- 新しい国語科の課題を実践から展望する―年間指導計画/指導の重点化/評価の具体化―
- 前書き
- 実践を評価し,着実に改革していこう
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- 第4回実践国語フォーラム茨城大会を終えて
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- 第1部 座談会
- 新しい国語科の課題―実践から展望する―
- 第1部
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- 第2部
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- 第3部
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- 第2部 小学校 実践/新しい国語科の課題
- 話すこと・聞くこと
- 多様な評価で,児童に話す力と自信を
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- 互いの思いや考えを伝え合う子供の育成
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- 書くこと
- 生きて働く「書く力」の育成
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- 相手や目的を考えながら確かに伝え合う力の育成
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- 読むこと
- 読書生活を広げる「読むこと」の指導と評価
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- 確かな読む力を育てるために
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- 第3部 中学校・高等学校 実践/新しい国語科の課題
- 話すこと・聞くこと
- 中学校・「国語学習の楽しさ」は話すこと・聞くことから
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- 中学校・言葉によって気持ちや考えを伝える,分かり合う力の育成
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- 書くこと
- 中学校・「書く力」を育成する指導と評価
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- 高等学校・新しい文章表現指導への転換
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- 読むこと
- 中学校・「読むこと」を基軸とした年間指導計画と実践例
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- 高等学校・叙述に即して的確に読む力を育てる指導と評価の取り組み
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- あとがき
- より高い展望と学びの輪の拡がりを
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- 資料「第4回実践国語フォーラム茨城大会要項」
前書き
実践を評価し,着実に改革していこう
文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官
国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官 井上 一郎
平成10年版学習指導要領に基づく教育課程が全面実施され,一年が経とうとしている。実践国語フォーラムが提起したのは,実践を総括することの重要性であった。いかに目標を設定しても,建前で終わらせるのならば意味はない。実践をしてこそ,展望が得られるのであり,展望があってこそ実践が可能となるのである。
大会では,3つの柱を設定しておいた。大会以後も,実践は継続しているので,それらを考慮して課題を再掲すると,次のようになる。
1 年間指導計画は,どのように構想したか
2 何を重点化したか
3 評価は,どのように行ったか
現状を見ると,これらの課題は1年間を総括する視点として今も有効だ。取り組みはあるものの,まだ改革されていないことも多い。本書は,これらの課題に対して,実に多くの点から議論を重ね,改革への示唆を与えている。熟読することによって明らかになるはずであろう改革の糸口をここで解きほぐし,来年度に向けた取り組みの方向を明らかにしておこう。1年間の総括のチェックポイントとして活用してもらいたいと思う。
1 年間指導計画は,どのように構想したか
(1) 教科目標に新たに付け加えられた「伝え合う力」は,具体化したか。
(2) 学校独自の特色ある国語教育を展開したか。
(3) 「話すこと・聞くこと,書くこと,読むこと」の三領域及び言語事項の時間は,それぞれ確保したか。
(4) 言語活動は,どのようなものを取り上げたか。
(5) 《目的・自分・相手》といった言語主体,意図や目的などの言語機能,媒体,状況,など言語表現機構を明確にした言語活動を行ったか。
(6) 2学年のまとまりを考えて担当学年の指導内容を確保したか。
(7) 言語生活を豊かにしたり,言語生活に生きるように授業実践したか。
小学校では,「日常生活に必要な言語能力」を,中学校では「社会生活に必要な言語能力」,高校では「社会人として必要な言語能力」を育成しなければならない。これらの課題に応えようとする単元を構想したか。
2 何を重点化したか
(1) 三領域一事項の基礎・基本を明確にし,定着させようとしたか。
(2) 確実に定着した言語活動は何であったか。取り組んだが,必ずしも定着しなかった言語活動は,何であったか。
(3) 一人一人の個性化を図るように工夫したか。
(4) 自ら学んで,自ら課題探求する自己学習は,授業過程に十分配慮されていたか。
(5) 学習資料を開発し,中核教材とともに活用したか。
(6) 読書活動の環境を整備し,読書生活を創るように努力したか。
(7) 同じ様式の話す・聞く活動や書く活動は,継続的に行ったか。
(8) 指導内容に応じた単元の種類を工夫したか。
(9) 他教科等や総合的な学習の時間と関連づけた指導内容を工夫したか。
(10) 課題探求力を中心に,論理的思考力・創造的思考力・批判的思考力など思考力の育成を自覚的に行ったか。
(11) コンピュータリテラシー・メディアリテラシーなどは,関連づけたか。
3 評価は,どのように行ったか
(1) 指導目標に準拠して評価規準を設定したか。
(2) 単元の評価規準は,授業過程に適切に位置づけて評価したか。
(3) 自己評価は,授業過程に位置づけられ,教師の評価とともに活用したか。
(4) 「おおむね満足出来る」評価規準を明確にし,「努力を要する」・「十分満足出来る」児童・生徒を判断出来たか。
(5) 「国語への関心・意欲・態度」は適切に評価したか。
(6) 「話す・聞く能力」は,評価規準に合わせた評価方法を工夫したか。
(7) 努力を要する子どもや十分満足できる子どもへの手だてを講じたか。
(8) 単元ごとに評価を行ったか。
(9) 前の単元の評価を活かして新しい単元を構想したか。
(10) 個別に応じて評価資料を蓄積したか。
(11) 評価から評定への方法は,妥当な総括であったか。
(12) 「選択」教科の評価は,内容の独自性に合わせて評価規準を設定したか。
2003年2月
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- 明治図書