- 巻頭論文 記号資料は、体験的資料をもとに解釈される
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- 特集1 向山型社会で授業激変のキーワード30
- 1 写真資料の読み取り
- 「あれども見えず」が見えるようになる写真読み取りの指導
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- 2 グラフや表の読み取り
- グラフ読み取りの基本は「三つ」「二つ」「五つ」を教えることである
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- 3 二つの資料を比べさせる
- 資料の関係・提示のタイミング・発問を吟味して、比較させる
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- 4 KJ法を使った授業
- 子どもが自分で学習方法を身につけるシステムの構築は、KJ法によって可能となった
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- 5 体験と記号(学校の周りの授業)
- 授業に即して、実用的な「学校の周り地図」を活用すれば、授業は盛り上がり、学習の蓄積も可能にする
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- 6 地図帳の利用
- 場面寡黙児が授業に参加し、活躍するようになった地名探しの実践
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- 7 基礎学力の定着
- 楽しく、自然に、繰り返しながら、都道府県名を覚えさせる
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- 8 内部情報の蓄積
- 「内部情報の蓄積」は、知的な授業を組み立てる上での重要な原理原則である!
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- 9 再現する授業(中学年)
- たっぷりの体験が内部情報の蓄積を生み、「再現」を可能にする
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- 10 再現する授業(高学年)
- 東京湾と鹿児島湾から海と森を見つめる
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- 11 環境サイクル図
- 子どもが「分かりやすい!」と話す向山式サイクル図
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- 12 エネルギーの授業
- 「教科」として、すべての子どもにエネルギーの授業をすべきである
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- 13 指名なし討論
- 討論の授業はクラスの知的レベルを飛躍的に高める!
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- 14 調べ学習(百科事典の使い方)
- 向山実践「はじめはいつか」の学習過程をたどると、百科事典を活用する技能が見える
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- 15 調べ学習(資料を探させる学習)
- 探す活動のステップ―まずは教科書から
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- 16 調べ学習(インターネットを使った学習)
- インターネットを使った調べ学習は、総合力が問われる
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- 17 グレーゾーンの子も巻き込む
- モノを有効に使う技能が必要だ。総合力がものをいう
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- 18 意見をたくさん出させる
- 意見をたくさん出させられるかは、発問にかかっている
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- 19 ノート見開き二ページのまとめ
- 「ステップをふんだ」ノート指導と、「合格」のみの評定がポイントである
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- 20 子どもによる板書
- 内部情報を蓄積させ、書けない子をフォローする向山型板書指導法
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- 21 人物を扱った歴史授業
- 信長と秀吉、すぐれたリーダーはどちらか?
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- 22 教科書の記述を疑う授業
- 教室の中の序列を破壊し、逆転現象を起こす
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- 23 ものづくりの伝統を教える歴史授業
- ペリー来航時にみる日本のものづくりの技術
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- 24 日本人の気概を教える歴史授業
- 事実の提示が、日露戦争の常識を覆す
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- 25 日本のよさを伝える授業
- 八月十五日は本当に終戦記念日か?
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- 26 工場見学の指導
- 目についたことを全部記録するようにしなさい
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- 27 最新技術を扱う
- 最新技術をもつ企業は身近にある。調べて授業化するのが社会科教師の役目である
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- 28 一字読解の授業
- 子どもたちが熱中する一字読解指導の原則
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- 29 モノを使った授業
- 一級品のモノは授業を知的にする
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- 30 日常的な教材研究
- 「調べ尽くす」「事実を前向きに、前進的にとらえる」教材研究をしよう
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- 特集2 向山型社会、討論の授業
- 有田先生と飛行機で話した三つのポイント
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- 討論の授業が成立する条件を学び、社会科での実践をつくり出そう
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- 子どもたちの意見が分裂するような問いを発し、それを整理しながら、最終的に最も重要な二つに整理していく
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- 多くの情報から一つに絞るとき自然に討論が生まれ、調べ学習が活発になる
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- 学年別討論に至る発問
- 3年生/まず体験させ、情報を蓄積させる
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- 3年生/捨てられるこんにゃく
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- 3年生/四月の授業開きは「屋上」で
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- 3年生/見学とKJ法を構成し、討論の授業へと導く
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- 4年生/たくさん出るゴミ
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- 4年生/水道の水は「自然のもの」か「つくったもの」か
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- 4年生/昔遊びブームを巻き起こした発問
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- 4年生/一枚の写真の場所を、地図帳を使って調べ出す授業
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- 5年生/体験を仮説に変換し、小さな討論を積み重ねよ
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- 5年生/向山型社会の最高峰「工業地域の分布」の授業
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- 5年生/必ず盛り上がる「どちらに住みたいか」論争
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- 5年生/「雪国のくらし」間接体験を豊かにすることで討論の質が高まる
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- 6年生/当事者の視点で判断するために、それぞれの考え方と対立点を発問群にする
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- 6年生/「日本の常識」は「世界の非常識」
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- 6年生/討論の前に内部情報を
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- 6年生/ハル・ノートを受け入れ、日米交渉を続けるべきだったか
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- 中学校/公民「租税」
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- 中学校/明治時代の政策について討論する
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- 中学校/明治政府はよい政府か、ひどい政府か
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- 特集3 TOSSライセンス授業、私の挑戦
- TOSS授業ライセンスで、奥深い研究授業と、厚みのある授業力に挑む
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- D表
- 魔のつかみの十五秒を克服せよ!
