- 学級リーダー
- 学級経営
ポイントは、“クラスのみんな”が変わる!
新学期が始まって約2か月。この連載を見ているみなさまの学級は、きっとうまく軌道に乗り、来春3月の学期末、笑顔いっぱいで進級・卒業する子どものイメージができていることと思います。
さて今回、そんなみなさま方にはさらなるスキルアップができ、うまくいかないと嘆いているまわりの同僚、友人先生のためにも新たな提案ができる新情報を、連載することとなりました。その名も題して「“学級リーダー”で集団が劇的に変わる!新システム&活用アイデア」。
学級経営上、集団をコントロールする方法や手段は、いろいろあります。その多くは教師が仕掛け、子どもがそれに反応し、秩序が形成されていきます。
今回は、そんな集団を劇的に変化させる新たな仕組みをご紹介します。このシステムの素晴らしいところは、一部の子ども、または多くの子どもが変化するのでなく、すべての子どもが変容していくところです。
“リーダー選び”は酋長にならえ!
ポイントは、リーダー選びの方法にあります。みなさんは、学級のリーダーを選ぶ仕組み、どうしていますか? 立候補、推薦、選挙、じゃんけん? それとも先生が指名? このシステム、正確には「多段階信託変更リーダー選出システム」といいます。子どもたちが、自分たちの集団をよりよく向上させていく自治的なリーダー選びの仕組みになっています。
この仕組み、ネイティブの部族などでの、酋長の決め方がモデルだとも言われていますが、自分の思いや意志決定を人に託していくというスタイルのリーダー選出方法です。
新システムを導入しよう
【不変のルール】
- 立候補はなし。全員がリーダー候補です。
- それぞれ、自分にとって都合の良い、託せるリーダーを1人だけ選びます。
- リーダー選出のため各自が記入する用紙紙には、@自分の名前、A日付、B託す人の名前、Cその理由を書きます(写真参照)。
- 託す人の名前は以下の3パターンから選びます
- 自分以外
- 自分
- 白票
【集計は名票】
- 自分以外の時〜選んだ子の出席番号を書く
- 自分の名前を書いている時〜○を書く
- 白紙の場合〜△を書く。「正の字」を書きながら集計(下記の集計表)
名前 | 信託先 | 集計 | 順位 | |
---|---|---|---|---|
1 | A | 5 | 2 | 5 |
2 | B | 13 | 1 | |
3 | C | ○ | 3 | 4 |
4 | D | 5 | 1 | |
5 | E | ○ | 10 | 1 |
6 | F | 17 | 1 | |
7 | G | 17 | 1 | |
8 | H | 13 | 1 | |
9 | I | 5 | 1 | |
10 | J | △ | 1 | |
11 | K | 1 | 1 | |
12 | L | 13 | 1 | |
13 | M | 5 | 4 | 2 |
14 | N | 3 | 1 | |
15 | O | 5 | 1 | |
16 | P | △ | 4 | 2 |
17 | Q | 3 | 1 | |
18 | R | ○ | 2 | 5 |
19 | S | 19 | 1 | |
20 | T | 17 | 1 |
〈ワンポイント解説〉
- 実際に使用した集計表得票の最も多い子をリーダーとします。
- 委員長やリーダーは普通、1学期間、または前期(後期)間変えないことが多いですが、この仕組みは、いつでも、何回でも、変更自由です。ここがポイント!
- リーダーの任期は、最多得票者でなくなるまでとし、毎週、集計結果を公表します。
- 得票上位者の5人は、順位、票数、名前を公表します。
新システムのここに注目!
@ 「託す」ってどういうこと?
「託す」とは、すっかり任せることです。その人の最終的な判断や決定に添うことです。自分が託した人が、自分の思いを裏切ったり、信頼できなくなった場合、その週に信託者を変更することができます。すると、その変更が票数の変化を生み、リーダーが交代する可能性を持っています。
「どうする」という結果で物事を考えるのでなく、この人の考え、判断ならどんな提案をされても信頼・賛同できるといった、「人物」を見て判断することになります。
A 1人でもリーダー!
「人は約60兆の細胞でできている」といわれています。その60兆の細胞のリーダーは、一人ひとりなのです。体によくない食事をしたり、あるいは食事をとらなかったり、また睡眠が十分でなかったり、いつもくよくよしてマイナス思考だったりすると、その人の体や心は不健康になり、体が不調を起こします。状態が悪くなると、健康だった細胞が癌になったり、機能が低下します。
反対に、規則正しい食生活、睡眠、心の安定した状況で過ごしていると、すべての細胞が元気に働き、活力ある生活を送ることができます。
60兆の細胞を生かすも殺すもその人の考え方、行動の仕方にかかっているのです! そういう意味で、人間は1人でもその体を形作っているリーダーなのです。
託された票の流れをみてみよう
そんな一人ひとりの思いや考えを託し、リーダーを選出していきます。それでは、リーダー選出の流れを、図を使って説明してみましょう。
先ほどの表を図にしたものが下記になります。
- Eは、AとDとIとMとOに信託された10人の国の国王です。10人の国の未来は、Eに掛かっています。
- 同様に、Aは、Kに信託された2人の国の国王です。2人の国の未来は、Aに掛かっています。
- 実は、Kも、60兆の細胞に信託された国王です。60兆の細胞の未来は、Kに掛かっています。
※ループの場合
- ループ外得票の最多者の信託投票のみ無効(白票)とします(図の「×」部分)。
- 票数が同じ場合は、本人の信託更新日時の古い方を上位とします。
リーダーに選ばれた子には、クラスのことで独自に判断決定していい権限を、年度当初は少しずつ、その後は様子を見ながら増やしていきます。
最初は、班や座席について決定する権限を先生がリーダーに託し、リーダーの子どもに任せて決めてみるのがおすすめです。
実際に集計をためしてみると、きっと疑問に思う点など出てくると思います。それぞれには意味があるのですが……それは次回以降に解説していきましょう。