- 特集 子どもの心をわしづかみにするよさこいソーランの指導
- 特集の解説
- 「よさこいソーラン指導」のすべて
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- T “よさこいソーラン”理論編
- なぜ、今TOSS体育よさこいソーランなのか〜TOSS体育よさこいソーランで「失われた身体感覚」を取り戻す〜
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- 子どもの踊りが見違えるほど変わる三つの指導技術〜TOSS体育よさこいソーラン指導〜
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- TOSS体育よさこいソーラン指導の前に
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- YOSAKOIソーラン祭り誕生経緯
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- U “よさこいソーラン”指導の流れ<みんなが熱中!の実践プラン>
- 子どもの心をわしづかみにする第一時の指導 子どものやる気を持続させる第2時の指導
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- 子どもの小さな変化を大切にする第三時の指導 子どもの限界に挑戦させる第四時の指導
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- 子どもの心に変化を与える第五時の指導 子どもの「できる」を広げる第六時の指導
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- できた! の達成感を味わわせる第七時の指導 子どもの工夫できる部分を作る第八時の指導
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- 子どもの踊りを生かす隊形を作る第九時の指導 子どもの本気を高める第十時の指導
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- TOSS体育よさこいソーラン(高学年用)<前奏・一番二番三番・間奏>の踊りポイント
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- V “よさこいソーラン”指導上の工夫
- 運動会での隊形の工夫
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- <指導中のビデオの見せ方>ビデオを使えば楽しく指導ができる
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- <よさこいソーラン指導の「評価システム」>「個別評定」と「指示的評価活動」で子どもの動きを変える
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- ビデオを使ったローテーションシステム化
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- <名人による指導のシステム化>学習カードを使った指導のシステム化
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- 休み時間の活用
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- 法被の作り方
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- 鳴子と大漁旗の作り方
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- 子どもが動き出す!「よさこい実行委員会」の組織作り
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- <保護者の協力体制づくり>謙虚な気持ちで「協力」の依頼を
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- <学年・学級通信の書き方>学年・学級通信で何を保護者に伝えるか
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- <放送原稿の書き方>子どもの変化と評価ポイントを伝える放送原稿の書き方
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- 入場シナリオの書き方
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- 運動会発表の記録の方法
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- 地域とのかかわり方
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- W “よさこいソーラン”実践編
- 低学年/動きを引き出すネーミングと言葉がけ!
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- 低学年/1年生8名でも立派に踊れた!
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- 中学年/私にもできた! 感動のよさこいソーラン
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- 中学年/「かっこいい!」と声援がおきた『TOSS体育よさこいソーラン』〜4年生111名の実践記録〜
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- 中学年/よさこいソーランの周辺
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- 高学年/子どもたちは休み時間も取りつかれたように練習した
