- 特集 コーディネーターのための“発達障害児の行動解釈”に立つ対処法
- 対人トラブルになりやすい行動にはこう対応する
- よくない行動を禁止するのではなく,望ましい行動を教え込むこと
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- 「字義通り」の怖さを知り,子どもを受け入れる!
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- 「はげましほめる」そして,「ならぬはならぬを教える」
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- 暗黙の了解は通じない
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- 介助・手助けを拒む「不安感」を分析し,段階的に改善していく
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- 生徒と保護者が「フラッシュバック」とその対処方法を私に教えてくれた!
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- 友達を触りたがる子には教師が関わりを増やす
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- 中学生にも3つの対応〜未然に防ぐ,制御する,謝り方を教える
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- こだわりが強い行動にはこう対応する
- 周りの工夫で自閉症の「こだわり行動」に対処する
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- 見通しを持たせ,タイムリーな「ほめ言葉」が効果をもたらす
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- どこにこだわっているのかを把握し,切れる前に手が打てるようにする
- 『勝ち負けにこだわる子』には,3つの作戦が有効である
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- パニックに対応してわかってきた指導のタイミング
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- 行動を教え,こだわりをなくそうとしない
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- 「もう○年生なんだから,ちゃんとしようね」という指導は,指導にはならない
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- 負けるのが嫌なのではない,ほめてほしいだけなのだ
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- かんちがい・思いこみによる行動にはこう対応する
- 社会科見学を雨に濡れたことで「楽しくなかった」と泣いた子どもへの作文指導
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- 叱って何とかしようとしてもそれは遠回りだった
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- 百人一首札を泣いてメチャクチャにした子への対応
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- 驚いてからほめよ
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- その子の本質的な問題を見抜いて対処する
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- 情報を減らす。落ち着いてから状況を理解させる
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- 「先生は話を聞いてくれる」「間違っていなかったら味方になってくれる」と思わせる
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- 全体への指示と個別への対応
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- 不安が強い行動にはこう対応する
- 細かな見通しを持たせること。指導方法を安定させること
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- 教師が不安にしている
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- 変えない。変える場合は,理由を端的に説明する
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- 紙に書きながら話すことで過去を振り返り,不安を取り除いてやる
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- ミニ特集 個人面談 成功の秘訣
- 保育園・専門医・教育委員会を動かし,そして,父親を動かし支援体制をつくる
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- 支援体制を明確にする
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- 特別支援教育の枠組みを捉え,親の不安に応えていく
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- 突然の面談をチャンスとする方法
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- 学校での成功した例を具体的に示す
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- 「先生,私,7sやせました」
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- 個人面談までに,保護者と良好な関係を築く
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- 親に安心感を与える配慮を欠かさない
