- 特集 「学習指導要領」戦後六〇年の功罪
- 提言・戦後教育六〇年「学習指導要領」の功罪を問う
- 法的拘束力なしには戦後教育の発展はなかったか
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- 日本の教育水準を支えた
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- 欧米先進国にキャッチ・アップするための道具として
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- 「学習指導要領」の功罪を考える―教育における「自由」の変容―
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- 学習指導要領の見直しと教育課程の編成
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- 試案時代の「学習指導要領」の功罪
- 見つめ直そう、戦後教育改革の実像
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- 輸入された欠陥の多い教育理論
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- 新時代へのすぐれた提言の書
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- 昭和26年代の「学習指導要領」と問題解決学習論の功罪
- 新教育を整備した大功、現場の要請に応えすぎた小罪
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- 昭和26年版「はいまわる経験主義」から昭和33年版「つめこみ主義」へ
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- 「生活単元学習」により極度の学力低下がもたらされた
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- 昭和33年代の「学習指導要領」と「道徳」特設の功罪
- 教科や教科外活動の中でこそ道徳教育を
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- 「道徳」特設の本来の趣旨を再認識しよう
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- 「道徳」特設の英断と徳目主義・心情主義
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- 昭和43年代の「学習指導要領」と系統学習論の功罪
- 教科内容「現代化」の功罪
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- 未消化に終わった科学科社会科
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- 精選・構造化・系統学習論の意義の再認識を
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- 現場サイドからの検討―国語科を中心として―
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- 昭和52年代の「学習指導要領」と学力低下論争の功罪
- 「表現→理解」という表現重視観
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- 「ゆとり」は教育の理念にならない
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- 昭和52年改訂のポリティックス分析が欠かせない
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- 「人間中心カリキュラム」への第一歩
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- 平成元年代の「学習指導要領」と個性尊重論争の功罪
- 「個性の発見」という義務教育の課題
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- イメージだけの「個性化」は混乱する
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- 教師の強力な指導で個性を引き出せ
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- 現場の証言・法的拘束力の「学習指導要領」をどう思うか
- 「オンリーワン」に気づくには
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- 現場が迷走しないような学習指導要領を望む
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- 学習指導要領もまた規制緩和すべきである
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- 学習指導要領に対する意識は弱い
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- 教師のメンタル面までは拘束できない
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- 総論賛成、各論、再検討
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- 「授業批評の力」を鍛える (第10回)
- 授業評価の再考
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- 授業を変える学習集団づくり (第10回)
- 「学びの共同体」と学習集団の授業の比較
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- 校長が学校を変える (第10回)
- 長い、長い、本当に長い一日もある
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- TOSS授業技量検定受検のドラマ (第10回)
- 母ちゃん先生プロ教師を目指す(その1)
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- 続・TOSS授業技量の検定 (第10回)
- TOSS技量検定五段への挑戦(中)
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- 〜それはサークルの結合力がものをいう〜
- なぜ検定外・算数教科書を創ったか (第10回)
- 数学は証言で構成される―ワークの横溢から数学を救い出そう―
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- 編集後記
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■編集後記
◯…平成十年度に告示された学習内容3割カットの「学習指導要領」をめぐるマスメディアの「学力崩壊」「学力危機」をあおる報道や論評は異常と思えるくらいの繰り返しでした。まるで日本中の小・中学校の学力が崩壊しているかのような印象を国民に与えたと菱村幸彦氏は論評を加えていました。しかし、と菱村氏は言います。学力低下論争は「教育の流れを変えた」とし、次の三点を上げています。第一は、新学習指導要領の公示以来、教育界の流れは総合学習に向かっていたが、学力低下論を機に教科の基礎・基本の充実に流れが戻った。第二は、学力調査の重要性を再認識させた。昭和三〇年代の全国一斉学力調査から四〇年ぶりに文科省は全国的規模で全国一斉学力調査を行った。第三に、地方主導による学力向上の取り組みが活性化した。
◯…私どもはこれに対し「学習指導要領」の早期見直しを上げたい。これまで十年サイクルで進められてきた改訂が短縮されたことです。戦後教育六〇年、ここで改めて「学習指導要領」との関連で戦後教育の経過を振り返り、その功罪を問うことは、これからのわが国の公教育の在り方を問うことでもあり、さけて通れない課題ではないでしょうか。
◯…戦後初期のアメリカ占領政策は、単に日本の武装解除だけで満足せず、日本の政治・経済・教育・社会体制全般の「非軍事化」を目指していたことは明らかです。特に戦前の画一的な指導方法への反省と批判に立って、学習指導要領では子どもの学習への意欲や自発性を引き出すという方針が重視されました。しかし法的拘束力を持つ学習指導要領の時代になると国家による教育統制が強化されるようになり、学校現場には多くの矛盾が現れています。
◯…本号は「学習指導要領」の分析を通して、これからの公教育の在り方を探る特集です。
〈江部 満〉
◯…「国語教育」誌10月号で、向山洋一先生は、川崎市・国語研究部の管理職が漢字は授業中に指導するのではなく、宿題にするのです≠ニ若い教師を指導しているのは大きな誤りだと指摘されました。
この箇所を読まれた市の国語教育研究会会長さんは、
「新出漢字の指導にあたっては、授業前に必ず漢字辞典を引くようにして欲しい。(子どもにそう指導するのか、教師が引くのかあいまいですが…)」と校内研で言っているわが川崎市で、そんなことを言う管理職がいるはずはない。
向山氏に抗議をし、謝罪文の掲載を求めたが、「誰が言ったかは現段階では言えない、この問題で論争してもよいが、謝罪文には応じられない」という回答で謝罪の言葉は一切なかった…と経緯を書かれています。更に会の名称がちがうとか、川崎市ではなくK市にすべきとか、管理職の一人が言った…とか書くべきだったのでは…と御親切な提言をされています。
このくだりを読んで、「漢字は宿題≠ニ言語教育を軽視している管理職が本当にいるのか」緊急に全市リサーチをかけることこそ、会長が最初にとるべき行動では……と思ったのですが…。
〈樋口雅子〉
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- 明治図書