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- C表へ向けて
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- C表
- 魅力ある教材との出会い、初めての授業づくり、多くの学びを得た受検
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- 日本のものづくりの授業
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- B表
- ものを用意する以上に何を捨てるかを検討する
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- 一言のコメントが教材研究の本質を衝く
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- A表
- 決して諦めないこと、これが教材研究成功への近道である!
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- 「食物規定」を切り口に「宗教」を教える
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- 向山実践 お薦めの3冊
- 何度読み返しても新しい発見がある 向山型社会を学ぶ教師に薦めたい三冊
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- 向山型社会は社会科の授業を変える
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- 編集前記
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- 編集後記
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編集前記
二〇〇六年八月、「第六回向山型社会セミナー」が横浜県民ホールで行われました。セミナーが終了した懇親会の席で、向山洋一氏から本誌の企画が告げられ、谷和樹氏と鈴木が副編集長に任命されました。
吉田高志氏の全面的な協力を得て、その翌日にはライターが決定し、本誌の作成に向けての取り組みが始まりました。作成期間が短期間ではありましたが、それを補ってあまりある内容の濃さ、先生方の情熱が感じられるものになったと確信しています。
向山型社会の実践について、これほどまとまった形で作成された雑誌はこれが初めてです。
毎年行われるTOSSデーでは、社会科の講座が大変人気です。多くの先生方が社会科の授業をどうしたらいいか悩んでいます。社会科の授業が苦手で悩んでいる方、これから向山型社会を学んでいこうという方、また向山型社会を一歩前進させるために勉強をしている方など、多くの先生方が本誌を手に取り、実践を充実したものにされていくことを願っています。
二〇〇二年十二月から始まった「向山型社会セミナー」も今年で十回目になります。毎回、セミナーには二百人を超す先生方が全国から参加されます。谷和樹氏や吉田高志氏をはじめとする一線級の先生方の発表には毎回、新しい学びがあります。熊本の佐藤琢朗氏をはじめとする若い先生方のレポートは分厚く、内容も濃く驚かされます。そしてやはり参加者のみなさんは、向山洋一氏の講演を大変楽しみにされています。
ちょうど向山型社会セミナーが始まったころ、向山洋一氏は体調を大きく崩されました。第二回のセミナー(二〇〇三年)は、向山氏の体調が大変悪く、向山氏の講演なしでセミナーを企画しました。そのときでさえ向山氏は、悪い体調を押してセミナーに参加してくださいました。セミナーに対する向山氏の情熱を、参加者の先生方は感じとられたことと思います。
セミナーのたびに、向山氏から聞く言葉があります。
「おれ、社会、好きだからなあ」
セミナーで予定している講演時間をはるかに超して、向山氏は話そうとされます。体調がまだ完全ではないことをよく知っている事務局の先生方は、いつもはらはら見守っています。
私はセミナーでは司会を務めます。他の先生方では時間を超えてお話しされる向山氏を止めることができないのです。(それでも時間は延びてしまうのですが……)
向山洋一氏の実践から生まれた「向山型」を研究し、二十一世紀の教育で進化させていくことが、私たち向山型社会を学ぶ教師の使命であると考えています。そのためにも多くの先生方に向山型社会について知っていただき、実践を進化させる取り組みに参画していただきたいと願っております。
「授業は、子どもの事実と腹の底からの実感が大切だ」と向山氏はおっしゃいます。子どもたちが「先生、今日の社会の授業、楽しかったよ」、そう言ってくれるような授業、実践を一つでも多くつくり出していくことをこれからも目指していきます。
本誌作成にあたり、明治図書の樋口雅子編集長をはじめTOSS向山型社会を代表する先生方にご協力いただきました。
本誌が多くの先生方の力になることをお約束します。
(鈴木康一)
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- 明治図書