学校を元気にするチームリーダーの仕事術
現役スーパー校長が伝授する、チームリーダーの仕事術。教職員のパフォーマンス、チーム力を向上させるのはあなただ!
学校を元気にするチームリーダーの仕事術(5)
人がいなくても、会議は始めよ!?
愛知県小牧市立小牧中学校長玉置 崇
2014/10/25 掲載
  • チームリーダーの仕事術
  • 学校経営

1 時は金なり

 全国各地で教育講演や授業診断をしておられる角田明先生(元茅ヶ崎市立緑が浜小学校長)は、自らの実践を「角田定刻主義」と言っておられる。例えば、職員会議の開始時刻になったら、どんなに人がいなくてもきっちり始めるとおっしゃっていた。
 教師はよく子どもに「時間を守りなさい」と言うが、そう教えている教師自身でさえなかなか時間を守ることはできないものだ。決められた時刻に遅れてくる教師を見ていると、授業の開始や終了時刻もいいかげんにしている人が多い。つまり、先を見て動いていないのだ。
 先を見通す力は、教育活動のあらゆる場面で必要となる。1年間の学級づくりに関しても、教科経営に関しても、先を見てあらかじめ準備しておくこと、起こりうる事態を予想しておくことはとても大切だ。それができない教師は、その場主義で、瞬発力はあっても何事も長続きしないタイプだ。
 こういうタイプの人間を待っているのはよくない。
 例えば、30人の職員がいるとしよう。1人の職員が来るまで、29人の職員が待つコストを考えると恐ろしい。時給を3000円程度とすると、1分50円となる。1分待つと、50円×29人=1450円となる。5分も待つと、7250円の損失となる。教員にはこのような感覚がないので、世間知らずと言われる。ときにはこうしてお金に置き換えて、時間の大切さを訴えることも必要ではないだろうか。
 

2 会議の終了時刻を宣言する

 ところで、あなたはリーダーとしての見通し力をもっているだろうか。
 例えば、職員会議では、あらかじめ終了時刻を伝えているだろうか。開始時刻を伝えることは当然しているだろうが、終了時刻を伝えているという話はあまり聞いたことがない。しかしそれでは、リーダーとしての見通し力が欠けていると言わざるをえない。
 例えば、議題が5つあったとして、それぞれの議題に重みづけをする。
卒業式提案であれば、「2」、大掃除計画であれば「1」、次年度年間計画であれば「3」という具合で、その重みの総計をする。仮に、「10」になったとしよう。重み「1」を5分とすると、5分×10と考え、開始時刻から50分後を会議終了時刻として宣言しておくのだ。重み「3」の場合は、その議題に15分間かけてよいということになる。議題一覧を示し、それぞれの議題に予定時間を記入しておくとよい。こうしたアイデアを出せるのは、先を見通す力があるからだ。

例

3 ゴールを意識する

 では、先を見通す力は、どのようにして身につけたらよいのか。
 私は、常にゴールを意識して行動することだと考えている。例えば、学級担任ならば、その学年の終了時には、どのような子どもに育て上げたいかというゴールをもつことだ。学年主任であれば、学年集団がゴールに入るときの姿を描いておくことが重要だ。校長であれば、学校の姿を明確に描くことだ。
 そして、定めたゴールにたどり着くために、一年を分割して考え、節目ごとに、そこまでに達成していなければならない小目標をもつことだ。このことは見通す力と相通じるものだ。
 日々の業務においても同様である。今日は学年部会が15時からある。放課後の時間はない。だから部活動の部長への指示はこの時間にしておこう…などと、見通し力を身につけると計画が自然と頭に浮かぶものだ。見通しをもたない者は、一日のはじめに計画を立てないので、職員会議開始直前になって大切なことに気付く。だから「子どもへ指示をしていて遅れました」などという、もっともらしい言い訳が横行してしまうのだ。

今回のPoint!

ゴールを意識し、見通し力をもつことが、時間厳守につながる。

玉置 崇たまおき たかし

1956年生まれ。愛知教育大学数学科卒業。
公立小中学校教諭,愛知教育大学附属名古屋中学校教官、教頭、校長、愛知県教育委員会指導主事、教育事務所長等を経て、現在、小牧市立小牧中学校長。
ICTを活用した数学授業や学校経営において実績があり、文部科学省発行の「教育の情報化に関する手引」を執筆。また文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」委員、「中央教育審議会」専門委員歴任。
主な著者に、『スペシャリスト直伝!中学校数学科授業成功の極意』(明治図書)、『中学校学級担任必携 生徒指導要録作成の手引き&総合所見の文例1080』(明治図書)『玉置流・学校が元気になるICT活用術』(プラネクサス)ほか。

(構成:矢口)
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