現代教育科学 2006年11月号
「愛国心」の通知表評価は可能か

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現代教育科学 2006年11月号「愛国心」の通知表評価は可能か

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ジャンル:
教育学一般
刊行:
2006年10月6日
対象:
小・中
仕様:
A5判 116頁
状態:
絶版
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目次

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特集 「愛国心」の通知表評価は可能か
提言・「国を愛する態度」の採点―何が問題か
「関心・意欲・態度」問題としての愛国心通知表
田中 耕治
愛国心の評価は不可能である―正確にできる方法がない
有田 和正
「国を愛すること」と自国中心主義は違う
江間 史明
採点・評価の前に「愛国心教育」の中身を問え
占部 賢志
態度主義と業績主義の不幸な結合―「ゆとり」教育の病理としての「愛国心」評定
吉永 潤
通知表に「国を愛する態度」を入れることの是非
我が国の行く末を見つめて大局的に判断したい
向山 行雄
国の愛し方を規定し、その前提事項のみを評価すれば可能である
吉永 順一
子どもの愛国心を評価できる教師がいるのか
大森 修
必要ない、左傾化団体の術策にはまるだけである
糸井 清
教育目標としての「国を愛する態度」―具体化の課題 〔小学校〕
「国を愛する態度」は「日本についての知識」を通して具体化する
谷 和樹
日本のモノづくりを取り上げて授業する
吉田 高志
国を愛する態度は「日本人の気概」「日本の伝統文化」の授業で育成する
佐藤 琢朗
教育目標としての「国を愛する態度」―具体化の課題 〔中学校〕
ポイントは、「理解」の深化がおのずと「愛情」を育む授業内容の開発
諸熊 弘毅
授業を通して目標達成を目指すべきだ
染谷 幸二
「心のノート」にみる「愛国心」の分析
日本人の気概という観点で編集しなおすべき
河田 孝文
「心のノート」(素材)をいかに「授業」するかがポイントだ!
椿原 正和
「配列」に注意して授業する
長野 藤夫
学校教育が育む「愛国心」とは何か―小学校の例
社会生活についての理解を図ることを通して、「愛国心」を育成する!
岡田 健治
日本に誇りを持つ子を育てる授業をするのが、日本の教師の仕事
木村 重夫
自虐史観を変え、日本を好きにさせること
高橋 恒久
日本人の気概を教える
松藤 司
学校教育が育む「愛国心」とは何か―中学校の例
社会科の授業で育む「愛国心」
宮ア 俊哉
世界で生きる日本人として、日本を誇りに思うこと
進士 かおり
「愛国心」につながる知識と技を伝えること
川神 正輝
戦後の授業研究の歴史 (第8回)
問い追究する学力の形成に貢献してきた授業研究
山下 政俊
親と教師の信頼関係づくり (第8回)
給食費未納問題解決へのうねり
大森 修
理科は感動だ! (第8回)
エネルギー教育の実践
小森 栄治
法人化国立大学の苦悩―学部長奮戦記 (第8回)
受験者獲得のデータ分析と戦略
明石 要一
TOSS授業技量検定の成果 (第8回)
内閣府でお願いしてきました
向山 洋一
教育課程の見直しに参加して―中教審委員の一人として (第8回)
教育課程部会の審議の性格―「正当性」の問題―
安彦 忠彦
編集後記
江部 満樋口 雅子

■編集後記

◯…政府は「教育基本法」の改正案を去る四月二十八日に国会に提出しました。すでにマスコミの論調では、愛国心を法律で定めることへの疑問や法律で愛国心を強制することへの疑念が出されています。新法案では、「国を愛する態度」の育成などを教育目標に掲げ、学校に対し目標達成のための体系的、組織的な教育の実施を義務付けすることなどを盛り込んでいます。

◯…さっそく小坂文科相は、五月十九日の閣議後の記者会見で、「適切な指導が行われているかどうかを何らかの方法で把握していきたい」と述べ、法改正後に学校現場における指導状況を実態調査する考えを表明しています。一方で小坂文科相も「愛する心を測るのはなかなか難しい」と教育効果の測定には慎重な姿勢を示していました。

◯…すでに現行の学習指導要領のもとで、通知表に「愛国心」に関する項目を入れた経験がある学校やいま採用しているところもあると新聞は報じています。新聞報道によりますと、埼玉県では四市二町の五〇小学校で通知表に「愛国心」に関する表現が入った項目が評価の対象になっているそうです。埼玉県行田市では、小学校長らが通知表のモデル案をつくり「我が国の歴史と政治及び国際社会での日本の役割に関心をもって意欲的に調べ、自国を愛し、世界の平和を願う自覚をもとうとする」という項目を「社会」の四観点の一つに盛り込んでいると報じられています。

◯…さっそく新聞に反対意見広告が出されています。「どんな態度が国を愛するというのでしょう。子どもの心や態度まで国が決めることは、国民全体を戦争に向かって走らせた戦前の教育と同じになります」と。本号は緊急課題である「愛国心」問題に焦点を当てた特集です。

〈江部 満〉

◯…本誌一〇月号で、宮城教育大名誉教授・渋谷孝先生は、「ジェンダーということを、危険思想だと思っているお役人≠ェいる。家族制度を破壊するからだそうである。福井県のある公立図書館では、ジェンダー≠ノ関する図書を一般の閲覧図書とすべきか否かで揉めているようである。(〇六年五月一二日、朝日新聞の記事)」という論文を書かれています。

図書館のお役人といえば、もっとすごいお役人がいたことも紹介しなければ片手落ちというものではないでしょうか。

そのお役人とは、船橋西図書館の土橋悦子司書。〇五年七月一四日、渋谷先生が「藤岡氏などの思う壷≠セろう」とのご指摘をされている新しい歴史教科書をつくる会♀ヨ係者の著書を廃棄基準に該当しないのに、勝手に一〇七冊を文字通り、焼却処分した船橋焚書事件≠ナ最高裁の判決が出ました。

もちろん?最高裁のお役人は、つくる会勝訴、船橋市側を敗訴としました。なお、この司書氏が福音館から出したご自分の著書は、勤務先を含め三五冊も購入されていたとか。件の図書は、年間、一・七冊しか貸し出されていない…のだ、そうです。

〈樋口雅子〉

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