- 特集 特別支援教育コーディネーターに指名されたら,明日から何をするか
- 総括 特別支援教育コーディネーターは何をするのか
- 機能させるためには片手間では
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- 学級担任からのSOS!こんなコーディネーションがほしい!
- 今なら,こんな支援を望みたい,パニックを起こすA子の場合
- 「聞いてほしい!」「見てほしい!」「教えてほしい!」これらをかなえるのがコーディネーターの仕事である
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- 現役特別支援教育コーディネーターは今これをしている!
- 最初に行うべき3つは,組織・研修・支援の体感だ
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- 子どもの味方であること。1人で抱え込まずにつなげ,広げていくこと
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- 段階に応じて,1つずつ実践を積み上げよう!!連携や繋がりを大切にして
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- 中学のコーディネーターにやってほしい3つのこと
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- 通級教室教諭としてのコーディネーションはこれだ!
- ことばの教室の担当として行ってきたノウハウを生かす
- 1人1人の進路を考えながら
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- 養護学校教諭としてのコーディネーションはこれだ!
- できることから始めよう!キーワードは「身近なところからネットワークをつくる」
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- すべては,目の前の子どもたちのために
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- 私が特別支援教育コーディネーターになったら
- 幼稚園・保育園,医療との連携を
- 情報を集める,整理する,共通理解する
- 保護者の立場から望むコーディネーション
- 子どもの成長とコーディネーターの意欲
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- 子どもの将来の就労・自立のために何が必要かを繰り返しわかるように教えてほしい
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- 管理職から特別支援教育コーディネーターに望むこと
- コーディネーターに期待したい3つのこと
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- 授業力向上を意識する教師を指名する
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- 意図的・計画的に支援せよ
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- 医師から特別支援教育コーディネーターに望むこと
- 医療側が求める2つのポイント
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- 子どもたちが学べるようなコミュニケーションモデルを演出する
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- 特別支援学校のコーディネーション最前線
- [地域支援部長として] 「互いの顔が見える地域支援」を目指した養護学校の取り組み
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- [具体的実践例] 夏期休業中の地区巡回相談で地域との連携を
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- [支援を受けた側の感想] 「安心」がキーワード
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- ミニ特集 軽度発達障害のある子にも通用する漢字やひらがな・カタカナ・計算の教え方
- ここがポイント!ひらがな編
- ひらがなの個別指導はまず「読み」から
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- 得意な能力を使って,苦手な読み書きを引き上げる
- ひらがなの指導も発達段階の順序が大事!
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- 文字指導のポイントは,指なぞりで教え込むことである
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- ここがポイント!カタカナ編
- やっぱりカタカナも読みがさき!
- あの手,この手でカタカナの習熟を図る
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- ここがポイント!漢字編
- 「指書き前の空書き」は,優れた個別指導である!
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- 効果があった最初の「空書き」指導
- 手に麻痺のある子どもの漢字指導
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- わかりにくさはどこに起因するのかを探り,指導を工夫する
- ここがポイント!計算編
- 「言葉」が通じないのではない。「言葉」は要らなかったのだ!
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- うっとりするノート作りとレディネスを高める取組を継続する
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- くりあがりのあるたし算は「あふれたらさくらんぼ」
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- グラビア
- TOSS特別支援教育・実践セミナー ほか
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- TOSS特別支援教育のキーワード
- HACプログラム
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- 向山洋一全集に見る特別支援教育の思想 (第10回)
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- 教育の新課題と特別支援教育
- 教育実践は全面的に展開される
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- 巻頭言
- 事件!事故!に巻き込まれる 積極的に関わることで子どもを守れるのだ
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- 教師に学んでほしいこと,実践してほしいこと
- 子どもの「ブーイング」に対応する向山氏の授業技能とは
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- やんちゃ君が伸びる甲本学級の秘密 (第5回)
- コミュニケーション能力に乏しい子
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- LD/ADHD・ASの子を伸ばす指導のポイント (第8回)
- 自信をもってやっている対応が間違っていることもある
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- 特別支援教育と向山型算数の原理・原則 (第15回)
- 教材とその組み立ては子どもの実態から出発せよ
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- 特別支援教育と向山型国語の原理・原則 (第15回)
- 授業の「主導権」を子どもに渡さない「対応」がドラマを生んだ
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- 大森校長からみた特別支援教育 (第13回)
- 特別支援教育が学校を変える再論
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- 竹川教頭からみた特別支援教育 (第13回)
- グレーゾーンの子どもたちを包み込む学級づくり(8)
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- 吉田教務主任からみた特別支援教育 (第1回)
- 担任が1人で抱え込まないような仕組みをつくりだす
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- 高橋特別支援教育コーディネーターからみた特別支援教育
- 暴れる子どもだけが問題ではない,学力が高くても注意欠陥の症状を見逃すな!
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- 障害児のためのお手伝い指導 (第4回)
- イラストで見る「お手伝い指導」のポイント
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- TOSS特別支援教育のホームページ紹介
- 特別支援学級でのHACプログラム実践1〜5 自閉症児を担任したらまずこれから始める
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- 特別支援を必要とするとは
- 本書との出会いとウチの子について
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- 特別支援教育体制を応援してくれた保護者からのメッセージ
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- 教育は格闘技だ―フリースクールの実践 (第5回)
- B君が「さようなら」といえるまでB
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- 〜暴力はいけないことをこう教えた〜
- グレーゾーンの子の視覚認知トレーニング (第6回)
- いろいろなトレーニングの実践
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- 薬について知っておきたいこと (第3回)
- 中枢神経刺激薬リタリンの用法
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- 横山式フィンガーカラーリングの実践 (第2回)
- フィンガーカラーリングの題材
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- こんなときどうする!?特別支援が必要な子への対応の仕方教えます
- なぜ,叱るのはよくない方法なのですか?
