きょういくじん会議
まじめなニュースからやわらかネタまで、教育のことならなんでも取り上げる読者参加型サイト
指導要領「解説」算数編(1)―スパイラルの内容が明らかに
kyoikujin
2008/7/3 掲載

 1日、文部科学省より「小学校学習指導要領解説」が公表された。
 総ページ数が221ページと最も多い「算数編」(ZIP)。その内容を新学習指導要領「算数」のキーワードの一つ「スパイラル」に注目して、みていくことにする。

 「スパイラル」とは、学年間や小中学校間で、一部の内容を重複させ、発達や学年の段階に応じて反復学習を行なうことで、新学習指導要領では、重複させる下の学年で「簡単な場合について」というような言葉を使って示されていた。今回公表された「解説」では、その「簡単な場合」が明らかとなった。

 第1学年の「簡単な3位数」「簡単な2位数の加法・減法」を例として紹介することにしよう。これらの項目はこれまで第2学年で行なわれてきたが、新学習指導要領の第1学年の内容に、

A 数と計算
(1)
カ 簡単な場合について、3位数の表し方を知ること。
(2)
ウ 簡単な場合について、2位数などの加法及び減法の計算の仕方を考えること。

というように追加された。この「簡単な場合」とはいったい何か。
 「解説」によれば、「簡単な3位数」は、

・・・簡単な場合とは、120程度までの3位数である。

と指導する3位数の範囲が限定されている。また、「簡単な2位数の加法・減法」では、

簡単な場合とは、次のようなものである。
(1) 十を単位としてみられる数の加法、減法
 ここでの十を単位としてみられる数の加法及び減法とは、例えば、20+40や70−30である。これらの計算は、十を単位とした数の見方に関連させると、それぞれ、2+4、7−3を基にして考えることができる。
 なお、和が100を超えるような計算は第2学年で扱う。
(2) 繰り上がりや繰り下がりのない2位数と1位数との加法、減法
 ここでの2位数と1位数との加法及び減法とは、例えば、13+4や20+5のような繰り上がりのない加法、15−2や38−8のような繰り下がりのない減法である。

と、計算式が限定されている。これらは、第1学年の「2位数」「1位数の加法・減法」を発展させたものであり、第2学年の「2位数の加法・減法」の素地となるものである。

 このようにスパイラル学習の具体的内容が明らかとなった算数は、以前の記事でもお伝えしたように、来年度からの移行措置でほとんどの内容が前倒しで実施されることになっている。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの受付は終了しました。