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イケメン政宗が知事選をPR―県政にも「歴女」ブームの波?
kyoikujin
2009/10/14 掲載
戦国武女子、参る! いっそ武将に仕えたい!

 7日の毎日新聞の記事によれば、25日投開票の宮城県知事選のPRに、ゲーム「戦国BASARA」の伊達政宗が起用されたとのこと。若者、特に「歴女」と呼ばれる女性たちに人気のキャラクターを起用をすることで、選挙の認知度と投票率をアップさせる狙いがあるそうです。宮城県知事選のHPではイケメン政宗のCMや壁紙も用意され、その力の入れようが見て取れます。

独眼竜が「歴女」に人気? コラボグッズから選挙PRまで

 最近よく耳にする「歴女」とは、戦国時代や三国志の武将に大きな関心を寄せる若い女性を指しています。「戦国無双」や「戦国BASARA」といったゲームにおいて、戦国武将たちが現代風のイケメンに描かれたことをきっかけに、多くの女性ファンが歴史ゲーム・歴史漫画市場に流れ込みました。それまで歴史ゲームや時代小説市場は男性の固定ファンを中心としていましたが、女性層という新たな需要の掘り起こしに成功したのです。
 一方、ドラマや映画でも若者に人気の俳優が戦国武将役を務める作品が続き、歴史に興味を持つ女性は増加傾向にあるようで、今や「歴女」市場は700億円規模と言われています。

 特に「歴女」の人気を集めたのは、冒頭で紹介した独眼竜・伊達政宗と、その忠臣である片倉小十郎です。宮城県の企業からゲームとコラボした商品が続々発表され、J-CASTの記事によれば売上が2倍になったメーカーもあるとのこと。コラボグッズは、お米、地ビール、笹かまぼこといった宮城の名産品で、今まで興味を持たなかったであろう若者たちが買い求めていく「政宗特需」が起きているそうです。
 その勢いは、県政の注目するところとなり、ついには知事選のイメージキャラクターを務めるまでになりました。まるでアイドルのような扱われ方で、実在した歴史上の人物として認識されているのか心配になりますが、「歴女」たちは史実にもしっかり興味を抱いているようです。

生地「巡礼」ツアーは即刻売り切れ! 勉強熱心なファンも

 10日のJ-CASTニュースでは、石田三成の生地に「歴女」が詰めかけていると報じられています。石田三成は大河ドラマ「天地人」で小栗旬が演じていますし、ゲーム「戦国無双」でも人気の武将です。滋賀長浜にある三成の生地「石田会館」は、1年で来訪者が3倍になり、しかもその7割は女性客だとのこと。「歴女」の楽しみの一つに、憧れている武将にゆかりのある土地を訪れる「巡礼」 があり、長浜のような盛り上がりが全国各地で見られるのだそうです。
 6月に行われた「戦国BASARA伊達軍ツアー」は2日で定員となるほどの人気を集めました。また、JTBパブリッシングは9月に「戦国BASARA武将巡礼」という「歴女」向けの旅行ガイドを発売し、こちらも好評を博しています。「巡礼」する歴女の中には、ガイドに対して専門的な質問をする方もいるそうで、イケメン武将への興味を入り口として、ディープに歴史を楽しんでいる姿が想像されます。

 昔からの武将ファンの中には、長髪でやたらと派手な武将の姿に面食らう方もいるかもしれませんが、若者が歴史に興味を持つきっかけとして歓迎する声も聞かれます。なにしろ経済に影響を及ぼすほど、多くの歴史好きな若者がいるのですから、学校でも武将に興味を持つ子どもが増えているのではないでしょうか。先生方も、子どもに負けないくらいに、歴史を勉強しないといけない日が来るかもしれませんね。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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