- 教育オピニオン
1 「GarageBand」の自動伴奏機能を使って子どもの表現を支えましょう
歌唱・器楽・音楽づくり・鑑賞の4つの内容のうち、音楽づくりの授業で困っている先生方は多いのではないでしょうか。「教科書を見ても…」、「どんな音楽をつくらせればいいのか…」という声も聞きます。音楽づくりの活動は大きく2つ(ア→即興的に表現する活動、イ→音を音楽に構成していく活動)に分かれています。
「音楽づくりの授業は難しいな〜」と感じられている先生は、「即興的に表現する活動」から始めることをおススメします。即興的に表現するとは、「その場で考えて、音や音楽を自由に表現する」ということです。
これは、「ただ適当に表現する」という意味ではありません。しかし、子どもたちが何もない状態から表現することは難しいです。そこで、子どもたちの表現を支えるアイテムとしてiPadなどのアプリ「GarageBand」を活用します。「子どもたちの表現を支える」というイメージが浮かばない先生もいると思いますので、1つ例をあげてみます。1人1小節(4拍)のリズムを手拍子で表現するとします。拍などを刻まずに、音が何もない状態で表現していくのは難しいですよね。例えば、先生が小物の打楽器などで拍を刻んでいれば、子どもたちはその上で自由に表現することができるようになります。このような役割を「GarageBand」に果たしてもらおう!という考えです。
まずは簡単な使い方から説明していきます。
@「GarageBand」を「App Store」からダウンロードします。(それくらいはわかります!と突っ込まれそうですが…)
Aアプリを開いて、ここでは「Smart Guitar」を選択します。
Bまずは「AUTOPLAY」機能使って遊んでみます。
- ハ長調(C)の基本の和音(コード)が表示されていますので、その和音を押してみましょう。
- 「C→F→G→C」の順に1小節ずつ(4拍ずつ)、和音をチェンジさせてみましょう。
- 「C→Am→Dm→G」の順に1小節ずつ(4拍ずつ)、和音をチェンジさせてみましょう。
C速度やバックで鳴っているカウントなどはここから変更できます。
D赤の録音ボタンを押して、和音進行を録音してみましょう。(これが子どもたちの表現を支える音源になります)
- ここでは2小節ずつ(8拍ずつ)、「C→Am→Dm→G」の順に和音をチェンジさせていきます。
- 8小節分の録音が終わったら、一度演奏を止めます。
- 8小節分録音すると、それが繰り返し再生されるようになります。
E編集画面に切り替えて、確実に録音されたかを確認します。
次に、即興的に表現する活動の方法をお伝えします。
(ここでは中学年を想定していますが、音楽づくりに初めて取り組むのであれば、高学年でも中学校でも十分実践可能です)
F即興的に表現する時の条件を伝えます。
【条件】
●使う音→ソ(鍵盤ハーモニカの場合はド)
●1人が表現する小節→2小節(8拍分)
●リズム→自分で自由に考えて表現する
G隊形を円にして、全員の表現が共有できるようにします。
H30〜60秒くらい練習の時間を確保します。ここで、「GarageBand」の出番です。さきほど作った音源を再生します。Bluetoothでとばすこともできるので、ぜひ試していただきたいです。
I1人ずつ即興的に表現していきます。
J条件を広げてさらに表現していきます。
【条件】
●使う音→ソラシ(鍵盤ハーモニカの場合はドレミ)
●1人が表現する小節→2小節(8拍分)
●リズム→自分で自由に考えて表現する
K即興的な表現活動に「まねっこ遊び」を取り入れて、全員の表現を共有していきます。
2 まずは使うこと、遊ぶことから始めてみてください
2回に渡ってiPad(タブレット端末)を使った音楽授業のアイデアをご紹介しました。音楽の授業では、どうしても示されている楽譜などを演奏することが多くなってしまいます。しかし、そのような曲でも速度や調を変えて、その面白さを感じ取ったり、曲の雰囲気を味わったりすることができます。また、音楽づくりの活動は「子どもたちが自由に考えて表現すること」ができます。最初は戸惑う子どもたちも、きっと自由に表現することを楽しむようになるでしょう。忘れてはならないのが、機材、機械、アプリが優先にならないことです。簡単に言うとマニアックになり過ぎないことです。あくまでも「子どもの表現を支える1つのアイテム」として、iPadなどのタブレット端末を活用したり、Bluetoothなどの機能を使ったりしてみてはいかがでしょうか。