- はじめに
- 1 玉置流 数学授業づくりの大原則30
- 大原則1 玉置流・授業の定義
- 大原則2 ものわかりが悪い教師になれ
- 大原則3 挙手指名方式をやめよ
- 大原則4 表情発言を積極的にさせよ
- 大原則5 発問後の教師の視線を意識せよ
- 大原則6 生徒の発言を数学の舞台にのせよ
- 大原則7 ノートに再現させよ
- 大原則8 生徒が出力する場面を増やせ
- 大原則9 エレベータートークをさせよ
- 大原則10 間違いを教えるな
- 大原則11 問題が解ければ教えられると思うな
- 大原則12 教科書の数値にこだわれ
- 大原則13 教科書の流れにこだわれ
- 大原則14 教科書の行間をうめよ
- 大原則15 「先生は次に何と言うと思う?」で鍛えよ
- 大原則16 「できる」レベルを示せ
- 大原則17 神様は耳元でささやかない
- 大原則18 生徒は授業を受けるプロであることを忘れるな
- 大原則19 「なるほど!(体の向きを変えて)どう?」方式
- 大原則20 〇×方式で追い込め
- 大原則21 一般化は事例を重ねよ,急ぐな
- 大原則22 特殊化で打開を図れ
- 大原則23 テスト問題は単元前に作成せよ
- 大原則24 生徒の個性を意図的指名に生かせ
- 大原則25 細部にこだわれ
- 大原則26 「これでは国語だ! 数学にせよ!」
- 大原則27 授業を復習から入ることはない
- 大原則28 指導には一貫性をもたせよ
- 大原則29 教材ノートをつくれ
- 大原則30 教師が楽しくなければ生徒は楽しくない
- 2 学習指導要領のここを外すな!
- 1 1年「A 数と式」はここを外すな!
- 2 1年「B 図形」はここを外すな!
- 3 1年「C 関数」はここを外すな!
- 4 1年「D 資料の活用」はここを外すな!
- 5 2年「A 数と式」はここを外すな!
- 6 2年「B 図形」はここを外すな!
- 7 2年「C 関数」はここを外すな!
- 8 2年「D 資料の活用」はここを外すな!
- 9 3年「A 数と式」はここを外すな!
- 10 3年「B 図形」はここを外すな!
- 11 3年「C 関数」はここを外すな!
- 12 3年「D 資料の活用」はここを外すな!
- 3 これを使えば必ず盛り上がる! とっておきのテッパン授業ネタ
- 1 17段目の秘密
- 2 姉妹の日記
- 3 2aと3aの大小
- 4 平面図形の始まり
- 5 握手の総回数
- 6 穴あきグラフ
- 7 カレンダーを見つめる
- 8 ★★と★●のさいころ
- 9 ありさんの道のり
- 10 平行四辺形の面積を求めよう
- 4 授業の腕を磨く! 数学教師修業
- 1 教科書執筆者の授業を観る
- 2 数学の神様と言われる人に出会う
- 3 「生徒は回したいとは思っていませんよ」
- 4 相馬一彦先生の授業を追い求めて
- 5 教育コンサルタント大西貞憲さんの厳しい指摘
- 6 授業構想で力量向上
- おわりに
はじめに
県教育委員会に異動してから,小中学校の様々な教科の授業を観る機会が多くなりました。事務業務で忙殺されていても,学校現場の空気を味わえることもあって,その日の朝は気分が違います。特に自分がこだわり続けている数学授業を観ることができる日は,子どものときの遠足に出かける前のような気持ちと言ったらよいのでしょうか。どのような教材でどのような展開がなされ,生徒はどのようなことを考えるのだろうかと楽しみでしかたがありません。
授業を観せていただき,豊かな発想をする生徒の発言に驚いたり,巧みに生徒の意見をつないでいく教師の姿に感動したりして,改めて授業へのあこがれを強くすることがあります。
一方で,数学授業の原理・原則が崩れているために,生徒の考えが引き出されていなかったり,生徒の意見が収束されず散らかしっぱなしの状態で終わってしまったりする授業や,もう一歩教材研究を深めれば,さらにおもしろい展開になったと思われる授業に出会うと,ついアドバイスをしたくなってしまう自分がいます。
明治図書の矢口郁雄さんから,『スペシャリスト直伝! 中学校数学科授業成功の極意』と題した書籍を出してみませんかとお声をかけていただいたとき,これまでの授業観察で感じてきたことも含めて,自分が考える数学授業の原理・原則について,ストレートに書いてみようという気持ちになりました。この本は,私の数学授業づくりの考え方や,生徒の数学力を高める授業技術,問題を深めたり広げたりするための教材研究の在り方などをまとめた,「玉置流・数学授業づくりの集大成」と言えるものです。
1章には「玉置流・数学授業づくりの大原則」を30項目にまとめて書きました。この大原則は,長年授業に取り組んできて身に付けた,数学授業を成功させるための授業づくりのポイントと授業技術を記したものです。
2章では,「学習指導要領のここを外すな!」と題して,学年・領域別に指導のポイントを明らかにしました。各領域の指導において,絶対に外してはいけない原理・原則を記しました。数学教師として,各領域に向かう際の心構えでもあります。
3章では,私がこれまで取り組んできたネタの中から,厳選おすすめネタを授業の流れに沿って紹介しました。「おすすめのわけ」「教材研究」の項目もあります。最近,「教材研究を軽んじている」というコメントを耳にするようになりました。「教材研究」では,教材を研究することの重要性をつかみ取っていただけると思います。
4章では,主にどのような方々との出会いによって,自分の数学授業力を高めてきたのかを語りました。また,どのような努力を重ねてきたのかも示しました。
数学教師となったからには,生徒が数学への興味・関心をもち,数学的な追究をすることを楽しみ,生涯にわたって数学を友としたいと思わせるほどの授業をしたい,とだれもが願っていると思います。
この本は,こうしたみなさんの願いを具現化するために,少なからず役立つものだと思います。明日の授業からすぐに使える授業技術も紹介しています。授業で試されると,生徒の授業への食いつきが違うことも体感されることでしょう。
4月から5年ぶりに学校現場に復帰しました。日々の授業を観るにつれ,改めてここで示した極意(大原則)は妥当性のあるものであると自信を深めているところです。
平成24年5月 /玉置 崇
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- 明治図書
- 著者が生徒に真摯に向き合い、試行錯誤を重ねて作り上げてきた授業の様子に感銘を受けた。2015/10/1930代・中学校教員
- とても読みやすく、また、授業におけるポイントが明確に示されている。この本に記載されている内容を知って授業に臨むか、知らないで臨むかでは、大きな大きな差になると感じた。2015/5/3140代・学力向上担当