きょういくじん会議
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少子化時代、生き残りをかけた私立学校の経営戦略
kyoikujin
2008/10/2 掲載
消える大学残る大学―全入時代の生き残り戦略

 このたびの学習指導要領の改訂で、公立学校においても学力を重視した教育へのシフトが予測される中、少子化の進行により他学校との激しい競争を強いられている私立学校では、生き残りをかけて、様々な新しい経営戦略を打ち出している。

地方での係属校開校―早稲田大学

 これまで、海外の1校を除き、東京都と埼玉県にしか附属、係属校をもたなかった早稲田大学だが、来年4月に大阪府茨木市にある私立摂陵中学・高等学校を係属校に改変し、初めて関西圏に進出する。関西圏には、いわゆる“関関同立”をはじめ多数の私立大学やその附属校が存在し、全国的に名前の通っている早稲田大学も、この地域での志望者拡大には長年苦戦してきた。しかし、ほぼ自動的に早稲田大学に進学できる推薦枠を約40名程設ける今回の係属校設置で、同地域での勢力拡大を図る構えだ。
 また再来年4月には、開学の祖・大隈重信の出身地である佐賀県の唐津市に、同じく係属校の早稲田佐賀中学・高等学校(仮称)を新たに開校する予定だ。

小中一貫教育学校の開校―慶應義塾大学

 早稲田大学とライバル関係にある慶應義塾大学では、再来年4月、神奈川県横浜市に男女共学の小中一貫教育学校を開校する。
 慶応義塾大学としての初等教育学校開校は、渋谷区にある幼稚舎の開校以来、実に約140年ぶりのことで、また有名私立大学の小中一貫教育学校開校は全国的にも珍しいケースだ。

地域の期待を集める日本版パブリックスクール―海陽中等教育学校

 一方、都市圏と比べて一段と少子化の進行が激しい地方においても、独自の動きが見られる。
 トヨタ自動車やJR東海などの地元企業が中心になって、一昨年、愛知県蒲郡市に新設された海陽中等教育学校は、次世代のリーダーに必要な人格と学力の養成を目指した教育を行っている。全寮制による質量ともにハイレベルな教育は、戦前の旧制高等学校や英国のパブリックスクールのそれを標榜していると言われ、数年後に初めて迎える第一期生の大学進学実績が注目されている。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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