著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学校づくりを楽しもう!
岐阜聖徳学園大学教授玉置 崇
2016/1/6 掲載
 今回は玉置崇先生に、新刊『実務が必ずうまくいく 中学校長の仕事術 55の心得』について伺いました。

玉置 崇たまおき たかし

1956年生まれ。公立小中学校教諭,国立大学附属中学校教官,中学校教頭,校長,県教育委員会主査,教育事務所長などを経て,平成24年度から3年間,愛知県小牧市立小牧中学校長。平成27年度より岐阜聖徳学園大学教授。
文部科学省「教育の情報化に関する手引作成検討会」構成員,「学校教育の情報化に関する懇談会」委員,中央教育審議会専門委員を歴任。

―本書では、「組織力を高める職員とのつながり方」が詳細に紹介されています。近年の学校現場では若い先生が大幅に増えていますが、そういった若手の先生とのつながり方で玉置先生が意識されてきたのはどんなことでしょうか。

 こちらからつながろうという意識を持ち続けました。
 具体的には、何かにつけてちょっとした一言をかけることです。「学級の掲示物が新しくなったね」とか「授業の雰囲気がいいねえ」とか「いつもシャッキとしているから好感をもたれるんだね」など、いいなと思ったことはできるだけ早く伝えるようにしました。
 このように普段から声をかけていると、「あの対応はまずい」と感じた場面での指導もしやすいものです。声かけを重ねることで、若手との距離が縮まります。

―本書の中では、保護者や地域と連携する取り組みが数多く紹介されています。家庭も地域も多様化する中で、理解を得るだけでも簡単なことではないと思いますが、どうすればこれだけ多くの取り組みが成功するのでしょうか。

 保護者や地域の方の中で学校に関心を寄せていただける方には、伝えることより相談することを重視する姿勢で臨みました。
 私は学校ホームページで、校長の思いを機会あるごとに伝えてきました。それに対してメッセージを送っていただいたり、直接感想を言っていただいたりした方には、お礼とともに、「今度はこのようなことを考えていますが、どう思われますか?」と相談するようにしました。相手はビックリされるのですが、「それはいいですね」と賛同が得られれば、「では、この取り組みに加わっていただけますか?」と巻き込むのです。
 保護者や地域の方に、一緒に学校をつくっていこうと思っていただければ、何事も成功します。

―本書には、行事ごとの校長講話の実例も多数収録されています。講話は、話す内容だけでなく、話し方も大切だと思いますが、玉置先生はどんな点を意識されてきたのでしょうか。

 講話原稿を、何度も何度も口に出して読みます(校長室から聞こえてくる読み練習の声を耳にした職員も多いと思います)。
 ある程度原稿が頭に入ったら、生徒に語りかけるつもりで練習します。言い淀むところは、原稿の流れや言葉が適切ではないところですので、修正を重ねます。そのうちにその原稿に適した話し方が定まってくるものです
 本番では、特に間と話すスピードに気をつけました。800人を超える生徒がいましたので、最後部で聞いている生徒に確実に思いを届けることを意識して話していました。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 校長職を終えてみて、ますます校長の大変さを感じています。校長研修で講演させていただくことがありますが、「これから私の話を1時間聞いていただくより、今ここで寝ていただいた方が皆様にとってはよいのではないかと思います」と口に出るほど、疲れておられる先生方が目に飛び込んできます。
 本書を読んでいただくと、疲れを忘れていただけます。私の仕事術の根底には、校長職を楽しむことがあるからです。「なるほど! こうすれば重責も楽しめるのだ」というアイデアを満載しました。校長が元気になればなるほど、学校は元気になります。本書を参考にしていただき、全国の校長先生に学校づくりを楽しんでいただけることを祈念しています。

(構成:矢口)
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