- はじめに
- 毎日の授業で本当に役に立つネタ
- 優れた数学授業は「ABCDの原則」を守ることで生まれる
- 1 優れた数学授業は「ABCDの原則」を守ることで生まれる
- 1 「ABCDの原則」とは?
- 2 授業準備に時間がかからない「ABCDの原則」
- 3 数学教師としての「ABCDの原則」
- 2 「説明ネタ」「課題ネタ」「習得ネタ」「教具ネタ」で構成
- 1 説明ネタ
- 2 課題ネタ
- 3 習得ネタ
- 4 教具ネタ
- 3 2年のネタづくりのポイント
- 1 数と式
- 2 図形
- 3 関数
- 4 資料の活用
- わかる!楽しい! 中学2年の数学授業のネタ100
- 式の計算
- 1 式の加法,減法 [説明] 単項式,多項式の説明は極端な例で
- 2 式の加法,減法 [説明] 数の項の次数は何次?
- 3 式の加法,減法 [習得] 自分で一次式や二次式をつくろう
- 4 単項式の乗法,除法 [課題] 指数はどこにかかるの?
- 5 単項式の乗法,除法 [課題] なぜ間違っているのかを考えよう
- 6 単項式の乗法,除法 [課題] 乗除の混じった計算の工夫
- 7 単項式の乗法,除法 [教具] フラッシュ型教材の作成・活用
- 8 文字式の利用 [説明] 文字式で表すことのよさ
- 9 文字式の利用 [説明] なぜ文字式を使うの?
- 10 文字式の利用 [習得] いつでもそうなることがいえるには?
- 11 文字式の利用 [課題] 問題の続きを考えよう
- 12 文字式の利用 [説明] 倍数であることの説明
- 13 文字式の利用 [習得] 整数の性質の証明はスモールステップで
- 14 文字式の利用 [課題] どっちの的が当たりやすい?
- 15 文字式の利用 [習得] 文字を使っていないのに同じ答えになるのはなぜ?
- 16 文字式の利用 [説明] 等式を変形させるわけ
- 連立方程式
- 17 連立方程式とその解 [課題] 表で連立方程式を解くのは大変!
- 18 連立方程式とその解 [説明] 「二元」ってどういう意味?
- 19 連立方程式の解き方 [課題] バナナ1つはいくら?
- 20 連立方程式の解き方 [課題] どちらをどちらに置き換える?
- 21 連立方程式の解き方 [説明] どっちの解き方がいい?
- 22 連立方程式の解き方 [説明] なぜ「分母をはらう」というの?
- 23 連立方程式の解き方 [習得] 部分練習を取り入れよう
- 24 連立方程式の解き方 [習得] 式変形にポイントを絞ってトレーニング
- 25 連立方程式の解き方 [課題] A=B=Cの方程式を解くには
- 26 連立方程式の利用 [説明] 式を見ただけで考え方がわかる?
- 27 連立方程式の利用 [説明] 解き方は違うけど考え方は同じ
- 28 連立方程式の利用 [説明] 文字の定義と解の吟味を忘れずに
- 29 連立方程式の利用 [課題] 問題を解く前に予想しよう@
- 30 連立方程式の利用 [課題] 問題を解く前に予想しようA
- 31 連立方程式の利用 [習得] 食塩水の問題は逆比で!
- 32 連立方程式の利用 [習得] 利用の問題は立式でストップ
- 一次関数
- 33 一次関数の定義 [説明] 一次関数の定義の押さえ方
- 34 一次関数の定義 [説明] 一次関数の判定は式の形で
- 35 一次関数の定義 [説明] 変化の割合を身の回りの話材で
- 36 一次関数のグラフ [習得] 表・式・グラフのつながりを意識しよう
- 37 一次関数のグラフ [習得] 傾きや切片を変化させてグラフを観察しよう
- 38 一次関数のグラフ [説明] 変化の割合とグラフの形の関係を考えよう
- 39 一次関数のグラフ [説明] 変化の割合が一定でなかったら…
- 40 一次関数のグラフ [習得] 穴あきグラフの式を求めよう
- 41 方程式とグラフ [説明] 方程式の解の見える化
- 42 方程式とグラフ [課題] グラフは方程式で表せる?
- 43 連立方程式とグラフ [課題] グラフの交点を連立方程式で求めよう
- 44 連立方程式とグラフ [説明] 連立方程式の解がないことの見える化
- 45 連立方程式とグラフ [課題] 交わらないグラフ
- 46 一次関数の利用 [課題] いろいろな関数のグラフをかいてみよう
- 47 一次関数の利用 [課題] 自分に合った携帯電話の料金プランを探そう
- 48 一次関数の利用 [課題] グラフの形をイメージしよう
- 49 一次関数の利用 [教具] 動点の問題のイメージ化
- 50 一次関数の利用 [課題] 対称移動した直線の式を求めよう
- 図形の調べ方
- 51 角と平行線 [課題] 直線を増やして調べられることを見つけよう
- 52 角と平行線 [課題] 変わらない性質を使って角の和を求めよう
- 53 多角形の角 [教具] 作図ツールで図形を変形させて確かめよう
- 54 多角形の角 [課題] 多角形の内角の和の求め方を考えよう
- 55 多角形の角 [課題] 凹四角形の角度の求め方を考えよう
- 56 多角形の角 [説明] 鉛筆が何回転するか観察しよう
- 57 多角形の角 [教具] 「外角の和は360°」を実物投影機で実感
- 58 証明とそのしくみ [説明] 色分けして証明を整理しよう
- 59 証明とそのしくみ [習得] 自分だけの定義・定理集をつくろう
- 60 証明とそのしくみ [説明] 問題提示は2ステップで
- 61 証明とそのしくみ [説明] 仮定は青信号,結論は赤信号
- 62 証明とそのしくみ [習得] 証明が記述できるようになるためのスモールステップ
- 63 証明とそのしくみ [習得] 合同条件でない条件では合同にならない?
