生活指導 2006年5月号
子どもの拒否やトラブルに出会った時 〜つまづかないためのヒント〜

L629

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生活指導 2006年5月号子どもの拒否やトラブルに出会った時 〜つまづかないためのヒント〜

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2006年4月7日
対象:
小・中
仕様:
A5判 124頁
状態:
絶版
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目次

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特集 子どもの拒否やトラブルに出会った時―つまずかないための実践のヒント
子どもの拒否やトラブルに出会った時―つまずかないための実践のヒント
大和久 勝
小学校/遅刻や登校しぶりをする子どもに出会ったら
子どもの「居場所」をつくることがまず大事
田中 新一
中学校/不登校・登校拒否の子どもに出会ったら
生き生きとして生活できる学校をどう創造するか
上林 武彦
小学校/授業中の立ち歩きや授業に集中できない子どもに出会ったら
授業規律と集団づくり
植松 保信
中学校/授業エスケープや授業妨害をする子どもに出会ったら
辰夫のエスケープを例に
河瀬 直
小学校/乱暴な子どもを見つけた時
『あなたが悪いんじゃない』と言える教師になるために
篠崎 純子
中学校/暴力的な子どもを見つけたら
暴力に対抗する実践を
安島 文男
小学校/教師の言うことをきかない状況が見えてきたら
子どもの声を聞き、子どもに取材しよう
浅見 慎一
中学校/教師への反抗が形になってきた時
「今日の先生の対応はどうだった」
安子島 宏
小学校/子どもの中にいじめが見えてきた時
いじめにおける個人の指導・集団の指導
古関 勝則
中学校/子どもの中にいじめが見えてきた時
問題解決も大切だが、活動を作り出すことに重点を置こう
中川 晋輔
小学校/「特別なニーズを持つ子」が学級・学年に見つかった時
「特別なニーズを持つ子」と出会った時のために−覚え書き−
白桃 敏司
中学校/「特別なニーズを持つ子」が学級・学年に見つかった時
一緒に「困る」仲間になる―事実を共有しよう―
井原 美香子
第2特集 教師の生きづらさを読みひらく
報告・教師の声
信頼関係を引き裂く外部評価制度
橋本 義文
「嵐」の中でも生き延びてやろう
青山 純
管理強化の中で自己崩壊する職場
浅野 史子
追い立てられている教師たち
佐藤 敦
論考
人と人をつなぐ人的・制度的資源の創出を
鈴木 庸裕
「生きる形」を変える憲法・教育基本法の「改正」
竹内 常一
今月のメッセージ
困難なときほど原則に沿って
荒谷 開
若い教師のための子ども集団づくり12か月 (第2回)
小学校5月/保護者との出会いをどうつくるか
齋藤 修
中学校5月/子どもたちのかかわり合いを作り出すために
本田 広行
実践の広場
私の教室
中学校のかた苦しさを取り払いたくて
峰村 勝
学びの素材
授業の中で世の中と出合わせる第一歩として
鈴木 直
すぐ使える遊び・ゲーム
学級づくりのためのゲームいろいろ
萩野 隆富
部活動・クラブ活動の工夫
部活にかかわることで変わるもの
山川 海
子どもの文化事情
学習発表会「こころのバリアフリーをめざして」
岸田 久惠
手をつなぐ―親と教師
親子行事から親とつながる
伊藤 博文
心に残る子どもとの対話
私を支えてくれたメール「バッカみたいだった」
高森 次郎
掲示板Y・O・U
小川 雪前川 恵子ほか
風の声―この人に聞く
生活指導から詩人へ
宍戸 ひろゆき
教育情報
日常からの脱出・日常への跳躍
竹内 元
ホッと一息・コーヒータイム
私のオフタイム
松永 栄二
マンガ道場
濱武 準子
読者の声
3月号を読んで
全生研第48回全国大会案内
編集後記
大和久 勝

今月のメッセージ

困難なときほど原則に沿って

―子どもの拒否やトラブルに出会った時―

荒谷  開


 昨年転勤してきた学校は、ここ数年「荒れ」が続き、教職員の病休、退職が続いていた。私の学年でも、22人の男子の内20人が切れる状態で、正直、私は立ち尽くしそうになった。これだけの数の子どもから「信用してないから!」という瞳で見られたのも初めての経験だ。いわゆる「教育困難」な児童とは数々出会ってきたが、共同と援助で乗り切ってきた。ところが今度は学級が「教育困難」な児童だけで出来ている感がある。どうするか?その時わたしの頭に浮かんだのは「困った時は原則に戻る」という言葉である。では原則とは何か?

 第一に「子どもに対してルールとマナーを守る」ということである。

 相手がルールとマナーを守れない時ほど、こちらはルールとマナーを守る。どんな事態にも、きちんとルールとマナーを守りながら対応していく事で、やがて来るべき世界を子どもに見せていく。まず教師がやってみせることが大切だ。一つ一つの暴言や行動に傷ついている場合ではない。平然と乗り越え、のみならずその裏にあるものをきちんと理解し、援助の手を差し伸べる大人がいることを教えていく。

 第二に「子どもを理解する」ことである。

 子どもがやりたがることには必ずわけがある。また子どもの起こすトラブルは、誤った形での要求の提出である。子どもの歴史と現状を知り、やりたがることやトラブルの裏にある「本当の要求」を読みとる。そのために春休みから可能な限り関係者と会い、話を聴いた。まず、子どもたちは言葉尻を捉えて「ほらやっぱり嘘や」とつっかかってくる。また、少しでも指導をしようとすると「いらんし」と拒否をする。大人が信用できないのだ。つぎに、子どもたちは、人からバカにされたり、下に見られたりすることに敏感である。そう感じたときにすぐ切れる。そのくせ、自分より劣っているように見えるものは徹底的にバカにし、攻撃する。子どもたちは対等平等な関係を望んでいるのだが、自分に対する自信がないので上下にこだわるのだ。第三に、子どもたちは、毎日のように暴力沙汰を繰り返す。よせばいいのに近づいていって喧嘩になるのである。それは子どもたちがコミュニケーションを求めているからこそだ。第四に、子どもたちは徒党を組んで教師を襲撃し(!)授業中に野球をやり(!)体育倉庫に忍び込んで遊んでいる。それほどに仲間と一緒にギャングエイジ的な活動を展開したいのだ。分析できるとまるで得体の知れない怪物のようだった子ども達の人間としての顔が見えてくる。

 第三の原則は、分析に基づき、「子どもたちに活動を提起すること」である。

 この場合だと

 1 大人と自分と友達と、共に信頼できるなと思える活動

 2 コミュニケーション力を身につける活動

 3 みんなで何かをやりとげる活動

を提起し、その先頭に立つ必要がある。また、傷つき、疲れた子どもたちを相手にするとき、失敗させること、叱ることは避けなければならない。「したくないこと」、「できないこと」はどんなに必要な活動でも避けて通る。「したいこと」、「できること」に取り組ませながら、自信と満足感を味わわせて「したいこと」「してもいいこと」を広げていく。

 第四の原則は、それらの事が子どもたちでできるように活動の中で組織を立てていく。そしてその組織を活用し、教師と一緒に頑張ろうとするもの、要求の実現の先頭にたつものを探し、育てていく。


 気が付けば五月には学年は、実行委員会を組んで、楽しく、平和に宿泊行事「マリンスクール」にいけるようになっていた、全く「困難な時ほど原則に戻れ」である

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