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- 高学年/体育初心者でもできるTOSS体育よさこいソーラン
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- 高学年/我流は授業をダメにする
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- 中学校/初めてのよさこい指導〜グループ練習・評定で指導力不足を補う〜
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- 中学校/生徒自身で作り上げる祭りに感動!〜踊り指導班の活躍〜
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- グラビア
- 運動会の目玉種目! TOSSよさこいソーラン
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- 運動会用よさこいソーラングッズ
- よさこいソーラン模擬授業〜第四回TOSS体育授業上達セミナーin北見〜
- TOSS体育よさこいソーランを運動会で踊るために
- 編集後記
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- 熱気がたちこめる場づくりの指導ポイント
特集の解説
「よさこいソーラン指導」のすべて
千葉市立蘇我小学校 根本 正雄
1 TOSS体育よさこいソーランの価値
齋藤孝氏は『身体感覚を取り戻す〜腰・ハラ文化の再生〜』(NHK放送協会)の中で中心感覚について述べている。中心感覚というのは、中心軸を意識することである。
中心軸はすべての運動にとって必要である。一輪車がなぜ子どもの運動によいのかというと、一輪車に乗れることによって中心軸ができるからである。
中心軸ができると、他の運動に転移できる。例えば次の例である。
○短縄跳びで一定の場所で跳べる。
○視線を前方に固定すると上手に跳べる。
○スキーで視線を固定すると安定したフォームで滑れる。
これらはすべて中心軸との関係で説明できる。
齋藤氏は呼吸法の大切さについても述べている。呼吸法はすべての動きの基本になっている。ヨガ、禅、合気道、剣道、ピアノの演奏もそうであると言う。
運動にとって最も大切な中心感覚、呼吸法を言葉で言っても子どもには伝わりにくい。
言葉では伝わりにくい中心感覚、呼吸法をTOSSよさこいソーランを踊る中で身に付けさせることができるのである。
TOSSよさこいソーランは齋藤氏が主張している「中心感覚を取り戻す」ことができる動き作りがされている。
楽しく踊り込む中で中心感覚、呼吸法が体得できるのである。
中心感覚、呼吸法が体得できると他の運動にも転移し、上達が早くなる。そこにTOSSよさこいソーランを踊る価値がある。
齋藤氏は技化についても強調している。
身に付けるのは難しいが、一度身に付けるとその後役立つ動き作りになっている。
運動で最も大切なのは、感性である。
ぱっと見て「これはいい、悪い」が直感で判別できる感覚を身に付けることが上達の秘訣である。
TOSSよさこいソーランを通して、豊かな感性を育て、動きの原理を理解し、よりよい動きができるように技化していくことができるのである。
さらによいのは、みんなで動きを共有し、子ども同士の関わる力を育てていくことができるのである。
子どもに踊る楽しさ、集う楽しさ、分かる楽しさ、作り上げる楽しさを体験させていける。同じ曲、同じ振り付けでも個性が出てくる。
自分の踊りを追求させていく中で、自分が一番美しい、一番気持ちよい踊りを作り上げていくことができる。
人との比較ではなく、自分の絶対的な世界の創造を目指す指導をしていく。
「これだ」という世界が創れたら、子どもは一生の宝になり、自信を持って生きていける。
自分の世界の持てた子どもは他人を大切にする。結果としていじめ、不登校がなくなる。
2 悩みや問題が解決できる方法の紹介
楽しい体育ビデオシリーズとして『よさこいソーラン』(明治図書)が発刊された。それを活用し、運動会では多くの学校で取り上げられ、実践されている。
本誌では、TOSS体育よさこいソーランのすべてを紹介し、初めて取り組む方でもすぐに実践できる組み立てになっている。
初めての方が悩むのは次の点である。
@ 指導者が踊れない。
A どんな準備物が必要なのか分からない。
B どんな隊形がよいのか分からない。
C 指導の手順はどのようにするのか。
D 動きのポイントはどう指導するのか。
本誌では、これらの問題がすべて解決できるように構成されている。
山梨県の根津盛吾氏は第一時の指導を次のように報告している。
@ 昨年の運動会の映像を見せる。
A 三年前の映像を見せる。
B よさこいソーランのよさを伝える。
C よさこいソーランの映像を見せる。
D 練習時の隊形を確認する。
E 柔軟体操をする。
TOSS体育よさこいソーランの導入をどう指導するかについて、具体的な指導法が紹介されている。
ビデオをどのように見せるのか、一回見せるのか、二回見せるのかなどが具体的に述べられている。
千葉県の臼井俊男氏はTOSSよさこいソーランの第二時を指導した後、次の問題点を挙げている。
@ 男子は踊りが途切れるたびにおしゃべりをし、その結果、説明を聞かず画面と踊りが違ってしまう。
A 女子は男子に比べ、踊りが小さい。足の幅が肩幅より小さいし腰や上体を曲げない。
B ビデオを見ながら踊るだけでは、違う踊りを覚えてしまう危険性と振りが小さいことに気づかない危険性がある。
TOSS体育よさこいソーランの動き作りについての問題を取り上げている。
正しい動きをどのように指導していくかを実践の中から述べている。
北海道の寺本聡氏は、次のような問題を投げかけている。
@ 法被、鳴子、豆絞りなどを含めた服装をどうするか。
A 群読と和太鼓とよさこいソーランの組合わせをどうするか。
このようにTOSS体育よさこいソーランを実践する上での悩みや問題を解決できる方法が、本誌では具体的に紹介してある。
運動会の実践だけでなく、学芸会や学習発表会や地域の祭りでの実践でも活用できる。
ビデオと合わせて本誌を活用してくだされば、効果が倍増する。
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- 明治図書