きょういくじん会議
まじめなニュースからやわらかネタまで、教育のことならなんでも取り上げる読者参加型サイト
読書の秋に文学賞めぐりはいかが
kyoikujin
2007/9/17 掲載

 だんだんと涼しくなって秋が近づいてきた。そんな秋の夜長には、子どもも大人も読書を楽しみたい。しかし、読書好きの人ならともかく、普段あまり本を読まない人が書店に行っても、簡単におもしろい本を見つけるのは難しいのではないだろうか。最近では、ポップなどでおもしろい本や売れ筋の本を紹介している書店も多いが、まずは文学賞受賞作品から読み始めてみるのはどうだろうか?

世界のノーベル文学賞

 文学賞といってまず初めに思い浮かべるのは何だろうか? さまざまあるとは思うが、世界的には、ノーベル文学賞があげられそうだ。ノーベル文学賞は、ノーベルの遺言によって1896年に設けられた賞。日本人では、1968年に川端康成氏が、1994年に大江健三郎氏が受賞している。近年では、村上春樹氏が候補にあがったことが記憶に新しい。
 ノーベル文学賞の特徴は、基本的に作品に対して送られる賞ではなく、作家の作品や活動全体に与えられるものであるということだ。そのため、受賞作品というものはないが、川端康成氏や大江健三郎氏のさまざまな作品を手にしてみるのも良いだろう。

どの賞がお好み? 日本のさまざまな文学賞

 日本にも文学賞は数多くある。有名なのは、芥川賞と直木賞だろう。必ずニュースにもなり、話題性もある。
 しかし、そのほかにも、日本には数多くの文学賞が存在する。例えば、最近では、9月8日に文藝賞が発表された。この賞は、河出書房新社が設立。この賞は、2001年に高校生だった綿矢りさ氏(2004年に芥川賞を受賞)が『インストール』で当時最年少記録で受賞し、話題になった。
 そのほかにも、推理小説に贈られる江戸川乱歩賞からホラー小説に贈られる日本ホラー小説大賞と、調べてみるとこんなに文学賞はあるの?と驚くほどある。ちなみに、文学賞受賞作品を探すには、文学賞.comが役に立つ。また、『文学賞メッタ斬り』シリーズ(PARCO出版)という本もあり、さまざまな文学賞の内容に詳しいうえ、文学賞への辛口批判もしており、おもしろい。

書店員が選ぶ本屋大賞が好評

 最近、注目されている文学賞の一つに本屋大賞がある。本屋大賞とは、書店員さんが、過去一年間、自分で読んでおもしろかった本に投票してそのNo.1を決めるという賞。多くの文学賞のように、大御所作家の先生が最終選考で審査するのではなく、一般の書店員さんが純粋におもしろかったものを選ぶのが特徴。普段本をあまり読まない人が手に取りやすい賞かもしれない。
 過去の作品を見ると、小川洋子氏の『博士の愛した数式』、恩田陸氏の『夜のピクニック』、リリー・フランキー氏の『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』と大ヒット作品が並ぶ。2007年の受賞作、佐藤多佳子氏の『一瞬の風になれ』も現在大ヒットしているという。

 もちろん、文学賞受賞作品が必ずおもしろいというわけではないだろう。しかし、本を選ぶきっかけにはなるかも知れない。小さな文学賞の新人受賞者に注目して追い続けてみるのもよし、好きなジャンルの文学賞受賞作だけを読むのもよし、楽しみ方はいろいろありそうだ。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの受付は終了しました。