きょういくじん会議
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まちで遊ぼう! 遊びが育てる地域力
kyoikujin
2009/11/11 掲載

 突然ですが、みなさんには道路にらくがきした思い出、ありますか?チョークでコンクリートの地面に絵を描いて遊んだ思い出。普段は足の下にある地面をキャンバスにして大きな絵を描くのはなかなか楽しく、夢中になった方も多いのではないでしょうか。近ごろはそんな光景もあまり目にしなくなってしまいましたが、都市部の子どもたちに「まち遊び」の楽しさを伝えようという活動があるようです。

◎コドモ・ワカモノまちing

 まずは、子どもと若者の居場所作りや、子どもから始まる地域の活性化などをテーマに活動するNPOをご紹介します。NPO法人「こども・ワカモノまちing」が進める「移動式子ども基地」は、子どもたちの住むまちを遊び場に変身させようというプロジェクトです。廃材、絵本、おもちゃ、テーブル、プロジェクターなどを積んだトラックで、プレイリーダーと呼ばれる若者と共に路地や広場に出張していって、子どもの外遊びを展開します。まち探検、 職人体験、路上遊び、映画鑑賞会、 などその内容はさまざま。安全な遊び場がなく、どうしても屋内遊びが多くなってしまう都市部の子どもたちにとって、なかなか貴重な体験といえるでしょう。

◎「芝の家」

 次にご紹介するのは港区と慶應義塾大学が協働で運営する「芝の家」です。「昭和の地域力再発見事業」とも呼ばれるこの事業は、地域全体で子どもを育てていたような昭和30年代のあったかさをヒントにして、新しいまち作りを考えようという試みだそうです。「芝の家」の拠点は文字通り港区芝にある「家」。一軒の家を、週の半分は大人やお年寄りのためのコミュニティ喫茶として、もう半分は子どものためのオープンスペースとして、地域に開放しています。子ども遊びの日にはたくさんの子どもたちが集まって、ベーゴマやけん玉などの昔遊びから、ねんど遊び、お菓子作り、ウクレレ、お絵かきなどなど、自然発生的に生まれるいろんな遊びを楽しんでいるそう。大学生やお年寄りが遊びを教えにきてくれることもあり、地域交流の中心となっています。

◎子どもとまち

 子どもにとって地域で遊ぶことはとても大切なことです。さまざまな年代の人との触れ合うことは多くを学ぶ機会になるし、自分の住む地域に居場所があるということは子どもの心に安心感を与えます。地域の力によって子どもを犯罪から守ることもできるでしょう。また、閉じこもりがちなお年寄りが遊びの先生になったり、地域とのつながりが希薄な若者が頼れるリーダーになったりすれば、子どもをきっかけにした地域の交流が生まれ、地域全体の活性化にもつながるのです。山や川など自然いっぱいの場所へ出かけていくのももちろんいいですが、自分の住んでいるまちで元気いっぱい遊べることこそ、一番幸せなのかもしれません。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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