- 特集 水泳―“足びれ”で子どもが激変する指導
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- 低学年 水遊び
- 〈水に慣れる遊び〉ジャンケンとリレーで楽しくスムーズな水慣れを実現する遊び
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- 〈水に慣れる遊び〉『楽しいことが待っている』を作る
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- 〈浮く遊び〉楽しく動物に変身!まずは背浮きから
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- 〈浮く遊び〉スモールステップで楽しく浮こう
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- 〈もぐる遊び〉様々なバリエーションの組み合わせで楽しいもぐり遊びをー安全面に十分留意し、子どもにあった指導を行っていくことだー
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- 〈もぐる遊び〉低学年「足びれ」を使用するまでのステップ作り
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- 中学年 浮く・泳ぐ運動
- 〈浮く運動〉いろいろなバリエーションで浮くことで、水に対する抵抗感を少なくしていく
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- 〈浮く運動〉恐怖心を取りのぞいて浮かせる
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- 〈泳ぐ運動・クロール・平泳ぎのストローク〉効果抜群 手を合わせなさい
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- 〈泳ぐ運動・面かぶりクロール・平泳ぎ〉水泳が大好きになる指導システム
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- 〈泳ぐ運動・呼吸をしながらの泳ぎ・クロール・平泳ぎ〉息つぎは、ボビングとダルマ浮きからスタート!
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- 〈泳ぐ運動・呼吸をしながらの泳ぎ・ちょうちょう背泳ぎ〉水に顔をつけるのが苦手な子が75メートル泳げるようになった
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- 高学年 水泳
- 〈水泳 クロール〉ローリングで呼吸が楽にできる
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- 〈水泳 クロール〉足ひれを使って、クロールができるようになろう
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- 〈水泳 平泳ぎ〉四つのステップで平泳ぎをマスター
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- 〈水泳 平泳ぎ〉まず、子どもの様子から課題を発見する
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- 〈水泳 背泳ぎ〉たった20分で背泳ぎのフォームが美しくなる
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- 〈水泳 背泳ぎ〉足ひれを使うことであっという間に背泳ぎが泳げるようになる
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- 5年生/体の伸びとストローク数を意識しながら泳がせる
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特集の解説
水泳―“足びれ”で子どもが激変する指導
TOSS体育授業研究会代表
根本正雄
千葉大学の下永田修二氏の足ひれをつけた指導を参観させていただいた。下永田氏の指導は素晴らしく、今までの水泳指導を越える内容であった。
@ 足ひれの使用によって浮力ができる。
A 足ひれの使用によって推進力が付く。
B 足ひれの使用によって呼吸がしやすくなる。
C 足ひれの使用によってフォームが美しくなる。
D 足ひれの使用によって、クロール→横泳ぎ→背泳ぎの指導が系統的にできる。
足ひれの使用によって子どもの動きは一変した。第1に浮力がつき、体が浮いた。体が浮くことによって呼吸がしやすくなったのである。
第2には足ひれによって推進力が付いた。ヘルパーを付けることによっても確かに浮力は付く。しかし推進力は付かない。推進力が付くことによって、泳ぎのスピード感覚が身に付く。言葉を換えて言えば、泳ぐことのダイナミックな快感を体験できるのである。
浮く、進むという泳ぎの運動特性を足ひれを付けることによりできるのである。ヘルパー、ビート板という補助具によってなしえなかった指導が、足ひれによって可能になったのである。これは画期的な指導法である。
第3には呼吸がしやすくなったことである。呼吸がしやすくなったというより、呼吸の練習のステップが容易になったのである。浮力がつき、推進力が付くことによって、上体が水面より上がっている。
水面より上体が上がっていれば、当然呼吸はしやすい。呼吸の体感によって楽に泳げ、自信がつく。泳ぎの楽しさが体で理解されていく。意欲が高まっていくのである。
第4にはフォームが美しくなることである。これが足ひれ着用で一番感動したことである。水泳教室に来ている子どもである。25メートル泳げない子どもである。肩に力が入り、呼吸ができずに、すぐに立ってしまう子どもである。
そんな子どものフォームがクロール、背泳ぎとも素晴らしく美しいフォームになったのである。しかも極めて短時間である。10分程度である。それはとりも直さず、足ひれの効果である。足ひれを使用することによって、膝が伸び、腰が伸び、上体が伸び、腕が伸びた成果である。
驚くのは足ひれを付けた全員のフォームが美しく、同じようなフォームになったことである。足ひれを付けただけでフォームが変わるというのは画期的である。指導が悪くても足ひれがフォームを作ってくれる。泳ぎの苦手な子どもにとっては、素晴らしい補助具になってくれる。
このあとの指導で下永田氏は、足ひれを付ける→足ひれを外す→足ひれを付ける→足ひれを外すという指導をされるという。最終的には足ひれを外しても、付けた時と同じようなフォームで泳げるようになるのである。
指導の圧巻は、クロール→横泳ぎ→背泳ぎの系統的指導がされたことである。これまで学習指導要領ではこの系統は示されていなかった。横泳ぎを入れることによって、クロールから背泳ぎに入る指導のステップができたのである。
横泳ぎの指導が可能になったのも全て、足ひれの導入である。足ひれを使用することによって、浮力が付き、推進力が付き、横での呼吸が可能になった。
クロールの呼吸は横である。背泳ぎの呼吸は上である。横から上に一気に行くのではなく、その間に横の呼吸法を入れることによって、段階的に無理なく呼吸ができるようになった。
その効果の素晴らしさは子どもの記録が示している。25メートル完泳できなかった子どもが、2日間の指導で、3名ができるようになった。特に前昨日欠席し、参加したA君は最初は体全体に力が入り、浮くことができなかった。
しかし、足ひれを付けることによって次第に無駄な力が抜けていった。脱力がなされ、体が浮いてきた。楽に泳げるようになっていった。これは、ヘルパーやビート板では得られない効果である。
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- 明治図書