発表しやすくするためのてだて
どんなことにも、技術面と精神面から考えていくことが大切です。
技術的には、人前で話すことのできるように、シミュレーションをつくって練習させましょう。姿勢、話し方、声の出し方の指導をして、練習の繰り返しで自信と技術をもたせます。
精神面では、手を挙げること自体が抵抗になりますから、手を挙げなくても指名するというようなことも、一つのてだてになります。書いたものを読むだけで良いという機会もつくります。
また、自信がないという子どもがほとんどですから、たまたま発表できたときのフォローがとても大切になるでしょう。
さらに、どうしても手を挙げて言いたくなるような問いかけも有効です。
最後の決め手は、聞く子どもにする学級づくりです。子どもたちの聞き方の良いクラスは、当然、どの子も発表がしやすくなります。
多賀先生からのワンポイントアドバイス
挙手―発表ができないからと言って、誰かに迷惑がかかるわけでもないし、他人を傷つけることもありません。書くことがちゃんとできる子どもなら、その面で育てばいいし、将来的に必要になったときに人前でプレゼンのできるような練習をしておけばいいのです。
「今、発表できなくても、いいんだよ」という言葉で、子どもの肩の荷を下ろしてあげましょう。