解放教育 2004年8月号
本に出会い、情況を拓く―わたしの読書ノートから

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解放教育 2004年8月号本に出会い、情況を拓く―わたしの読書ノートから

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ジャンル:
人権教育
刊行:
2004年7月8日
対象:
小・中
仕様:
A5判 132頁
状態:
絶版
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目次

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特集 本に出会い、情況を拓く◇わたしの読書ノートから
自分史のなかに「市民社会」を読む
最近の読書ノートの一齣
黒沢 惟昭
歴史をみる目、人をみる目
鶴見俊輔・上野千鶴子・小熊英二『戦争が残したもの』
中野 陸夫
2004年、どんなことがイラクで起きようと、「泣き言」はいわない決意を固めよう。平和ボケは許されない時代がはじまった。
橋田信介『イラクの中心で、バカとさけぶ』
新居 晴幸
「知力とモラル」を統合するために
Center for Civic Education『テキストブック わたしたちの法』
林 伸一
この国で女であるということ
島ア今日子『この国で女であるということ』
高橋 徳子
「逸脱」の可能性発揮する博物館を満載
解放出版社編『人権でめぐる博物館ガイド』
吉村 智博
パワーを生み出す珠玉の一冊
志水宏吉『公立小学校の挑戦』
西久保 信一
『子どもたちの人間宣言』によせて
坂田次男『子どもたちの人間宣言』
土田 光子
おもしろい! 「ホームレスの仕事をつくり自立を応援する」雑誌
『THE BIG ISSUE JAPAN ビッグイシュー日本版』
山本 淑子
次世代を育てる人にプレゼントしたい本
佐々木正美『子どもへのまなざし』
忌部 淑恵
「つくる」ことで 子どもと向き合う
東京都同和教育研究協議会編『つくって学ぶ人権総合学習』
川向 秀武
新しいパラダイムを求めて(続々)
〈扉の言葉〉ブックリスト24選
桂 正孝
エピグラフ
心理主義
〜小沢牧子・中島浩籌著『心を商品化する社会』(洋泉社新書、二〇〇四年)一七〜一八頁〜
座標
市民的不服従の思想―「戦争国家」の時代を迎えて
安川 寿之輔
地域から読書文化を創造する
岡井 寿美代
共生のトポス (第29回)
「読めない私を認めてください」
榎井 縁
文科省人権教育調査研究会議報告書「人権教育の指導方法等の在り方について第一次とりまとめ(案)」を読んで
中村 清二
【資料】人権教育の指導方法等の在り方について〔第一次とりまとめ〕(案)
英国・リーズ便り (第5回)
公立中等学校
村上 登司文
のぐっつぁんのモノローグ (第17回)
「これって、大変なことなのに」
野口 克海
こころの風向計 (第1回)
「旅」
直原 弘道
つづり方便り―森の学校・発 (第16回)
記録すること
坂田 次男
倫敦学力事情―大阪訪英団が見たイギリス教育改革 (第6回)
大論争、イギリスの教育改革に何を学ぶか(1)
〜座談会〜
子どものつぶやき
がんばれ!がんばれ!
【資料】深刻化する児童虐待問題によせて
子どもたちの輝く未来のために(大阪府教育委員会児童虐待防止指針)
大阪府教育委員会
編集後記

編集後記

▽日本社会は今、グローバル化に対する政府の失政のもとで深刻なデフレ経済に陥り、新自由主義政策により脱出しようとして階層格差を広げ、働く市民や若者・子どもたちの生きる展望を奪い、不安心理に陥れている。イラク戦争と北朝鮮・拉致問題にこと寄せ、危機管理としての有事立法を立ち上げ、教育基本法を改悪して、新国家主義に世論を誘導しようとしている。この戦後史の激変転換期に、我々はどのように暮らしの展望を拓き、進路を選択すればよいのか。我々の「社会的視力」と生き方が問われている。言うまでもなく、書を読むことは、著者との対話を通して、精神的世界を広げ、知性を磨き、世界と個人の在り方を観想する営為である。それゆえ、若い世代が読書離れをしている傾向は、憂慮すべき事態でもある。本特集では、執筆者の皆さんに、過去三年ぐらいの間に発刊され、感銘を受けた書物を一冊選び出して、その意義を論じていただき、優れたところを紹介していただいた。執筆者ご自身の読書論や読書術も披露していただいた。

▽とりわけ九・一一からイラク攻撃へと続く事態の中で、自民、公明党は改憲案をまとめた。さらに、来年の通常国会への提出を念頭に、教育基本法改正案の中間報告を発表した。報道された改正案の要旨を読む限り、予想通り、「教育の目標」の「伝統文化を尊重し、郷土と国を愛し(大切にし)、国際社会の平和と発展に寄与する態度の涵養」が改正の骨子となっている。反対に、「民主的で文化的な国家」「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」等の教基法前文の「憲法の精神」は捨て去られ、「男女共学規定」も「時代にそぐわない」として削除されたという。個人の尊厳と権利を抑制する民族主義に立脚し、人権と民主主義に背を向けた改正であることは否定できない。問題は、この改正を受け入れていく気運が高まりを見せており、その暴走をくいとめる世論形成が立ち後れていることではないか。

(桂)

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