きょういくじん会議
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ハイテク・マンガ・英語で魅了―留学生獲得への取り組み
kyoikujin
2008/6/30 掲載

 近年、経済的な理由などから、各国で留学生の受け入れを積極的に行う取り組みが進行しているようです。
 日本でも、外国人学生の数は年々増えており、JASSO(日本学生支援機構)によると、今年の5月に日本で学ぶ外国人留学生は、118,498人。各大学も、より多くの生徒を獲得するための事業の一環として、これに注目しているようです。

 IIE(Institution of International Education)によると、国際的に留学先として人気があるのは、やはり米国や英国などの英語圏。日本は、第7位となっています。それでは、留学先に日本を選ぶ海外の学生にとって、その魅力はどんなところにあるのでしょうか。

 留学などの国際的な斡旋事業や奨学金制度で知られるフルブライト・ジャパンのホルムズ氏によると、アジアから日本に来る学生は、ナノテクノロジーなどといった、日本が得意とする最先端技術の習得を目的としている学生が多いそうです。

 先日の記事でもお伝えしましたが、現在日本で学ぶ留学生の中でも、中国からの学生が71,277人(JASSO)で、ダントツの首位をマークしています。やはり、大きな言葉の壁を乗り越える上で、漢字という言語の共通点は、とても有利に働くようです。そうした留学生のほとんどは、日本の大学で勉強した後に自国へ帰り、学んだことを生かして国の発展に大きく貢献しているようです。

 また、欧米の学生については、日本のポップカルチャーのひとつ、マンガやアニメを勉強するために日本を留学先として選ぶ学生が増えているとのこと。マンガやアニメーションの学科を設ける大学は日本に20校近くありますが、2006年には京都精華大学でマンガ学部が設立され、話題を呼んだことが記憶に新しいかもしれません。

 こうした留学生増加の背景には、大きく2つの要因が挙げられるのではないでしょうか。1つめは、中国などでは大学に入るための競争が激しく自国での進学は難しいが、就職などで有利になるために、学ぶ場所を求めて海外の大学を進学先の1つとする学生が増えていること。2つめは、出生率の低下に伴い、学生数が減少する中で、大学が生き残るために、多くの留学生の受け入れに力を入れ始めていること。

 ほとんどの授業を英語で行う早稲田の国際教養学部のように、英語で行われる授業の割合を増やす大学は増えており、日本でもアジアやその他の地域からの留学生獲得に向けた取り組みが始まっています。国際社会で生き抜いてゆくためのグローバルな視点は、これから社会に出て行く学生だけでなく、大学側にも求められているのではないでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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