- 著者インタビュー
- 学級経営
まず、決してやってはいけないことから言いましょう。この本を教室に持っていって、トークをそのまま読み上げるということをしてはいけません。“そんな人はいるはずがない”と思うかもしれませんが、教室に教科書の指導書を持ち込んで授業をやっている人を見たことがありませんか?
便利なトーク例がたくさん収録してあります。それらを参考にして、担任として生徒に伝えたいことを思いを込めてはっきりと語ってください。生徒との言葉のキャッチボールを楽しんでほしいと思います。
まず、学級担任が、学級づくりを“楽しむ”という精神を忘れないことだと思います。例えば、「担任も参加しておかわりジャンケン」(2年編、p.50〜51)というアイデアを紹介していますが、これは担任も生徒と一緒に学級生活を楽しむ精神を具現化した例です。
いわゆる“ノリがいい”教師になると、生徒のノリもよくなってきます。心が通い合った証です。教師も生徒も、教室で心の開放が自然にできるようになれば、いつも笑みがある温かい学級になるでしょう。
所見が書き難い生徒は確かにいますね。私は「今日はあの生徒をしっかり見るぞ」と心に決めて、教室に出かけていました。授業でも意識して注視します。すると、その生徒のよさが見えてくるのです。清掃道具箱の汚れまで気づいて黙って掃除をしている姿を見たときは、感動して一気に所見を書きました。懇談会のときに保護者から「先生は本当によく見てくださっています」とうれしい言葉をいただいたことがあります。
生徒への語りに心を注ぐことが大切です。どの生徒も、はじめは教師の話をしっかり聞こうと思っています。それが、あるときからだんだん聞かなくなり、教室全体にザワザワ感が生じてくることがあります。生徒が教師から離れてしまった失敗例です。その原因として、日々の教師の話がムダに長かったり、聞いてもあまり意味がなかったりすることが考えられます。
本書のトーク例を参考に、伝えたいことを1つか2つに絞り、端的にズバリと話す習慣をつけてみてください。人の話がよく聞ける学級は、まとまりがあるものです。
「ストーブ談義」という言葉を知っている方も随分と少なくなったと思います。かつて職員室では、ストーブを囲んで、若手教師が先輩教師から、学級づくりのアイデアや押さえるべき仕事のポイントを聞いたり、行事前に学級担任として語るべきことを教えてもらったりしていたものです。とても豊かな学びがありました。本書は、その学びを紙上で再現したものです。読めば読むほど、学級づくりへのアイデアが浮かんでくることと思います。こんなことを話してみようというネタも生まれてくると思います。本書を大いにご活用ください。