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特集の解説
器械運動が苦手な子―症状別指導のヒント診断と指導
千葉市立弥生小学校
根本正雄
一、科学的な運動の診断
運動のできない子供が、どのように指導したらできるようになるのか、TOSS体育授業研究会はずっと追求してきた。
その結果、できない子供をできるようにするためには、指導のコツが大切であることがわかってきた。
やみくもに指導するのではなく、指導のコツをつかみ効率のよい指導を行なっていくことが近道である。
本特集では、運動の苦手な子が喜ぶ器械運動のコツが紹介されている。器械運動は子供の苦手な種目である。
しかし、一度コツをつかむと上達が早い。
指導のコツを発見するには次の手順が考えられる。
1.なぜできないのかの診断をする。
2.診断に基づいて指導方法を考える。
病院の医師が患者を治す時に最初に行なうのは診断である。病院に行けば診断する機器があり、症状に合わせて原因を調べていく。
熱は体温計で調べる。血圧は血圧計で調べる。すべて目に見える数値で結果がわかるようになっている。
もちろん数値だけではなく、問診、触診などもあり、総合的に診断する。
医師はそれに応じて治療を行なっていく。薬を処方し、必要があれば手術も行なう。客観的な診断があるから、それに応じた治療ができるのである。
体育の指導も医師と同じような診断、治療が必要である。できない子供がいた時に、どうしてできないのか、どこがつまずいているのかを客観的に診断する方法があれば、指導はしやすくなる。
もしそれがわかれば指導の手立てが見えてくる。つまずきがわかればそのつまずきを取り除く指導をしていけばよいからである。
客観的な数値になって表せればベストである。科学的な運動の診断方法が求められる。
二、診断に基づいた指導
次に診断に基づいた指導が大切である。頭はね跳びという種目がある。頭はね跳びができるためには、どんな運動ができていなければならないのであろうか。
頭はね跳びには、どんな基礎感覚、基礎技能ができなければならないのであろうか。
頭はね跳びができない子供がいた時に、できない動きの原因を分析していけば、客観的な診断ができる。
頭はね跳びのできない子供にいきなりはね跳びを指導するのではなく、診断に基づいた指導をしていくようにする。
頭はね跳びの指導前にどんな技があり、その後どんな技に発展していくのか全体の系統に基づいて診断していくようにする。
その後に頭はね跳びの指導を行なう。つまずきがわかれば、指導方法も考えられる。指導方法はすでに明らかにされているものがあればそれを活用する。
指導方法がなければ開発をしていく。そのような手順を踏んでいけば、必ずできるようになるコツが発見されていく。
原因を分析し、科学的な指導を行なっていくことにより無理のない楽しい授業ができる。
それは動きの原理・原則に基づいた指導だからである。
教師がどれだけ自覚しているかで、子供の動きはまったく変わる。
できるだけ多くの指導法の中から、最も効果的な方法を選択して指導していってほしい。
本特集では、以上のような考え方で各教材の診断方法と指導方法が紹介されている。
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- 明治図書