- きょういくじん会議
9月30日の厚生労働省発表によると、今年4〜6月の間に全国の児童相談所に寄せられた虐待通告のうち、8月30日時点で子どもの安否が不明のままになっている案件が261件に上ることがわかった。
このうち、「通告は受けたが、住所等が特定できないままになっている」ものが238件と9割を占める。被害者が本当にいるのかいないのかすらわからない、まさに虐待事件の闇を垣間見る思いがする結果だ。
◎今回の調査と厚生労働省の対応
今回の調査は、8月25日の記事でお伝えした大阪での二人の幼児死亡事件を機に、同省が初めて実施したもの。今回の調査結果を受けて、50ページにも及ぶ「虐待通告のあった児童の安全確認の手引き」(PDF)が作成された。これまでに規定されていたもののほか、新たに「安全確認が行えない場合の対応方針」「自治体から報告のあった工夫事例」などを記載して整理したという。
児童相談所には、児童の安全の確認のために立入調査、出頭要求、臨検・捜索等の法律上の権限が与えられているが、上のような「通告は受けたが、住所等が特定できないままになっている」事例の場合はどうすればよいのだろうか。「手引き」にはこうある。
- 周辺家庭に児童相談所へ情報を提供して欲しい旨のカードを配布するとともに、必要に応じて聞き取り調査を行うなどにより徐々に通告の対象となった家庭を特定する。
- 現地には、日時を変えて複数回赴くとともに、その都度、一定時間滞在して状況を確認する。
- 民生委員・児童委員に情報把握の協力を依頼して、巡回してもらう。
◎やはり広い周知・広報活動と、私たちの理解・協力がカギ
上のような方針をとっていることについても、児童相談所職員だけでなく、私たちが広く知っておき協力していく意識が必要だ。このほか、家庭訪問しても保護者が頑なに拒否する場合などは、警察をはじめとする諸機関・関係者との「連携」がカギになってくる。連携していくためには、やはり全国民への周知活動が欠かせない。
おりしも、厚生労働省の小宮山洋子副大臣が、「安心こども基金」を1000億円積み増すことを明らかにした。都道府県の判断により、児童虐待対策にも使える基金だ。今年度補正予算案に計上されるとのことなので、効果的な使い道を検討していってほしい。
広報・周知活動の一環として、11月23日(火・祝)には「子どもの虐待防止推進全国フォーラムinひろしま」が開催される。参加は無料だが、申込締切が10月29日なので、ご関心のある方はお早めに!