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『学び合い』のテクニックは多面的で重層的です。今回は見取りです。『学び合い』は教師が何もしていないと誤解されています。しかし、もの凄く色々なことをしています。そしてぼーっとしているようで、いや、ぼーっとしているからこそ見えるものがあることを分かっていただければと思います。
分かるわけ無い、と思うことです。
水が気体であるとき、その一つ一つの運動を記述し予測することは現代科学でも不可能です。それは液体状態の水分子でも同様です。しかし、集団としての液体の挙動は予測できます。だからコップで水が飲めるのです。そして、水が固体になるとき、さらに正確に予測できます。
教育における見取りにも様々なレベルがあります。見取りには子ども一人一人の見取りというミクロな見取りがあります。さらに、個々人が緩い関係を持った集団の見取りがあります。そして、個々人が強い関係を持った集団の見取りがあります。既刊書に多くあるのは個々人の見取りだと思います。いわゆる「○○タイプ」に分類する見取りです。
しかし、それは可能性の高い一つの見取りであって、必ずしも正確ではありません。より精度を高めるためには集団としてみること、そして集団の凝縮力を高めることなのです。
こう考えてみるとき、個人レベルの見取りの限界の危うさが分かると思います。
そのような子に対してどのようにアプローチしたら良いかは、「会話形式でわかる『学び合い』テクニック」の第2弾の『気になる子への言葉がけ入門』に書きました。詳細はそれを読んでいただきたいと思いますが、簡単に言えば、そのような子に教師がアプローチをしても効果が無いのです。だから、そのような子にアプローチするのでは無く、教師のアプローチが有効な子を中心とした集団づくりが有効です。
例えばです。ある子ども同士がケンカをしたとします。ケンカの当事者の子どもが見れば、おおよその原因と経過が分かります。多くの場合、その見取りのもとに指導に入ります。しかし、それで間違うことがあります。仮にあっていたとしても、そのように見られていると思ったら素直に聞けなくなる子もいます。分かっていても、分からないかもしれない、と思う方が良いのです。
『学び合い』は一見、誤解される姿も多いです。しかし、その根幹は、ごくごく当たり前のことを大事にしているのです。ただ、みんなが知っていて、みんなが大事にしていること、それをもう一歩進めると、今とは違うことが見えます。それを知っていただきたい。
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