- きょういくじん会議
来年5月21日から、いよいよ裁判員制度がスタートします。あと半年ほど先ですが、裁判所のホームページで告知されているように、11月28日から裁判員候補者名簿に登録された人に「お知らせ」を発送する予定との事。早ければ今月中にも当事者となる可能性が出てきたことになります。みなさんは心の準備はできていますか?
少し前の記事になりますが、8月30日の朝日新聞の記事では、子どもたちへの法教育の広まりが紹介されていました。記事中でも紹介されていますが、新学習指導要領では、
「法に基づく公正な裁判の保障」に関連させて、裁判員制度についても触れること
とあり、「未来の裁判員」となる子どもたちへの法教育は欠かせないものとなっています。しかし、初めて導入される制度でもあり、どう教えるかは非常に悩むところだと思います。その為、法務省では学校の先生向けの教材を用意しており、ワークシート、模擬裁判シナリオ、証拠一覧表を使って授業ができるようになっています。教師用の解説資料や参考資料などもそろっており、有効に使えるかもしれません。また、上記した裁判所のホームページや法務省のホームページには、予想される様々な質問に対するQ&Aが載せられていますので、一度確認してみるのもいいかもしれませんね。
政府も、裁判員制度の導入に向けて積極的にリードしてきた竹崎博允氏を最高裁長官に指名することを決定しており、導入に向けて、待ったなしといった雰囲気です。
しかし、裁判員制度に関しては、いくつかの問題点も指摘されています。そのうちのひとつは、裁判員制度では犯罪事実の認定(有罪か無罪か)だけでなく、量刑まで判断するという点です。フランスやドイツで採用されている参審制は量刑まで判断しますが、数週間から数ヶ月の任期制がとられているためじっくりと審理を行なうことができます。アメリカなどで採用されている陪審制は、犯罪事実の認定は行ないますが量刑までは判断しません。この点で、日本の裁判員制度は特殊な形であるといえるかもしれません。
裁判員制度では制度上、自分の担当する事件で死刑判決が出る可能性があります。また、後に無実であることがわかる冤罪事件や、逆に、無罪としたものの、後に犯人であることがわかるケースもでてくるかもしれません。評決は多数決で決定されますので、自分が賛成する、賛成しないに関らず判決は下されます。さらに評議や評決に関しては守秘義務がありますので、自分は反対していた、などと話すことはできません。もちろん、下した判決について法律的な責任が生じたり、(裁判員の情報は公開されないので)社会的に非難されることはありませんが、裁判員として審理に参加する人は慎重に判断することが求められるでしょう。
制度のスタートまであと半年。裁判員として裁判に参加するという責任は決して軽いものではありません。国民が司法に参加する裁判員制度の意味を、一人一人がじっくりと考える必要があるかも知れません。
- 法務省 よろしく裁判員
http://www.moj.go.jp/SAIBANIN/index.html - 法教育は必要ないの? 裁判員制度いよいよ間近(2007/6/3)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/news/?id=20070051