- 特集 多文化共生の教育をめざして◇教育現場からの発信
- 多文化共生教育と国際人権
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- わける力とつなぐ力―多文化共生教育への視点
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- ベトナム・カンボジアの子どもたちと共に―日本語指導を通して見えてきたもの
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- 中国帰国生徒教育の現状と課題
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- エスニック・アイデンティティとは何か―在日朝鮮人教育の場合
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- 人権教育国際交流の可能性―地域・学校・保護者の連携による
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- 最近のアメリカの多文化教育事情
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- 【資料】外国人児童生徒にかかわる教育指針(兵庫県教委)
- エピグラフ
- 「日本論」の陥穽
- 〜網野善彦著『「日本」とは何か』(講談社、2000年)334・336頁〜
- 座標
- 教育課程審議会中間まとめ
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- 〜「児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在り方について」についての談話〜
- 〈世界〉を読む・〈世界〉を感じる―異文化の風に乗って (第4回)
- 触れること
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- 現代社会の疎外と教育研究
- 最近の拙著の紹介を通して
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- 書評
- 『メッセージ・ソング―「イマジン」から「君が代」まで』(藤田正著)
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- 〜21世紀を人権の世紀として築くために〜
- 戦後子ども会―覚えがき (第9回)
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- 記者OBの視点
- 理論や通説より史料による実証の重視を
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- 子どもたちにラブレターを書こう〜「小1プロブレム」をともに越えるために (第5回)
- 今どきの子どもたちの良さを生かす
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- 解放教育おりおりの断章 (第7回)
- 狭山事件の教育課題とは何か
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- 『毎日新聞』「社説」の混乱・独善について
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- 授業づくり実践工房 (第9回)
- 子どもの声を聴く(小畑安友美)
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- 編集後記
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編集後記
▽日本社会は、グローバル化の進展にともない、多民族化し、九九年末の外国人登録者数が、一五五万人を超え、総人口の一・二三%を占めるに至った。一〇年前(八九年末)より六割近く増加したことになる。すでに四世、五世の在日朝鮮人の子どもたちだけでなく、中国からの帰国者の子ども、ブラジル・ペルーなどの南米日系人の子ども、国際結婚によるフィリピン、タイなどのニューカマーの子ども、インドシナ定住難民の子どもたちが、日本の公立学校に学ぶようになっている。こうした多エスニック化状況にもかかわらず、文部省の教育行政・施策は、外国籍の子どもたちには、それぞれの歴史的背景と生活実態を軽視し、日常生活に必要な日本語指導を提供する適応指導を、また日本の子どもには、「国際理解教育」を施すといった程度にとどまっている。母国語保持の観点を欠落した自文化中心主義の同化教育システムを積極的に克服していく方針を示してはいない。本特集では、日本の学校を舞台に、困難な状況に抗してエスニック・マイノリティの子どもたちと日本の子どもたちが豊かに出会い、自らのアイデンティティと人間的な関係を確立できるような多文化共生教育の創造をめざして取り組まれてきた先進的な実践を紹介し、現段階での理論的・実践的課題を提起すべく企画した。特集に当たって、柴島高校の藤井伸二、佐々木徹両先生、東大阪市教職員組合の林二郎副委員長、兵庫教育文化研究所の桜井輝之先生のご協力をいただいた。
▽本誌が一九七一年七月に創刊されて二九年と半年。第三九七号の本号から二一世紀に入る。だが歴史的には、一九八九年の「ベルリンの壁」の崩壊から二一世紀は始まったとみるべきである。それ以降のグローバル化・情報化による激変転換期に失政を重ねた支配層の危機意識の深さが、新自由主義と補完関係にある新国家主義の台頭を容認し、憲法=教育基本法体制の無責任極まる改変をもくろませている。
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- 明治図書