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特集の解説
劇的に授業を変えた「この発問・この指示」
TOSS体育授業研究会代表
根本正雄
2006年6月10日、第2回TOSS体育よさこいソーラン全国セミナーIN札幌が開催された。
今回のセミナーは、「新教材ソーラン・SAMURAI―侍―」の本祭りステージ発表である。
「新教材ソーラン・SAMURAI―侍―」の振り付けは、宮野正樹氏が行った。セミナーでは宮野氏による実技指導が行われた。
宮野氏の指導が入ると、あやふやだった踊りが一つずつ確かなものになり、みるみるうちに踊りの動きはよくなり、洗練されていった。
その理由の一つは、宮野氏の絶妙な「発問・指示」にある。宮野氏の次の「発問・指示」で動きは劇的に変化していった。
・ 3番、手はバッテン、おもいきり引く。斜め後ろに上げる。
・ 声をかける。セイ ハッー、イチ ニー セイ ハッ、声の大きさが全然聞こえない。
・ 右手で指す。左手の肘の下、何かくれと差し出すようにする。自分のところに引いてから指す。最後まで自分の中指を見ている。
・ 膝を使う。たたきつける。1人ずつ行う。
・ おしりを開く。膝が伸びている。すくう時にはもう5センチ伸びるとその方だけ伸びる。
・ 腕を膝の上にのせる。アクセントをつける。下げる時はおでこからではなく、顎からおろす。踊りのアクセントは手と一緒に顔を後方に向ける。
・ ちょっと早くするという。
・ 「とっ」という。印象が変わってくる。漁師の踊り、顔のアクセントをつける。メリハリがでてくる。セイ、ハッ、ヨイヤサー。
・ 1、2、3 イチを早く動く。2、3は弱く。メリハリをつける。
以上の指示を分析すると次のようになる。
1 数字を活用して、内容を具体化している
・3番、手はバッテン。
・5センチ伸びる。
・1、2、3 イチを早く動く。2、3は弱く。
2 擬音語を活用して、イメージを膨らませている
・セイ ハッー、イチ ニー セイ ハッ。
・「とっ」という。
・セイ、ハッ、ヨイヤサー。
3 身体の部位で動きを表現している
・右手で指す。左手の肘の下。
・おしりを開く。膝が伸びている。
・腕を膝の上にのせる。
・下げる時はおでこからではなく、顎からおろす。
・踊りのアクセントは手と一緒に顔を後方に向ける。
・顔のアクセントをつける。
4 動きの方向を示す言葉で指示している
・斜め後ろに上げる。
・何かくれと差し出すようにする。
・最後まで自分の中指を見ている。
・顔を後方に向ける。
踊りの指導を以上の指示で行ったのである。その結果、短時間の中で動きは劇的に変わっていった。
体育の授業における発問・指示は他の教科とは異なる面がある。体育は身体活動である。身体をよりよくするためには、身体構造に沿った動きの開発が必要である。
「足のつま先を伸ばしなさい」という指示で膝が伸びていく。「膝を伸ばしなさい」といっても伸びないが、「足のつま先を伸ばしなさい」と間接的にいうと膝が伸びるのである。
本特集ではこのような子どもの動きが変わる発問・指示が紹介されている。同じ発問・指示も何回か繰り返す中で磨かれていく。本誌の内容を実践して、よりよい授業をしていってほしい。
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