- チームリーダーの仕事術
- 学校経営
1 教職員を個別に評価する
教育技術の法則化運動で有名になった向山洋一氏の著書『授業の腕をあげる法則』には、授業の原則十か条が示されており、その一つに「個別評定の原則」がある。子どもを個々に評価することで、伸ばすことができる、ということが書かれている。
この原則は、子どもだけに言えることではない。大人の世界でも同様だ。リーダーが個々の教職員をよく見て、個別に評価することは、その教師とのつながりを強める意味で重要だ。
私は、時間があるとカメラを持って授業観察をしている。子どもが学んでいる様子を見ることが第一目的だが、もう1つ、教師のよさをとらえておきたいという目的がある。
2 拍手の価値づけを子どもにさせようとした授業者へ
例えば、次のようなシーンに出会うことがあった。国語の授業だ。
ある子どもがすばらしい発言をした後、教室には自然と拍手が生まれた。他の子どもたちが発言のよさに感動していることが見て取れた。
このとき、教師が次のように問いかけた。
「拍手をしましたね。どこに対して拍手をしたのですか?」
これは、授業論からみてとても優れた発問で、拍手が生まれるような発言をさせる授業展開をしていることももちろん立派だが、拍手の価値づけを子どもにさせようとしていることに感心した。
授業後、教師にひと声かけた。
「拍手に流されることなく、さらに突っ込んだ発問をされたことに感心しました。まさに本校が目指している『鍛える授業』でした」
と。そのときの教師の笑みが忘れられない。
3 一人ひとりの考えを大切にして話し合いを進める担任へ
放課後、学級目標の掲示物をつくっている教室があった。子どもたちが実に楽しそうに作業をしているので、つい声をかけた。
「楽しそうだね。どうしてその目標に決まったの?」
返答に驚いた。学級目標が決まるまでの経緯を、詳細に教えてくれたからだ。学級目標が決まるまでの話し合いの様子が、とてもよくわかる説明だった。担任が一人ひとりの考えを大切にして話し合いを進めている様子を、子どもの言葉を通して感じることができたのだ。
職員室に戻り、当然だが、担任にこの感激を伝えた。
「学級目標をつくっている子どもから、目標が決まるまでの様子を聞きましたよ。先生がどの意見も大切にしておられることがよくわかりました」
と言う私に、ビックリした様子で「ありがとうございます」という言葉を返してくれた。
いつ学級を訪問しても、きちんと整理されている教室がある。清掃が行き届いている教室がある。雑巾がきちんと干されている学級がある。
これを当たり前の風景と考えてはいけない。リーダーは、自身が学級担任をしていたころを思い出すべきだ。当たり前といえる教室風景は、日ごろの指導の積み重ねがあってこそ実現できるものだ。よくぞここまで丁寧な学級経営ができるものだと感心することがある。リーダーはその価値づけをぜひともしたい。また、そのよさを学年や学校全体で共有したいものだ。
今回のPoint!
個々の教職員をよく見て、個別に評価することで、つながりを強める