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- 読者のページ
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- TOSS特別支援教育イベント情報
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- 編集後記
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- 酒井式描画法で授業する!
- 酒井式「もちもちの木」の描かせ方
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巻頭言
事件!事故!に巻き込まれる積極的に関わることで子どもを守れるのだ
岡山県久米南町立弓削小学校 甲本卓司
「坊ちゃん」冒頭
明治の文豪夏目漱石が書いた「坊ちゃん」の冒頭部分を紹介する。
「親ゆずりのむてぽうで子どもの時からそんばかりしている。小学校にいる時分学校の二階から飛び降りて一週間ほどこしをぬかした事がある。」(夏目漱石 坊ちゃん)
この文章を読んで何か感じることはないだろうか。
これは,主人公の「坊ちゃん」は,特別支援を要する子ではなかろうかということである。
この主人公は,飛び降りる理由が特別ではないと書いてある。紹介する。
「新築の二階から首を出していたら,同級生の一人がじょうだんに,いくらいばっても,そこから飛びおりる事はできまい。弱虫やーい。とはやしたからである。」
友達のじょうだんに乗って飛び降りたのだ。予想するに「弱虫やーい」が,効いた。
この主人公は,極度に勝敗にこだわる可能性が高い。「弱虫」で心に灯がついたのだ。
「やってやる」このことしか頭にない。
「できない」ことは,負けと同じなのだ。そのことは,プライドが許さない。絶対にやってやると思い込む。
そして,この主人公のおやじも面白い。「おやじが大きな眼をして二階くらいから飛びおりてこしをぬかすやつがあるかと言ったから,この次はぬかさずに飛んで見せますと答えた」
おやじもその傾向がある。
勝敗にこだわっているのだ。こしを抜かしたことを叱っているのだ。
さて,ここで学ばなければならないことはプライドが高く,勝敗にこだわりやすいという傾向を持った子がいるということだ。
特別支援を要する子が,将来,犯罪や事件に巻き込まれる可能性が高いといわれるのは,上記の例にあるように,言い出したら後戻りができないからだ。
ここを理解して小学校,中学校では教育をする必要がある。
特に小学校の低学年での指導は大切になる。
勝敗は,いつも勝たなくてもよいことを経験を通して指導していく。
事件発生
この原稿を書いている時にニュースが飛び込んできた。
薬を服用していた小学生が,自殺をしたというものである。
この「薬」が引っかかった。小学生で,精神を安定する薬を飲んでいる。まさかと思った。WHOの報道のガイドラインが正確に運用され,自殺等についての続報は減った。詳しい情報はわからない。が,何かの弾みで事件になった可能性が高い。
これは,「坊ちゃん」の例ではないが,周りの理解も必要である。
今までは,教師がまず勉強をすることに主眼が置かれた。学校の体制にも指導が入るようになった。幼児から小学校,中学校へとカリキュラムも必要だろう。多くの英知を集めて対応しなければ待ったなしの状態だ。
養護学校の先生と話したことを思い出す。
養護学校では,金融の教育がぜったい必要とのことだ。
それは,高等部を卒業するのを待っている人がいるという。
高等部をでると社会人となる。そこへ,カードローンの話を持ちかける。お金は無くともほしいものが買えると話を持ちかけるのだそうだ。
そして,その品物や,現金は盗られ,のこるのは巨額の借金とのことだ。
金融教育がぜったい必要である。
そうした悪い手口に引っかからないように本人,そして,周りの人も気を付ける必要がある。
ここで考えてもらいたいのは,金融教育は,誰にも必要なのだ。すべての子が金融教育を受ける必要がある。今,TOSSでは,テキストを作りセミナーを開いている。具体的な事実として教育実践を勧めているのだ。
勝敗の経験を
私が受け持った3年生にADHD等の子が4名いたことがある。
この4名は,それぞれにプライドが高かった。またしては喧嘩が起こるのだ。
その時に,クラスに持ち込んだのが五色百人一首だった。五色百人一首は,色事に対戦するので,1つの勝負が早い。勝ったり,負けたりする体験をさせるにはもってこいだ。
また,ルールを教えるにも効果があった。
私の口癖を子どもたちが真似るようになった。
「勝負は,時の運」
これを喧嘩しそうになると言う。一番,頭に来ている子に聞く。「勝負は,」と。聞かれた子どもは,「時の運」という。
このことだけでその子をほめた。
これで,少しは,気が静まる。
そうこうしている間に,次のゲームが始まっているのだ。
子どもを守る
特別支援教育は,すべての教師がとりあえず勉強することが大切である。1人,2人ではダメなのだ。子どもの行動の傾向や,パターンを学ぶことは大切なことだ。事件,事故を防ぐのは,柵を作ったり,教室に鍵をかけたりすることではない。勉強し,積極的なかかわりだけが子どもをよくしていける。それが,子どもを守ることになる。
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- 明治図書