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特別支援学校学習指導要領改訂案を公表―文部科学省
kyoikujin
2008/12/24 掲載

 文部科学省は23日、特別支援学校幼稚部教育要領案、小学部・中学部学習指導要領案、高等部学習指導要領案(PDF)を公表した。これより1月21日までパブリックコメントを募り告示にいたる予定だ。

 特別支援学校学習指導要領改訂案が従来と大きく変わったのは自立活動に関する部分である。
 自立活動とは、障害がある子どもの教育課程にのみあるもので「各教科」「道徳」「特別活動」と並ぶ一領域で「障害による学習上又は生活上の困難」を克服・改善するための時間である。
 具体的には、視覚障害がある子どもへの白杖歩行・点字指導、聴覚障害がある子どもへの口話や手話の指導、肢体不自由がある子どもへの身体機能訓練などがそれにあたる。

 この自立活動において、新たな区分「人間関係の形成」が加えられ6区分となったのだ。

新旧区分比較
現行学習指導要領 学習指導要領改訂案
(1)健康の保持 (1)健康の保持
(2)心理的な安定 (2)心理的な安定
  (3)人間関係の形成
(3)環境の把握 (4)環境の把握
(4)身体の動き (5)身体の動き
(5)コミュニケーション (6)コミュニケーション

 新設された人間関係の形成の内容は下記の通りである。

(ア)他者とのかかわりの基礎に関すること。
(イ)他者の意図や感情の理解に関すること。
(ウ)自己の理解と行動の調整に関すること。
(エ)集団への参加の基礎に関すること。

 「人間関係の形成」は通常の学級でも対応が叫ばれている自閉症等発達障害のある子どもへの指導を想定して新設されたものであろう。
 知的障害をあわせもつ自閉症の子どもが多く在籍する知的障害特別支援学校においては発達の偏りにいかに対応すべきか、と自立活動の授業をみなおすきっかけとなるだろう。

 特別支援学校の学習指導要領を参考に、特別に教育課程を編成している特別支援学級や通級による指導においても発達障害の子どもが増えてきており、「人間関係の形成」新設は大きくかかわる。

 通常の学級では「自立活動」の指導を行うことはないが、教室に発達障害の子どもがいるケースは十分にあり、それらの子どもへの指導を工夫するためには、障害にダイレクトに働きかける自立活動の指導は参考となるだろう。
 今後の具体的な指導内容を説明する解説書がどのようなものであるか、待ち遠しい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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