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- 保護者との信頼関係を作りながら,面談の時期を見極める
- 保護者との信頼関係を構築せよ
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- 専門性のあるアドバイスをする
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- 専門家に相談し,組織的に動く
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- 肯定的に苦労を認める
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- 事実を多く集め,映像で紹介してほめる
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- グラビア
- 第11回 ADHD授業作りセミナー ほか
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- 我流は子どもをスポイルする
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- 〜『発達障害の子どもたち』を読もう〜
- 巻頭言
- 教師は,発達障害の子を自立させることを考えなければならない
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巻頭言
教師は,発達障害の子を自立させることを考えなければならない
甲本卓司
岡山県久米郡久米南町立弓削小学校
凄い本との出合い
凄い本を向山洋一氏から紹介してもらった。『発達障害の子どもたち』杉山登志郎著,講談社現代新書である。
一度読んだ。ラインマーカーで線を引きながら読んだので真っ青になった。2回目を読んだ。赤ペンを持ちながら読んだので本が真っ赤になった。3回,5回と読むうちにグチャグチャになった。こういった場合,どうすればいいかも向山氏から学んだ。「同じ本を3冊買えばよい」この言葉を実践している。何回読んでも「あっそうか」と思える場面はたくさんある。読めば読むほど飛び込んでくるという感じである。
何度も読み返せる本に出会うことは幸せなことだという。本当にこういった本は珍しい。
今年校内の研究主任になった。教育界は動いている。情報は共有しようと呼びかけた。そこでこの『発達障害のこどもたち』を職員に紹介し,注文を私がとった。ほとんどの職員が購入しこの本を読んでいる。少しずつ感想を話してくれるようになった。特別支援教育の研修をするときにテキストにする予定である。
追跡調査
ある年,発達障害の診断がおりている子が4人いるクラスを担任した。
中学年で担任したが,低学年の時は凄まじかった。教室で勉強をしているという雰囲気はまったくない状態だった。教室の中を歩くのは日常的。チャイムがなっても教室に入らない子も相当数いる。休み時間は,喧嘩やいじめのトラブルが連続して起こった。
私が担任になった。
算数の授業は向山型を忠実に展開した。なんとか年間の平均点が9割を超えた。
その中に,ADHDの診断が降りているJくんがいた。Jくんは,低学力であった。根気が続かない。10問練習をするところを3問もすればいいほうだった。
かけ算を,覚えていないところがいくつかあった。かけ算九九表をクラス全員に持たせ算数の授業で使ってもよいことを話した。お家にも行き,かけ算を練習してもらうように頼んだ。保護者の方も快く協力してくれた。ありがたいことだった。
杉山氏の『発達障害のこどもたち』を読むと衝撃的な文言に胸を締め付けられる。それは,その子が自立していけるかということだ。
私が,算数の平均点が9割を超えたことがどのように自立に役立っているかということを考えないと自己満足にしかならないということだ。
私は,その学年を担任した翌年転勤をした。どういった小学校生活を過ごしたか気になってしょうがなかった。
そんな時,その学年を6年生で担任した先生と偶然に出会った。私は,6年生の時の様子をいくつか尋ねた。
やはりJくんは,学力に問題があったようだ。一緒について個別指導をすると算数では7割くらいは取れたそうだ。しかし,一斉指導だけでは集中力が続かず,分数の約分等はお手上げとのことだった。
また6年生でリーダーになったことはコミュニケーション力を付けるには大きかったようだ。小さい子の面倒をよく見て,低学年の子達から好かれていたそうだ。そうしたことが自信につながり,良好な生活を送るようになったそうだ。クラスの子もトラブルが少なくなったJくんと良好に生活を送ったそうだ。
小学校時代の一番の問題は,低学力にある。Jくんの「学習のやる気」が向上しなかったことが一番の問題のように思える。
中学生になったTくん
ある年,6年生を担任した。ADHDのTくんがいた。1年生に入ったとき,「こんな子は見たことがない」と言われた子だ。また「この子にも知能があるんですね」と言われた子である。この子のお母さんは,毎月行われる教育相談に必ず来て話をした。
先ほどの話は,小学校最後の教育相談で私に話されたことだ。
プライドが高い子だった。勉強も負けじとがんばった。手順がわかれば作業も早い。学力の面では問題がなかった。
その子が中学校へと進む。新しく英語の学習が始まる。お母さんも私も少々心配だった。そこで,お母さんは,塾に行かせることを考える。体験入学をする。そこで何でもないようなトラブルが起こった。残念ながら塾から「受け入れられない」という返事があったそうだ。
そこで,中学校に連絡をし,中学1年生の初期の段階で使う教材を紹介してもらった。アルファベットを練習するような教材である。その教材を購入し,少し早いが6年生の3学期末から練習を始めた。
これが功を奏する。英語の授業のスタートを良好に行うことができた。
6月,その子のお母さんにあった。
英語の授業もちゃんとついていっていること,楽しく中学校生活を送っていることを話してくれた。
後から聞いた話だが,そのお母さんは,本誌のファンでもあった。
働きかけ
子どもへの働きかけは大切である。何もしないと変化は起こらない。放任が一番ダメなのだ。自信とやる気を育てる。その秘訣は,「ほめる」ことにある。特別支援コーディネーターが各学校に組織された。一歩も二歩も突っ込んで学習プログラムを作ることが大切だ。子どもの自立は簡単ではない。
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