- 特集 本に出会い、情況を拓く◇わたしの読書ノートから
- 自分史のなかに「市民社会」を読む
- 最近の読書ノートの一齣
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- 歴史をみる目、人をみる目
- 鶴見俊輔・上野千鶴子・小熊英二『戦争が残したもの』
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- 2004年、どんなことがイラクで起きようと、「泣き言」はいわない決意を固めよう。平和ボケは許されない時代がはじまった。
- 橋田信介『イラクの中心で、バカとさけぶ』
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- 「知力とモラル」を統合するために
- Center for Civic Education『テキストブック わたしたちの法』
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- この国で女であるということ
- 島ア今日子『この国で女であるということ』
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- 「逸脱」の可能性発揮する博物館を満載
- 解放出版社編『人権でめぐる博物館ガイド』
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- パワーを生み出す珠玉の一冊
- 志水宏吉『公立小学校の挑戦』
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- 『子どもたちの人間宣言』によせて
- 坂田次男『子どもたちの人間宣言』
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- おもしろい! 「ホームレスの仕事をつくり自立を応援する」雑誌
- 『THE BIG ISSUE JAPAN ビッグイシュー日本版』
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- 次世代を育てる人にプレゼントしたい本
- 佐々木正美『子どもへのまなざし』
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- 「つくる」ことで 子どもと向き合う
- 東京都同和教育研究協議会編『つくって学ぶ人権総合学習』
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- 新しいパラダイムを求めて(続々)
- 〈扉の言葉〉ブックリスト24選
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- エピグラフ
- 心理主義
- 〜小沢牧子・中島浩籌著『心を商品化する社会』(洋泉社新書、二〇〇四年)一七〜一八頁〜
- 座標
- 市民的不服従の思想―「戦争国家」の時代を迎えて
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- 地域から読書文化を創造する
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- 共生のトポス (第29回)
- 「読めない私を認めてください」
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- 文科省人権教育調査研究会議報告書「人権教育の指導方法等の在り方について第一次とりまとめ(案)」を読んで
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- 【資料】人権教育の指導方法等の在り方について〔第一次とりまとめ〕(案)
- 英国・リーズ便り (第5回)
- 公立中等学校
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- のぐっつぁんのモノローグ (第17回)
- 「これって、大変なことなのに」
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- こころの風向計 (第1回)
- 「旅」
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- つづり方便り―森の学校・発 (第16回)
- 記録すること
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- 倫敦学力事情―大阪訪英団が見たイギリス教育改革 (第6回)
- 大論争、イギリスの教育改革に何を学ぶか(1)
- 〜座談会〜
- 子どものつぶやき
- がんばれ!がんばれ!
- 【資料】深刻化する児童虐待問題によせて
- 子どもたちの輝く未来のために(大阪府教育委員会児童虐待防止指針)
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- 編集後記
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編集後記
▽日本社会は今、グローバル化に対する政府の失政のもとで深刻なデフレ経済に陥り、新自由主義政策により脱出しようとして階層格差を広げ、働く市民や若者・子どもたちの生きる展望を奪い、不安心理に陥れている。イラク戦争と北朝鮮・拉致問題にこと寄せ、危機管理としての有事立法を立ち上げ、教育基本法を改悪して、新国家主義に世論を誘導しようとしている。この戦後史の激変転換期に、我々はどのように暮らしの展望を拓き、進路を選択すればよいのか。我々の「社会的視力」と生き方が問われている。言うまでもなく、書を読むことは、著者との対話を通して、精神的世界を広げ、知性を磨き、世界と個人の在り方を観想する営為である。それゆえ、若い世代が読書離れをしている傾向は、憂慮すべき事態でもある。本特集では、執筆者の皆さんに、過去三年ぐらいの間に発刊され、感銘を受けた書物を一冊選び出して、その意義を論じていただき、優れたところを紹介していただいた。執筆者ご自身の読書論や読書術も披露していただいた。
▽とりわけ九・一一からイラク攻撃へと続く事態の中で、自民、公明党は改憲案をまとめた。さらに、来年の通常国会への提出を念頭に、教育基本法改正案の中間報告を発表した。報道された改正案の要旨を読む限り、予想通り、「教育の目標」の「伝統文化を尊重し、郷土と国を愛し(大切にし)、国際社会の平和と発展に寄与する態度の涵養」が改正の骨子となっている。反対に、「民主的で文化的な国家」「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」等の教基法前文の「憲法の精神」は捨て去られ、「男女共学規定」も「時代にそぐわない」として削除されたという。個人の尊厳と権利を抑制する民族主義に立脚し、人権と民主主義に背を向けた改正であることは否定できない。問題は、この改正を受け入れていく気運が高まりを見せており、その暴走をくいとめる世論形成が立ち後れていることではないか。
(桂)
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- 明治図書