- 監修のことば
- はじめに
- 第1章 Q&A 中学校の通級指導教室ってどんなところですか?
- Q1 通級指導教室って何ですか?
- Q2 通級指導教室はどこの中学校にもありますか?
- Q3 どうしたら,通級指導教室を利用することができますか?
- Q4 どのような生徒が通級指導教室で指導を受けることができますか?
- Q5 通級指導教室の指導時間はどれくらいですか?
- Q6 通級指導教室の指導はどのような内容ですか?
- Q7 通級指導教室で,個別の教育支援計画や個別の指導計画は作成されますか?
- Q8 小学校通級指導教室を利用していた場合,引継ぎや連携はどのようになっていますか?
- ※資料 引継用シート
- Q9 通常の学級での抜けた授業の保障はどのようになっていますか?
- Q10 通級指導教室利用で,教科の評価や成績に影響することはありますか?
- Q11 定期的に通常の学級での授業を抜ける場合,他の生徒たちにはどのように説明すればよいですか?
- Q12 自校に通級指導教室がない場合,教師に来てもらって指導を受けることはできますか?
- Q13 自校に通級指導教室がない場合,在籍校担任との連携はどのようになっていますか?
- Q14 保護者が通級指導教室の教師に,教育相談や進路相談をお願いできますか?
- Q15 高等学校に進学した場合,高等学校との連携はありますか?
- Q16 中学校通級指導教室で受けた指導内容を高等学校でも受けられますか?
- 第2章 実践 中学校通級指導教室の指導・支援レシピ
- 学習編
- レシピ1 通級方式の筆算で正負の数を攻略
- レシピ2 数学的な活動で自己肯定感を高める
- レシピ3 文章題への対応は言語化からアプローチ
- レシピ4 暗記は,単語カードか紙1枚でOK
- レシピ5 誤解を解いて,定期テストの得点力アップ
- レシピ6 テスト問題の工夫で,適切な学力評価
- レシピ7 教科の提出課題を確実に提出
- レシピ8 「定期テスト対策プリント」の活用
- レシピ9 教科担当と連携して,上手にノートテイク
- 学校生活・日常生活編
- レシピ10 「外付けメモリー」を活用して,自分の気持ちや考えを整理
- レシピ11 作文指導で,暴力的なトラブルを軽減
- レシピ12 「遊び直し」で集団のルールやマナーを習得
- レシピ13 自分のコンディションを客観的に把握
- レシピ14 本番を乗り切るためのシミュレーションやリハーサル
- レシピ15 信頼関係を築くには,まずは傾聴
- レシピ16 気持ちを整えるための自由な表現活動・制作活動
- レシピ17 視覚情報でトラブル解決
- レシピ18 友達と一緒に「いいとこさがし」で自己肯定感アップ
- レシピ19 行動を見える化して,適切な行動を選択
- レシピ20 安心して授業に参加するための支援体制
- レシピ21 居心地のよい学級(居場所)づくり
- レシピ22 自分の「トリセツ(取扱説明書)」づくり
- 進路編
- レシピ23 自分の適性に合った進路選択
- レシピ24 「キャリアデザインシート」でふり返り
- レシピ25 相談力をつけるための進路相談
- 第3章 展望 中学校通級指導教室が目指すところ
- 中学校通級指導教室の課題
- 1 現状と課題
- 2 展望
- これからの通級指導教室の展望
- 3 インクルーシブ教育システムと中学校通級指導教室
- 4 高等学校における通級指導教室の可能性
- 5 中学校通級指導教室と医療との連携
- 6 思春期における発達障害のある生徒の支援ポイント
- 7 専門家支援チームと連携支援
- 8 思春期の親子関係への支援―親ばなれ・子ばなれの難しさ―
- 9 卒業生より中学校通級指導教室に期待すること
- 10 保護者より中学校通級指導教室に期待すること
- おわりに
監修のことば
1993(平成5)年に,通級による指導が制度化されました。その後,言語障害を中心に通級による指導を行う教室が増えていきました。21世紀になり,従来の特殊教育から新たな特別支援教育へ転換が進み,発達障害者支援法の成立・施行や学校教育法の改正等を経て,知的障害のない発達障害への対応が正式に始まりました。それにより,発達障害のある児童生徒が通級による指導を受ける機会が急増し,現在では,発達障害のある子どもが最も多く利用しています。
これに伴い,発達障害のある児童生徒の通級での指導内容の検討や,指導方法の工夫,教材教具の開発などが進みました。その下支えをしたのが,発達障害に関する学術研究の急増でした。さらに,通級による指導を利用する児童生徒が大半の時間を過ごす通常の学級における一斉授業の工夫も始まりました。ユニバーサルデザインの視点を活かした授業の展開です。
近年,このように順調に発展した発達障害のある児童生徒の通級による指導ですが,課題も明確になってきています。特に,増加はしているものの,小学校と比べて中学校において通級による指導をする学校はまだまだわずかであり,通級による指導を受ける生徒は限られています。また,中学校ならではの指導内容・方法等の検討もこれからです。
高等学校には現在,通級による指導の制度はありませんが,2016(平成28)年3月に,文部科学省が設置した会議が報告書を取りまとめ,いよいよ我が国においても,高等学校段階での通級による指導が制度化される見込みとなりました。
このような中,編者の小林靖先生を先頭に,横浜市の中学校で通級による指導を先進的に取り組んできた教師により,その長年の成果を取りまとめて,本書が完成したことは貴重であるし,とてもタイムリーだと思います。
監修者 /柘植 雅義
-
- 明治図書
- 通級指導について勉強することができました。2022/12/3040代・中学校教員