- 著者インタビュー
- 算数・数学
本書に収録したネタに目を通していただくとよくわかると思いますが、文字通り普段の授業でそのまま活用できるネタをいっぱい詰め込みましたので、このようなキャッチフレーズにしました。これまでにも類書が発刊されていると思われる方にぜひお伝えしたいのです。魅力的なネタでも、普段の授業の流れを変えたり、ネタをアレンジしたりしなくては使えないと思われることはありませんでしたか、と。本書のネタは違います。そのまま使えるのです。
発問や指示がない授業があっても、説明がない授業はありません。説明がきちんとできる教師の授業は、乱れません。生徒が落ち着いて話を聞くことができるからです。上手な説明により理解が深まり、抽象的な事柄にもイメージが浮かぶからです。生徒にストレスが生まれないからです。
本書に収録した「説明ネタ」は、ベテラン教師のこれまでの経験に基づく、このように説明するととても効果的だ、というものばかりです。そのまま教室で生徒に読んで聞かせてもよいような、まさに、“そのまま使える”ネタです。
月刊誌『数学教育』2014年4月号の巻頭にも書きましたが、確かに、課題提示の仕方によって生徒のノリはかなり違います。本書の「課題ネタ」では、単に課題を紹介するだけではなく、どのように提示したらよいのかも書いてありますので、参考にしてください。
玉置流の極意は、「課題提示をする際には聴衆の反応に全神経を集中する」ことです。生徒の気持ちが課題に向かっていないのに、課題を提示しても伝わりません。生徒一人ひとりに「気を送るぞ!」という心持ちで、課題を一気に提示せず、時には間を空けて、生徒をこちらに集中させながら提示をするとよいでしょう。
若いころに先輩から言われた言葉が忘れられません。「玉置君、君はプロの数学教師だろう。どんなに忙しくても右手(利き手)から数学授業を離してはいけないよ。生徒から、さすが数学のプロだと感嘆される教師にならなくてはいけないよ」という言葉です。
生徒が授業にのめり込む「課題ネタ」や「教具ネタ」、生徒がなるほどと納得する「説明ネタ」、力がついたと実感できる「習得ネタ」など、多くのネタの引き出しをもつことは、プロ数学教師の条件の1つだと思います。本書を活用して、多くのネタをぜひ自分のものにしていただきたいと思います。