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過半数が被虐待経験あり―児童養護施設等入所児
kyoikujin
2009/7/15 掲載
子ども虐待という第四の発達障害 (学研のヒューマンケアブックス)

 5年おきに行われる厚生労働省の児童養護施設入所児等調査。2008年2月現在の結果を14日の各紙が伝えたところによると、施設等で暮らしている子どものうち、保護者らによる虐待経験のある子どもが過半数を超えていることがわかった。

調査対象

 調査対象は、様々な事情で親と暮らせない子どもたちが生活する、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童養護施設、乳児院、里親家庭。人数にして総計41602人。初めて調査を行った1961年には5万人を超えていたが、その後は3万人台で推移。4万人を超えたの実に47年ぶりのこととなった。

虐待を受けた子

 このうち、過去に虐待を受けた経験がある子はおよそ50.9%もいるのだという。ちなみに、虐待に関する調査を行ったのは今回が初めて。
 今回の調査対象となった子どもたちのうち、入所に至った直接の原因が「虐待」という子どもは実に33.9%。虐待の種類では、ネグレクトが最多で64.5%だという。そのほか、親の破産など経済的な事情による入所も6.8%あった。

障害、いじめ

 このほか、注目すべき数字として各紙が挙げているのは、「障害のある子が25.5%・10588人もいること」「児童養護施設と児童自立支援施設の中学3年以上の子のうちいじめを受けたことがあるのは40.9%」など。

 ここで思い出されるのは、杉山登志郎氏の著書『子ども虐待という第四の発達障害』(学研)だ。曰く、虐待された子は心だけでなく脳の発達にも障害が生じ、例えば自閉症児とよく似た症状等で苦しむ子どももいるとのこと。
 この本の内容と短絡的に結びつけるわけにはいかないだろうが、今回の調査はある面では虐待・障害・いじめ・非行などの相関調査の一端になるのかもしれない。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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