- 多賀一郎の教師塾
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この時期の子どもたち
松の内も明けて、新しい学期のスタートです。でも、2ヶ月ほどの短い学期です。先生からすれば、ともかく教材のやり残しは作れません。教科によっては少しピッチを上げて進めていきたいところです。まとめの時期でもあります。漢字や計算などももう一度復習しておきたいし、新学年に向けての意識も高めたいし…と、短くても課題がたくさんある時期ですね。
でも、子どもたちや保護者の方も、先生と同じ思いなのでしょうか。そこを読み誤ると、落とし穴に落ち込みかねません。
担任が気をつけたいポイント
保護者に3学期の在り方を伝える
冬休みというのは短くても行事の多いときです。年末年始の忙しい時期が終わり、新学期になって保護者の方もほっと一段落しているときです。
「さあ3学期だ、まとめの時期だから気合いを入れないと!」等という感覚は、一部の方をのぞいて、あまりないようです。そんなときに先生だけが熱くなって気合いを入れても、のれんに腕押しとなって、教師のイライラはつのるばかりです。
だから、保護者に対して、3学期の在り方についての説明を丁寧にしていくべきなのです。通信や保護者会など、あらゆる方法で、3学期の大切さや自分がしていることの意味をくり返し伝えましょう。
子どもたちの思いは、学級の在り方と関係する
学級が崩れてしまった状態、学級が崩れかけている状態というのは、多くの子どもたちにとって居心地の悪いものです。早くクラスが替わってほしいという思いばかりで、先生の話に耳を傾けることはできません。この状態では、3学期にできることは、あまりありません。無理をしないことです。
一方、学級経営がしっかりできている状態では、この時期には子どもたちの自治が強くなってきます。先生がこれまで指導してきたことが浸透し始めて、特に何か言わなくても、子どもたちが自然と良い動きをするようになっていきます。子どもたちはクラスにいることが気持ちよくて、いつまでもここにいたいという感覚になります。
3学期には、そのどちらかがはっきりします。学級の状態によって、子どもの思いが違ってくるということです。もう一度言いますが、崩れかけのときには無理に頑張りすぎない方が良いと思います。育ってきたと感じたならば、それに乗ることです。子どもたちは、どんどん勝手に成長していきます。
6年生は、別格
6年生には、卒業という大きな目標があります。子どもたちには、小学校生活が終わることの寂しさや新しい生活への希望と不安が同居しています。子どもによっては、中学受験をひかえていることもあるでしょう。その結果も3学期にはっきり出ます。しかも、思春期に入っている子どもたちの心はとても繊細で、扱いにくいものです。
3学期の6年生は、そうした複雑な心理にあります。教師は、その中で子どもたちに目指す先を示してあげなければなりません。そういう時期だからこそできる教育が、たくさんあるのです。今の自分たちの小学校での集大成を実感させてあげること。つまり、最高学年としてできることを大切にさせること。中学へ向けての心身の準備をすること。ただ卒業のためのことだけに流されるのではなく、学習面でも、ノートの作り方や学習の仕方など、もう一度確かめ直していくのです。こうした様々な取り組みは、この時期だからこそ成果が上がるということがあるのです。
多賀先生からのワンポイントアドバイス
教育で怖いことの一つに、「空回り」というものがあります。教師は一生懸命に力を入れてやっていても、それが子どもたちや保護者には伝わっていかないことです。そうなると、教師の頑張りは単なるわずらわしいこととしてとらえられてしまいます。
子どもの表情、保護者の手応えを感じながら、自分の信念に従って教育していくのです。それを「空気を読む」ことです。教師自身が、KYにならないように。