- 特集 子供がつまずく“用語・概念”指導のコツ
- 私が出会った“子供の用語理解”―誤解・曲解・びっくり例
- 思い込みだらけの自分
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- 観察した現象が誤解や曲解を強固にする
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- 質量は体積?
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- 子どもの素朴概念が授業をつくる
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- 授業に論争を呼ぶ“用語・概念”のベスト10と指導のヒント
- 生物/生き物を身近に
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- 化学/動物の身体を作っている原子・分子は生きている?
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- 物理/視覚化・体感化できる教材・教具の工夫
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- 地学/実生活との関わりで意外に理解していないポイント10
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- 子供が“つまずき易い重要用語”の指導アイデア
- 小学校3年/「体のつくり」や「材質」への見方や考え方を育てる学習の工夫
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- 小学校4年/「水のゆくえ」の実践から
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- 小学校5年/子供の誤概念を生かす指導
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- 小学校6年/「わかったつもり」から「確かな理解」へ〜酸素・水溶液・磁石〜
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- 中学校1分野/「物質の状態の変化」のつまずきをどうなくすか
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- 中学校2分野/大地の変化
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- 難しい“用語・概念”のわかる指導のポイント
- “身近な言葉”に置き換える指導のポイント
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- “身近な事象”で説明する指導のポイント
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- “身近な体験”につなげる指導のポイント
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- “実験”とつなげる指導のポイント
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- “調べ活動”とつなげる指導のポイント
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- “カタカナ語”のわかりやすい指導のポイント
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- “自分の言葉で表現”させる指導のポイント
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- “みんなの前で説明”させる指導のポイント
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- “概念地図を活用”させる指導のポイント
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- ここにこんなものが!ユニーク博物館情報
- 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
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- わが理科室と理科準備室・ここが工夫点
- 教室の黒板を利用して
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- 百人一首に登場する動植物 (第5回)
- イネ
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- なぜ理科が大事か:21世紀の学力から考える (第5回)
- 知識の役割とコミットメントとしての理解
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- ポートフォリオ:子どものやる気を変える使い方 (第5回)
- ポートフォリオアセスメント事始め(その5)
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- 子どもを引き付ける楽しい実験アラカルト (第5回)
- カエルの解剖
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- 小学校・移行期の理科指導のポイント (第17回)
- 第6学年の目標と「C地球と宇宙」の内容
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- 中学校・移行期の理科指導のポイント (第3回)
- 理科教育全体に関連する共通的な概念
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- 編集後記
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- ご存知“この動物の24時間” (第5回)
- ウサギは一番のトラブルメーカー
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編集後記
○…最近やっと?総合的学習はそれとして,教科の学習のほうももっと研究していこうという機運が芽生えてきた…ともいえると思います.このような特集をしたいと思った動機もここにあります.
今回,関連したものをあれこれ勉強したもののなかに,宮城教育大学の西林克彦先生が書かれた「“わかる”のしくみ」という本がありました.この本のなかには,こんな例がありました.
「凸レンズが光を集める」ことはほとんどの人が知っています.また「虫眼鏡は凸レンズだから,凸レンズはものを拡大して見せる」ということもよく知られているだろうと思います.
しかし多くの人がこれら2つのことがらに,関連をもたせていないのも事実です.学生の多くは「光を集めるもので,なぜ物が大きく見えるのか」と問われると,考えたこともないといいます.どうやら凸レンズをただ並列的に並んだ別々の機能のように考えているようです.
学生に「凸レンズは光を集めるのだから,ものが小さく見えることにならないのだろうか」と問うと「集める」ことと「拡大」に矛盾を感じるようになります.「わかったつもり」の状態が壊れて,これら2つのことがらを繋ぐ「統一的な文脈」が必要になります.
このようなことから,西林先生は「わかったつもり」がその過程の中で演じている妨害の機能をはっきりと認識し,それへの意識的な対応をすることが必要だ,と指摘されています.
本号では,そのようなことが起こりやすい“用語・概念”と,その具体例をご指摘いただきながら,そのような場合,どのような指導で対応していけばよいのか,事例研究的にご紹介いただきました.
(樋口雅子)
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- 明治図書