解放教育 2004年9月号
変貌する子どもたちの深層―多様な子ども像の読み方

P441

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解放教育 2004年9月号変貌する子どもたちの深層―多様な子ども像の読み方

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ジャンル:
人権教育
刊行:
2004年8月4日
対象:
小・中
仕様:
A5判 132頁
状態:
絶版
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目次

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特集 変貌する子どもたちの深層◇多様な子ども像の読み方
子どもの変容を読む
解放教育編集部
たいせつなもの―思春期に育ち合うこと
森末 哲朗
夢は叶えられる
岡田 敏朗
地域で子育て文化を育てる―子育て井戸端広場「つながり」「学び」「楽しむ」
木村 修作
2004・子どものつぶやき―子どもたちの今
【資料】子どもの明日を守るために
児童虐待問題緊急対策検討チームからの緊急提言 平成16年3月
大阪府
エピグラフ
昭和史の教訓
~半藤一利著『昭和史 1926-1945』(平凡社、二〇〇四年)四九九~五〇二頁~
座標
長崎女児殺害事件と「歌をわすれたカナリア」
大賀 正行
こころの風向計 (第2回)
「おしゃべりしませんか」
直原 弘道
英国・リーズ便り (第6回)
平和を学ぶ学生たち
村上 登司文
「けりがつくまでつづる」ということ (第1回)
池田 雅治
のぐっつぁんのモノローグ (第18回)
未来に投資しない国は亡ぶ
野口 克海
共生のトポス (第30回)
治安問題と外国人
榎井 縁
倫敦学力事情―大阪訪英団が見たイギリス教育改革 (第7回)
大論争、イギリスの教育改革に何を学ぶか(2)
~座談会~
つづり方便り―森の学校・発 (第17回)
学習の過程を記録するということ
坂田 次男
【資料】国連・子どもの権利委員会の総括所見:日本(第2回)
編集後記

編集後記

▽近年、マスメディアで報じられる子どもたちの変容に、大人はとまどいをみせている。既成の子ども像、子ども観が大きく揺らいでいるからであろう。グローバル化時代のもと、高度情報・消費社会、少子高齢化社会の中で生育する子どもたちが、大人世代の子ども時代と異なるのは当然のことながら、例えば長崎・佐世保の小六女児の殺人事件に遭遇する時、驚きを禁じ得ない。加害者が女児であり、低年齢化しただけでなく、その犯行があまりにも短絡的行動に思え、それを引き起こす心身と状況のメカニズムがみえてこないからである。そこで、本特集は、日頃接する子どもたちとの出会いで、親、教師、大人の側が驚かされたこと、気になったこと、おもしろかったこと、考えさせられたこと、うれしかったこと、悲しかったこと、等々、心に刻まれた鮮明な記憶を思い起こして、子どもたちの素顔を取り出し、新しい時代を拓く子ども像の再構築に必要な論議の素材を提供したいと企画した。編集子としては、子どもの非行を凶悪化したと指弾し、出口のない悲観論を提起しようとするものではない。子どもたちの心身の内側で起こっている変化を凝視し、子ども像・子ども観の裂け目を手がかりにして、むしろ大人社会の深層の病根をえぐり出し、子どもの成育環境と子育て・教育の改革につなげたいと期待している。既成の子ども像、子ども観の動揺・解体を対象化して、大人社会自体の変容、深層海流を読みとりたいのである。

▽英国に滞在中の村上登司文さんの平和教育の連載は、今回で終了する。半年にわたるご健筆に感謝を申し上げたい。また、倫敦学力事情と題するリレー連載も、本号で最終回となった。企画者の鍋島祥郎氏を始めご執筆者の皆様にお礼を申し上げる。

▽資料掲載にあたり、子どもの権利委員会の総括所見では、子どもの人権連の平野裕二さん、三宅正人さん、「子どもの明日を守るために」では、大阪府家庭支援課のお世話になった。(桂)

▽とりわけ九・一一からイラク攻撃へと続く事態の中で、自民、公明党は改憲案をまとめた。さらに、来年の通常国会への提出を念頭に、教育基本法改正案の中間報告を発表した。報道された改正案の要旨を読む限り、予想通り、「教育の目標」の「伝統文化を尊重し、郷土と国を愛し(大切にし)、国際社会の平和と発展に寄与する態度の涵養」が改正の骨子となっている。反対に、「民主的で文化的な国家」「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」等の教基法前文の「憲法の精神」は捨て去られ、「男女共学規定」も「時代にそぐわない」として削除されたという。個人の尊厳と権利を抑制する民族主義に立脚し、人権と民主主義に背を向けた改正であることは否定できない。問題は、この改正を受け入れていく気運が高まりを見せており、その暴走をくいとめる世論形成が立ち後れていることではないか。

(桂)


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