- きょういくじん会議
このほど文科省から「平成20年度公立学校教員採用選考試験の実施状況について」(以下「20年度」)ならびに「平成21年度公立学校教員採用選考試験の実施方法について」(以下「21年度」)が公表された。
なにかと話題になることの多い教員採用試験の状況は、今、どうなっているのだろうか。
調査の概要
これら調査の対象は、全64都道府県・指定都市教育委員会における小・中・高・特別支援学校・養護教諭・栄養教諭の採用試験。少しややこしいのだが、「20年度」は19年度中に行われた実施状況を、「21年度」は20年度中に行われた実施方法についてとりまとめたものだ。
20年度採用試験の競争率は7.3倍→6.5倍へと大きく低下
「20年度」によると受験者総数は161,300人(前年比2.4%減)、採用者総数は24,850人(同9.7%増)だった。受験者減&採用枠増によって競争率は前年7.3倍→6.5倍へと大きく低下した。
競争率は校種によってばらつきがあるが、13年度以降は一様に低下傾向が続いている。なお、20年度は小学校4.3倍に対し、中学校9.1倍、高校では10.8倍もの倍率である。
21年度採用試験の実施方法では基準の公表が大幅増加
大分県での不祥事を受けて、今年度から選考基準の公表を行う自治体数が20→55と増加した。不正防止のための取組もほぼ全てで行われている。
民間人の登用は…
平成12年から登用が始められた「民間人校長」は、昨年10月の文科省の発表によると減少傾向にある。
「20年度」によると、採用者全体に占める民間企業等勤務経験者の割合は6.6%(1444人)であり、これが多いのか少ないのかは議論の分かれるところだが、減少傾向にあるのは間違いないようだ。
教員採用試験のこれから
今回の調査結果からもわかるように、これからの教員採用試験は、志望者の増加による質の高い人材の確保と、選考過程の透明化による不正の一掃ということが課題として大きなものだろう。
米国発の不況が日本の一般企業の内定取り消しなどに波及しているが、生活面では比較的安定している公務員である教員への競争率に今後影響してくるかどうかも含めて、教員の資質向上に対する政府の取組を見守っていきたい。