- はじめに
- 第1章 学校経営の基礎がため
- 1 学校経営案をつくるときのかまえ
- 2 過去の自校や他校の学校経営案に学ぶ
- 3 職員の情報は名簿作成でインプット
- 4 学校組織を精査する
- 5 学校評価は小刻みに
- 6 校長の思いを伝える場を確保する
- 使える校長講話 ABCDの原則【入学式式辞(4月)】
- 第2章 組織力を高める職員とのつながり方
- 7 副校長とのつながり方
- 8 教務主任とのつながり方
- 9 学年主任とのつながり方
- 10 事務職員とのつながり方
- 11 ミドルリーダーとのつながり方
- 12 若手教師とのつながり方
- 使える校長講話 キャベツの芯を育てる【始業式式辞(4月)】
- 第3章 職員の授業力の伸ばし方
- 13 授業者に嫌がられない授業観察法
- 14 「よいところ見つけ」で若手教師を伸ばす
- 15 個別指導で若手教師を伸ばす
- 16 同行授業訪問で若手教師を伸ばす
- 17 研究授業の検討会を充実させる
- 18 外部指導者の招聘による学校経営診断
- 使える校長講話 聞くから聴く,そして訊くへ【集会講話(5月ごろ)】
- 第4章 学校を元気にする特色ある取り組み
- 19 ゲスト道徳
- 20 ミニミニ講演会
- 21 スマホ勉強会
- 22 親子で学ぶ講座
- 23 夜の作品鑑賞会
- 24 あいさつカード
- 25 まなびノート
- 26 「授業を語る」プロジェクト
- 27 「掲示物刷新」プロジェクト
- 28 1人1台情報端末の授業
- 使える校長講話 18と体【集会講話(6月ごろ)】
- 第5章 法規に基づくリスクマネジメント
- 29 過去の校長会資料から「法規ノート」をつくる
- 30 起こりやすい問題を想定したシミュレーション研修会
- 31 不祥事には「自校で起こったら…」という意識で備える
- 32 不祥事の防止は様々な方法で
- 使える校長講話 使ってはいけない言葉【集会講話(9月ごろ)】
- 第6章 保護者,地域の信頼を獲得する学校広報
- 33 学校を「広報する」という概念をもつ
- 34 情報を確実に保護者に届ける工夫
- 35 ホームページは学校広報の最適ツール
- 36 ホームページをフル活用する
- 37 緊急連絡メールを活用する
- 38 小刻みな学校評価と公表
- 使える校長講話 文化は受け取る側がつくる【文化祭閉会式講話(11月ごろ)】
- 第7章 校長ならではの生徒とのかかわり方
- 39 生徒の名前と顔を覚える
- 40 教室や部活動訪問を楽しむ
- 41 生徒が訪問したくなる校長室をつくる
- 42 生徒を鍛える校長になる
- 43 ホームページに生徒を登場させる
- 使える校長講話 授業時間と2時間20分【集会講話(12月ごろ)】
- 第8章 PTA,地域との関係の築き方
- 44 事前相談で関係を構築する
- 45 PTAと課題を共有する
- 46 教育の話を保護者にわかりやすく伝える
- 47 地域コーディネーターを活用する
- 48 広報活動に出かける
- 使える校長講話 一所懸命と一緒懸命【集会講話(1月ごろ)】
- 第9章 学校経営力を高める校長の修養術
- 49 同職と悩みを共有する研究会を立ち上げる
- 50 異業種の方から学ぶ
- 51 地域事業に参加する
- 52 趣味を深める,生かす
- 使える校長講話 3.11追悼「伝える・受け止める」【集会講話(3月ごろ)】
- 第10章 校長実務の必需品
- 53 時系列で書類を保管する封筒
- 54 スキャナー+クラウドサービス
- 55 3台の電子辞書
- 使える校長講話 ABCDの原則と命を大切に【卒業式式辞(3月)】
- おわりに
はじめに
管理職選考で,「校長の職務について説明しなさい」という質問があれば,学校教育法に基づいて,「校長は,校務をつかさどり,所属職員を監督することが職務です」と答える方がほとんどでしょう。
しかし,「『校務をつかさどる』とは具体的にどのようなことなのだろうか。どうもいまひとつはっきりしない」と思われる方も多いのではないでしょうか。「所属職員を監督する」という文言の解釈についても,同様だと思います。
まず,校長の手本としてだれもが思い浮かべるのは,自身が仕えてきた校長だと思います。特に副校長(教頭)時代に仕えた校長は直近なので,大いに参考になると思います。私も校長になる前はこのように思っていました。
ところが,いざ校長になってみると,校長を一番間近で見ていたはずなのに,どのように仕事をしていたのかが,なかなか思い出せないのです。冷静に考えてみると,執務は校長室でされていたので,実際に目にする機会はなく,当然,思い出そうにも思い出せないのです。
新任校長のときでした。先輩校長から,「人事の季節が近づいてきたね。資料をもとに教職員とコンパクトに面接しないと,あなたの学校は人数が多いから時間がかかってしまうよ」と言われたのですが,「資料をもとに」という言葉で,ドキッとしました。恥ずかしい話ですが,そのときは「面接のための資料は,市教委からいつ配付されたのだろうか。どこかに保管したに違いないが,その場所が思い出せない」という状態でした。
面談を始めて気づいたのですが,先輩校長がおっしゃっていた資料とは,校長自身が履歴書等をもとに作成した教職員の詳細資料のことでした。このことは,面接で教職員から気づかされました。
「校長先生,私は定年まであと8年です。この学校で定年を迎えられるほど長くはいられないと思います。校長先生は,私のことをどのように考えておられますか」
という質問を受けたのです。
私は背中に冷や汗をかきました。実は,この教職員の定年までの年数も明確に知らなければ,これまでの歴任校,担当してきた主な校務分掌なども把握していなかったのです。
やむを得ず「先生はこの学校に何年おられるのですか」と質問しました。職員は「7年目になります」と答えてくれましたが,自分が逆の立場なら,「校長はこんなことも知らないで面接をしているのか。やはり新任校長は…」と思ったに違いありません。
「あのとき,先輩校長に資料についてしっかり聞いておけばよかった…」と後悔しました。同時に,「校長としてやっておかなければならない大切な仕事を他にも忘れているのではないだろうか」と不安に襲われたことを鮮明に覚えています。そして,校長の仕事術本がほしいと強く思ったものです。
この『中学校長の仕事術 55の心得』では,6年間の校長職と教育事務所長として校長先生方を指導・助言してきた経験をもとに,「実務がうまくいく」ためのノウハウを記しました。また,校長がどのように働きかけると学校が活性化し,生徒,保護者,教職員から信頼される校長となることができるのかなど,校長としてのあり方も書きました。
校長職を辞して,校長職の大変さをつくづく感じています。この書籍で少しでも仕事のストレスを減らしていただきたいという願いも込めました。
2016年1月 /玉置 崇
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- 明治図書
- 知りたい情報があった2017/4/850代・小学校管理職
- 実践された貴重な内容が豊富に含まれているので、大変参考になりますね。2016/8/750代・中学校管理職
- 中学校校長とあるが小学校校長にも十分参考になる。2016/3/2050代・教委