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特集の解説
「この一言」で子供の動きが変わった
千葉市立あやめ台小学校
根本 正雄
子供を指導していて、「一言」で子供がガラリと変わることがある。
5年生で側方倒立回転の指導をした時である。腰が上がらずまっすぐに回れない子供がいた。玉入れの赤玉をマットに置いて、次の指示をした。
「赤玉を最後まで見て、回りなさい」
すると、まっすぐに回れなかった子供がすっと立てるようになった。それも一人や二人ではない。次から次へと立てるのである。
「赤玉を最後まで見て、回りなさい」という一言で、子供の動きが一変したのである。
子供の動きを変える言葉があることを知った。
本誌1999年2月号で、富山県の此川美奈代氏は、「三つのじゅもんでボールゲットだぜ!」というサッカー遊びの実践を発表している。
この実践には、子供の動きを引き出す言葉がけが紹介されている。「この一言」で子供の動きが変わる指示をしている。
指示1 シュートするときは、
@ トンキックとキックします。
指示2 相手のボールを一度止めてからパスするとよいですよ。
A ピタッ パス
指示3 敵からボールを守る。
B クルリ(あしのうら)なでなで
サッカー遊びについての指示が的確で、子供の感性に訴える内容になっている。
シュートをする時に「強くキックをします」と言っても子供には伝わりにくい。
「トン キック」と指示することによって、子供は正しいキックができるようになる。
なぜなら、「トン キック」には、トンという動きとキックという動きの指示が入っているからである。
「強くキックをします」という指示には、キックの動きの指示しか入っていない。しかも「強く」は、どの程度の強さなのか子供には伝わらない。
ところが、「トン キック」では、トンによって軸足を置き、キックによってボールを蹴るというシュートに必要な動きを引き出す指示が入っている。
パスをする「ピタッ パス」も同じである。パスをするには一度ボールを止める必要がある。止めてからパスを出すのである。
「まっすぐパスをしましょう」では、ボールを止めるという動きが指示されていない。
その点、「ピタッ パス」では止めてからパスするという一連の流れが子供に伝わる指示になっている。
このような指示を「複合指示」と名付けることにする。子供には極めて有効である。
此川氏のような「複合指示」をこれからもたくさん作り出していきたい。その他にもいろいろな指示がある。
本特集では、「この一言」で子供の動きが変わった実践例が紹介されている。活用して、子供の動きを変えていってほしい。
これらの言葉が多く集められれば、指導する時に役立つ。法則化運動の原点である。
実際に試してみてよりよい言葉を開発していきたい。子供の動きを変える言葉を指導の引き出しにたくさん入れている教師は、優れた指導をすることができる。
多くの教師に分かち伝えて、共有財産として残していく。多くの教師の実践を通して、「この一言」を蓄積していくのである。
どんな些細な言葉でもいい。子供が変わる言葉を砂金を集めるようにしていくことが大切である。多くの方の実践をお願いしたい。
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- 明治図書