生活指導 2007年7月号
学校・教師批判から共同へ

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生活指導 2007年7月号学校・教師批判から共同へ

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2007年6月5日
対象:
小・中
仕様:
A5判 124頁
状態:
絶版
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目次

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特集 学校・教師批判から共同へ
学校・教師批判から共同へ
井本 傳枝
実践・小学校
つながりたい思いを一つに
芳野 かおり
ひとりじゃ何もできないからこそ
猪野 善弘
実践・中学校
猛烈な学校・教師批判の嵐のあとに
栗城 利光
お母さんたち、大変ですね
井原 美香子
コメント・小学校
いかにして「共通の理解者」になれるか
篠崎 純子
コメント・中学校
同じ時代を生きる者として
木村 勝明
論文
親・保護者と共に、苦悩と希望の共同開拓を
赤羽 潔
第2特集 いま、子どもにとって大切な学びとは
実践・小学校
「もっと知りたい、分かりたい」につながる学びを
坂田 和子
あなただけの「一つの花」を書こう
由布院 桃太郎
実践・中学校
考えよう、未来のことを
篠崎 修
話し合いから生まれてくるもの
北原 浩平
論文
共同の発見・創造としての学びを
浅野 誠
今月のメッセージ
学校・学級を変える
小室 貴
私の授業づくり・道徳 (第4回)
小学校/道徳の授業づくり―『千の風になって』―
小林 信次
中学校/権利と義務の授業
山口 智史
実践の広場
学級のイベント
子どもたちが乗るものを
加藤 和男
学年・学校行事
学校行事も生徒がつくり変える
小川 嘉憲
学びの素材
富山大空襲の体験を聞く
本堂 進
子どもの生活を見る
わが家の文化事情
瀬女 杏子
部活動・クラブ活動の工夫
部活で何をめざすのか!
熊本 保之
心に残る子どもとの対話
納得するまで、つきあうよ!
藤原 敦子
手をつなぐ―親と教師
保護者とつながる
本山 陽一朗
掲示板Y・O・U
野呂瀬 健上田 さき
ホッと一息・コーヒータイム
私のオフタイム
濱口 智
マンガ道場
濱武 準子猪俣 修
案内板 集会・学習会のお知らせ
教育情報
教職員のメンタルヘルス―生活指導の立場から―
間宮 正幸
風の声―この人に聞く
鳩ヶ谷市長選体験記
吹上 早苗
読書案内
『はだかのいのち』(高谷 清・著)
白桃 敏司
読者の声
5月号を読んで
シリーズ/「いじめ」問題を考える (第3回)
いじめによる自殺、なぜ…?
安島 文男
全生研第49回全国大会案内
編集後記
井本 傳枝

今月のメッセージ

学校・学級を変える

常任委員 小室  貴


さまざまな出会いがあり、また出会いなおしが今年もあることでしょう。

子どもと親の変わりようが激しいので、なかなか、子どもや親の願いがどこにあるのかつかめず、親とトラブルになったり、子どもの指導拒否にあったりして、教師という仕事に自信をもてなくさせられることが多くなったように思えます。

去年の、中2の私の学級にM子がいました。今まで、出会ったことのないというぐらい、つかめませんでした。

M子は中1の時は、きれることで学年一の有名人でした。私はM子の学級を授業で担当していましたが、目立つことをすることもなかったので、特に困ったこともありませんでしたが、担任の先生は、指折り数えて、1年がすぎることをひたすら待っていたということを聞いていました。

中1の6月に変身し、学級の子たちは、M子が突然きれだすので、恐がり、何も言えずにいたということを聞きました。M子も好き勝手にやっていた1年だったようでした。

私の学級になり、聞いてみました。「今度の学級はどう」

「テンションあうやついなそうで、やっていけなさそう」とM子は沈んでいました。

この後、M子が引き起こす、さまざまな事件に、私も翻弄される日が続きました。まわりの教師からは、「きれると目がすわって、大人でも怖いですよ。大変な生徒ですね」と同情される毎日。とんでもない生徒というまわりからの視線が強まるなかで、担任としての私の役割を自問自答する日が続きました。

事件を起こすたびに、経過や起こしたわけよりも、「そのときの思いはどんなだったの」と聴くことにしました。

「いじめようなんて思ってなかったの、これ本当。ただおもしろいと思ってやってしまった」

「だって、おもしろいことが他にないんだもの」

「気分でやってしまうの、別にイライラしてたとかいうのでもないし、おもしろいと思ったら、ほうきに火をつけていたの、マジックで壁に卑猥なことを落書きしてたの」

母子家庭で、夜遅くまで仕事をしている母親に代わって、妹のために朝食を毎日作ってやるM子、好きな合唱やダンスでは、他の女子がまねできないぐらいの才能を発揮するM子、他の教科は世の中に出ても、役に立たないよと言って、絵や詩を書いているM子、いやなことは何と言われても、絶対にやろうとしないM子。

M子の思いがつかめないでいました。わからないので、やたらとM子に話しかけることもひかえ、距離をとりながら、なるべく冷静に観察することにつとめました。

I子やT子が、M子に関心を持ち始め、「みんなが思っているほど怖くないよ」といい始めた時期から、M子の読み開きを班長会で重点的にやりだしました。M子はどこまでも、みはなさない友達や大人を求めて、荒れていたのかも知れません。

M子は休まず、登校して来ます。何かを求めているから学校に来ると思うと、M子のような切実に課題を抱えた子こそ、生きられる学校や学級を子どもたちや親や職場の仲間と共同して創り出していくことが今ほど、強く求められている時はないと思えます。

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