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学校現場では区切りの時期が近づいてきました。6年生は卒業へ向けて、他の学年は修了式に向けてラストスパートの時期です。子どものコンディションとしては、充実した空気感でクラスがまとまっているところが多いのではないでしょうか?
最後に手綱をゆるめてしまうと、これまで1年かかって築き上げてきたもののクオリティーが下がり、もったいない学級納めをする残念な締めくくりにもなりかねません。
今回は、そんな最後の締めくくりにも有効に機能するリーダー選びシステムのポイントを、用語解説も兼ねて総点検しましょう。
「信託得票数」は人の良さをも数値化する!
リーダーを多数決で選ぶのでなく、多段階で積み上げた信託による票数の合計で選ぶこのシステムの一番「要(かなめ)」の数字、それがこの「信託得票数」です(下写真、表の左から2列目)。どれだけ多くの友達から信頼を集め、信託された票を積み上げているか、それを表しています。
これまで、人間性や親切さ、優しさや愛の大きさは、なんとなく感じるもので、数値化できないものでした。しかしこの仕組みを使うと、それぞれの人が、自分のことをこの人にならすべて託していいと信託することで、「人の良さ」が数値化されます。その数値が大きいほどリーダーに適していると判断され、その集団に関わる決定権をもつリーダーになります。

1票の重さは「ループ」で分かる!
Bの1票は8票の重み 信託した者同士が信託していた場合、つまり「AがBを、BがAを信託した場合」それ以外の票の多い方からの矢印が消え、多い方へ票が加算されます。例えばAが10票、Bが8票集めていた場合、多い方のAから少ない方のBへ向けて信託していた矢印が消え、AがBの票を加算し、18票の票数になります。
これは、1人1票は権利としてもっているけれど、10人から信託されたAがもつ1票の重さと、8人から信託されたBの1票の重さには違いがあることをシステムとして反映させています。
同じように、これが3人、4人とループの人数が多くなってもそのルールが適用されます。
同数の場合は「決断順」が決め手!
信託得票数が同じ場合は、本人の信託更新日時の古い方を上位とします。これは、より早い時期からその決断をしていたということを優先させるという考え方です。
手作業で、このことを反映させようとすると大変ですが、アースリーダーズクラブに1人操作用のページがあるので、それを利用すると一目瞭然です。
リーダーの安定感を知るには「最大信託率」を見よ!
これはリーダーをはじめ、その子の信託具合の安定感を知る数字となります。例えば10票の得票がある子を例にとって説明します。
10人の友達からそれぞれ得票があった場合、最大信託率は10%になります。この数字が小さいほど、多くの友達から信託され安定した得票であることが言えます。
10票得票したうち、8票もった1人の子がその子を信託した場合、最大信託率は80%になります。これは、この8票持った子が別の子を選んだり、自分で自己信託した場合には一気に8票を失うことになり、安定していない危うい得票ということになります。冒頭の写真で、表の左から3列目を見ると、1位の子どもは多くの子どもたちから票を得ており、最大託票率の低い安定したリーダーであることが分かります。
安定したリーダーの条件は、最大択票率が低いこと、もしくは最大択票率を握る多くの得票をもち、自分を信託している子から絶対の信用・信頼があることになります。
回数よりも「在位期間」に注目!
文字通り、リーダーであった期間をあらわします。1年間を振り返ったとき、どの子が一番リーダーとしてみんなから信託されていたかということが分かります。リーダーになった回数は多いけれど、なる度に失策を犯しすぐにリーダーを変えられ在位期間が短い子がいれば、回数は少ないけれど安定してリーダーをした期間が長く、結果としては在位期間が長い子がいたりします。
「キャスティングボード」を握るのは意外な子ども?!
私のクラスは男子9名、女子8名、合計17名の子がいます。リーダーを選ぶとき、男子が意思統一して誰かを組織的に選ぶと女子のリーダーが誕生しません。
一時期、男子のリーダーがずっと続いた期間がありましたが、それを不満に思った女子が男子票を切り崩す作戦を立てそれを実施したことがありました。そうすると、男子のリーダーに若干の不満をもち、女子から「お願い〜!」と頼まれて動くのは、日頃立場の弱い子だったりするのです。
その子が女子に翻った瞬間、リーダーが男子から女子に変わりました。すると今まで安定してリーダーだった男子は、もう一度リーダーに返り咲きたいため、結束した女子票を切り崩すのではなく、翻った男子の説得にかかるのです。するとこれまで立場が弱かった子がリーダー選びのキャスティングボードを握ることになります。その子はどちらに票を入れる方が自分にとって都合がいいかを考えます。これまでより自分を大事にしてくれる子を結果的には選んでいくので、立場の弱い子が生き生きと過ごせるクラスの環境が、このシステムでつくることができるのです。
つまり、キャスティングボードを握るのは、先ほど説明した信託得票数が多く、最大信託率が低い子になります。この子が誰を選ぶかでリーダーが決まるからです。実はこの場合、こういった子が影のリーダーになるのです。
「順位、票数の公表」で理想をめざせ!
誰かが信託する子を変えてリーダーが変わる度、信託した部分(子どものニックネーム)は隠してあとのデーターは公表します(冒頭写真の右側の表)。積み上げられた得票数が多い順に一覧になるので、貼り出した瞬間、子どもたちはそれをじっと眺めてそれぞれの思いを巡らせます。
「新しいリーダーを歓迎するとともに、このリーダーを支持していくためにはどうしたらいいのか?」「意中の子をリーダーにするにはどうしたらいいのか?」「自分がリーダーになるにはどうすればいいのか?」……
結果、その後の過ごし方や、友達への接し方が変わってきます。このとき、本来理想とするリーダーの人間性に気付き、そうなろうとする力がクラス全員の子に働けばいいのですが、最初からそうはいきません。
「私をリーダーに選んでくれたら、席替えでいい席にしてあげる」などと、交渉の相手にそんな話を持ちかけても当然OKです。しかし、そうやって集めた票は、どこかで成立しなくなり、「いい席にするって言ったから選んだのにそうでもないからリーダー変える」という流れになります。

参謀役には「歴代リーダー」を付けよ!
子ども集団の自治、仲間づくりについては、教師がここぞという場面で介入しますが、基本的にはリーダーに任せています。
リーダーが解決できないような問題があったとき、すぐに先生を頼らせるのではなく、歴代リーダーの活用を示唆しておきます。これまでリーダーをした経験があり、在位期間が長かったり、最大信託率が高い友達を参謀に付ければ、問題が結構解決してきます。1年間の振り返りは、現リーダを中心とする歴代リーダー集団で行えば、素晴らしい有終の美が飾れると思います。
今年度は、もうすぐ終了ですが、このシステム、来年度ご活用いただければ、これまで経験したことのない学級経営の領域に入れると思います。ぜひご活用ください。
- 本連載で紹介の「多段階信託変更リーダー選出システム」の集計サイト「アースリーダーズクラブ」
http://www.earth-leaders.com/
