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2007年ノーベル賞続々発表―「数学賞」がない理由とは?
kyoikujin
2007/10/14 掲載

 「大人になったらノーベル賞をとる!」―小さい頃、こんなことを夢みていた人は周りにもいるのではないでしょうか。ノーベル賞といえば、言わずと知れた栄えある国際的な賞です。2002年に小柴昌俊、田中耕一がそれぞれ物理学賞、化学賞を受賞したときは大ニュースになり、科学者を目指す子どもがふえたとかふえないとか。そのノーベル賞が今月の頭から発表されています。今年は去年に続き、村上春樹が文学賞の候補になったということが話題になりました。

 ノーベル賞は、ダイナマイトの生みの親であるアルフレッド・ノーベルの遺言によりつくられた賞で、物理学賞、化学賞、医学生理学賞、文学賞、平和賞、経済学賞 の6つの部門があります。特に科学の分野においては権威のある賞ですが、これらの賞を並べてみると、「物理学賞や化学賞があるのなら、数学賞だってあってよいのでは…」という気になりませんか? そういえば、数学は自然科学において欠かせない分野であるのにどうしてノーベル賞には数学の賞がないのでしょう?
 実はこれについては諸説あるのですが、有力とされる一説によると、ノーベルの恋敵である数学者、ミッタク・レフラーがノーベル賞を受賞してしまうことを危惧してのことだそうです。
 このことに関して、お茶の水女子大学教授で数学者の藤原正彦は、小説家の小川洋子との対談『世にも美しい数学入門』(ちくまプリマ―新書)の中で、「日本にとっては大損害」、「数学にノーベル賞があったら、二十はいってると思います」と述べています。「ノーベル数学賞」があれば子どもたちが数学者に憧れるきっかけになったかもと思うと、なんだかもったいないような気もしてきますね。
 ちなみに、ノーベル賞に数学部門がないことから、カナダ人数学者ジョン・チャールズ・フィールズの提唱によって「フィールズ賞」という賞がつくられており、4年に1度国際数学者会議(ICM)によって授与されています。ただし、ノーベル賞は功績を称えて与えられるので同じ人が何回も受賞できるのに対し、フィールズ賞は人に対して与えられるので各人が1回しか受賞できません。また、受賞者は40歳以下に限られているなどの条件もあり、少し賞の性質として異なる部分があるようです。ノーベル賞が国際的な賞であるだけに、ノーベル賞にその部門がない学問自体が低く見られてしまうという批判もあるようですし、やはり自然科学においてノーベル賞に匹敵する賞はないのでしょうか…。

 とにもかくにも、各国にとって影響力の大きいノーベル賞。その発表は一大イベントといえるでしょう。まだ決まっていない今年の経済学賞の受賞者は、明日15日の発表になります。

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