- 三角形と四角形
- 64 図形授業の進め方 [説明] 授業をミステリーツアーにしない
- 65 図形授業の進め方 [説明] 作図は教師も定木&コンパスで
- 66 図形授業の進め方 [習得] 問題の図を自分でかいてみよう
- 67 図形授業の進め方 [説明] 性質と条件の違いを区別しよう
- 68 図形授業の進め方 [説明] 証明は楽を生み出すもの?
- 69 図形授業の進め方 [課題] どんな発想で求めたのかを考えよう
- 70 図形授業の進め方 [教具] 作図ツールで図形を動かそう@
- 71 定義・定理 [習得] 定義・定理のスモールステップ定着法
- 72 定義・定理 [習得] 定義・定理は図をかきながら覚えよう
- 73 定義・定理 [教具] フラッシュ型教材で定義・定理の定着を
- 74 二等辺三角形 [課題] 二等辺三角形を2つに分ける補助線
- 75 二等辺三角形 [課題] 隠れた三角形を探せ@
- 76 正三角形 [課題] 隠れた三角形を探せA
- 77 正三角形 [課題] 問題の条件を変えてみよう
- 78 直角三角形 [説明] 直角三角形の斜辺以外はなんていうの?
- 79 直角三角形 [課題] 合同な直角三角形はどれ?
- 80 直角三角形 [説明] 角を果物に置き換えて考えよう
- 81 直角三角形 [課題] 正三角形にも合同条件はあるの?
- 82 いろいろな四角形 [課題] 条件に合わせて平行四辺形を作図しよう
- 83 いろいろな四角形 [課題] 四角形の関係を考えよう
- 84 いろいろな四角形 [教具] 作図ツールで図形を動かそうA
- 85 図形の面積 [習得] 補助線のひき方をマスターしよう
- 86 図形の面積 [習得] 面積の等しい三角形を見つけよう
- 87 図形の面積 [課題] 三角形の性質を使って面積を求めよう
- 確率
- 88 確率の意味 [説明] 「同様に確からしい」ってどういうこと?
- 89 確率の意味 [課題] 確率が1/2になる例を探そう
- 90 確率の意味 [教具] 袋の中の玉の個数を予想しよう
- 91 確率の意味 [課題] サイコロの目の1が出やすい?
- 92 確率の意味 [課題] サイコロの目の1と2が出る確率
- 93 確率の意味 [説明] 降水確率って何の確率?
- 94 確率の求め方 [習得] より正確に数え上げる方法を考えよう
- 95 確率の求め方 [説明] どんな考え方か推測しよう
- 96 確率の求め方 [課題] どっちの組み合わせが出やすい?
- 97 確率の求め方 [習得] サイコロ問題の集中トレーニング
- 98 確率の求め方 [課題] ガリレオが受けた相談
- 99 確率の求め方 [課題] ドラフト会議でのトラブル
- 100 確率の求め方 [課題] まずは実験ありき
- おわりに
はじめに
私は,常々,授業に向かう教師に対して,「ABCDの原則を守りなさい」と言っています。
もともと「ABCDの原則」は,生徒に学校生活の基本として伝えていることです。
A=当たり前のことを
B=バカにしないで
C=ちゃんと
D=できる人
授業に向かう教師も,この「ABCDの原則」を守るべきだと思っています。
A=当たり前のことを
B=バカにしないで
C=ちゃんと
D=できる教師
特に若い先生方には,厳しく伝えています。
数学教師としての「A=当たり前のこと」は,しっかりとした指導言(発問・助言・説明・指示)を発することができることです。とりわけ,数学的に豊かで深みがある説明がきちんとできることが,最重要だと考えています。
では,なぜ「説明」なのでしょうか。それは「発問・助言・指示」がない授業は存在しても,「説明」がない授業は存在しないからです。
ところが「発問研究」はよく耳にしますが,「説明研究」は聞いたことがありません。そのため「発問」の方が重要と考えがちになりますが,授業の土台をつくっているのは「説明」です。数学教師らしく,論理的で説得力がある「説明」は,生徒の興味・関心を高め,数学の世界に誘います。
こうした「説明」を,自分自身がどこで学んできたのかふり返ってみました。すると,教科書や指導書の行間を埋めるような「説明」は,諸先輩方から,折々に学んできたことに気付きました。ベテラン教師の口伝で身に付けたと言っても過言ではありません。自分の教師生活を冷静にふり返り,自分が受け継いできた事柄を伝えようとしていない己を反省しました。
さて,本書では「説明ネタ」「課題ネタ」「習得ネタ」「教具ネタ」の4つを明記し,100のネタを紹介しました。ベテラン教師が自信をもっておすすめできる授業のネタを整理し,若い先生方にお伝えしたいという思いを込めて書きました。
どれも,単なるネタ紹介にとどまらず,どのように説明して提示するのか,何に留意して説明するのか,生徒の発言をどう受け止め,どうまとめたらよいかといったことを添えています。特に「説明ネタ」という項目がある書籍は,他にないと自負しています。まさにベテラン数学教師の口伝書なのです。
以上のことから,本書は明日からの授業にすぐに役立ち,また数学教師としてより力量を高めるための指南書としても愛読していただけるものと思います。
発刊にあたっては,明治図書の矢口郁雄さんから,実に的を射たご助言をいただきました。細部にわたって神経の行き届いた編集もしていただき,おかげさまで,とても親しみやすく,活用しやすい書籍となりました。改めて感謝申し上げます。
平成26年2月 著者代表 /玉置 崇
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