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「はやぶさ」地球へ帰還―今後の宇宙開発は?
kyoikujin
2010/6/16 掲載
小惑星探査機 はやぶさの大冒険

 先月の日本初の金星探査機「あかつき」の打ち上げ、今月2日の国際宇宙ステーションからの野口聡一さんの帰還。最近の宇宙科学研究についての話題には目を見張るものがあります。なかでも今月13日に小惑星探査機「はやぶさ」が無事地球に帰還し、そのようすは日本中に感動を与えました。また、これは日本の科学技術水準の高さを世界にアピールする機会にもなりました。

「はやぶさ」の成功で感じる宇宙ロマン

 5月25日の記事でもお伝えした通り、「はやぶさ」のミッションは小惑星「イトカワ」の精密探査やサンプルの採取ですが、「はやぶさ」のカプセルに「イトカワ」の砂が入っていれば、月以外の天体に着陸して小惑星から試料を採取して地球へ戻った世界初の例ということもあり、注目が集まっていました。部品の故障や通信途絶に見舞われながらも、約60億キロメートルもの飛行の後地球へ帰還できたことは本当に奇跡的であり、なんともいえない宇宙ロマンを感じます。帰還した13日には、ネットの動画配信サイトにアクセスが集中し、ミニブログ「ツイッター」でも「はやぶさ」の帰還を喜ぶ声が数多く寄せられていました。これを機に宇宙科学に興味をもったり、宇宙飛行士になりたいという子ども達の声もJAXAに寄せられているようで、子どもたちが宇宙に興味をもつきっかけにもなったと感じますが、それ以上に、困難を乗り越える「はやぶさ」の姿に感動し、子どもも大人も勇気づけられたようです。

宇宙開発のあり方の見直しも

 今回の「はやぶさ」の成功を受けて、宇宙開発のあり方に関する議論も巻き起こっています。
 「はやぶさ」が惑星間航行をしたことで、「イオンエンジン」と呼ばれる新しいエンジンの能力も実証されたことになりますが、イオンエンジンを開発したNECは、技術伝承の重要性なども鑑み、今後小型衛星開発などに人材を振り分け宇宙開発事業に力を入れるようです。一方、「はやぶさ」後継機開発などの衛星関連予算は事業仕分けで予算削減の判定がされています。宇宙開発には、引き続いてのミッションによる技術の伝承などが必要な一方、莫大な費用がかかるため、どのように開発していくかは重大な問題です。宇宙開発に予算を使うことでどのような貢献ができるのか。目標を明確に定めて、アピールしていくことが必要といえそうです。

感動のバトンを次へ

 さて、「はやぶさ」の成功で日本の科学技術水準の高さを知らしめたことで、現在運用中の月・惑星探査機として、先月H-IIAロケット17号機によって打ち上げられた金星探査機「あかつき」、そして同時打ち上げされた小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」にも期待がかかります。
 「あかつき」のミッションは、金星の謎を解き明かすことです。とくに、金星表面で金星の自転速度の60倍もの風速である「スーパーローテーション」と呼ばれる暴風がふく理由の解明がメインです。また、小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」のミッションのひとつは帆(セイル)の一部に薄膜の太陽電池を貼り付けて発電することで、これはすでに成功していますが、電力を用いて帆だけで宇宙空間を航行できることの実証が引き続き行われています。これらのミッションも無事成功することを祈りたいですね!

 ちなみに、今週末になんと種子島宇宙センターの施設見学ができるそうです。近くにお住まいの方、大変貴重な機会なので、ぜひ足を運んで、宇宙ロマンを感じてみてはいかがでしょうか?

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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