- 特集 子どものミスを発見する技量&システムづくり
- 当たり前だと思っていたことが、間違い 教えてくれるのは子どもの事実
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- 予測して動く、目を配る、模擬授業をし続ける
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- 木村重夫氏の追試 “子どもの誤答に学ぶ”
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- 考え方までさかのぼって間違いを正す
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- 教師修業の原点となったY君の「つまずき」
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- 発見の機会が何度もあるから、初心者でも子どものミスに対応できる
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- 「確認の原則」を意識して、ミスを防ぐ
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- ミニ特集 かけ算九九ができない“この子”への手だて
- かけ算九九計算尺でドラマが起こった
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- 倍数・約数にもかけ算九九表
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- 「かけ算九九の暗記」は授業中に勝負する
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- 百玉そろばんで数の量感をとらえさせる
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- あきずに何度も練習できる教材がAを合格させた
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- 九九表・百玉・学習ゲームを活用する
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- 向山式を体感する・学習とは丁寧に丁寧に!
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- 若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
- 子どもが集中できる環境づくり
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- 向山型算数キーワード
- つまずき・まちがい・できない
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- 巻頭論文 算数授業へのこだわり
- 教師力を向上させるのは実用的実践、計画的行為である
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- 学年別教材教具こう使いこなす
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- 2年
- かけ算九九尺を全体指導でこう使いこなす
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- かけ算九九尺を個別指導でこう使いこなす
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- はかりを授業でこう使いこなす
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- そろばんを授業でこう使いこなす
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- 分度器を授業でこう使いこなす
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- スマートボードを授業でこう使いこなす
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- 立体模型を授業でこう使いこなす
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- スマートボードを授業でこう使いこなす
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- 中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第77回)
- 「できる生徒」も同じ時間熱中して取り組んでいるか
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- 向山型算数に挑戦/論文審査 (第81回)
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- 向山型算数実力急増講座 (第83回)
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- 向山型算数WEBサロン (第77回)
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- “若葉印”教師が向山型算数でダッシュするとき (第17回)
- 真の「向山型算数」を求めて修業していく
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- “問題解決学習”隣の教室の実態ルポ
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巻頭論文
算数授業へのこだわり
教師力を向上させるのは実用的実践,計画的行為である
向山洋一
今年のTOSSデーが終了した。全国760会場,参加2万8千人近く。昨年に比べて大幅なアップである。全国760会場ということは,760人の会場責任者がいたということになる。
この経験は貴重だ。
「学校行事の責任者の仕事なんか,簡単にできるようになるわよね」これは,師尾先生の口グセである。
学校行事の責任者は,学校の仕事としては重いものの1つだ。それが,「こんなの簡単」と思えるようになるのである。
さらに,「5分間の講座の担当」は,「学校の研究授業20回分」くらいに相当する。
TOSSデーで,「5分間の講座」を担当した人は,そのことを実感しているだろう。学校での「研究授業」など,何でもなくなるのである。「わずか5分間の講座」であるが,本や論文を何十も読み,細かい動作の1つ1つまで確認をし,何十回も練習をしたのである。
今までの教師生活では体験しなかった,初めての緊張した日々だった。
その体験が,教師の技量を急速に向上させたのである。
案内状を配ること,友人・知人を誘うことの1回1回に大きなプレッシャーがあったはずだ。
それは,自分の内なる弱さとの対面だった。 自分の弱さから逃げることなく,小さな一歩を前に踏み出した人が,人間としてもきたえられ,強くなり,教師の深さを身につけたのである。
サッカーでも,テニスでも,踊りでも,書道でも,英会話でも,ピアノでも「自分をきたえる」ことなしに上達はない。「試合」「発表会」「展覧会」などの,真剣な勝負の場を逃げていては上達しない。
前へ進む人だけに幸運の神様はほほえんでくれるのである。
40代,50代になって教え子たちの反乱に遭うのがいやだったら,若いうちから修業しておくことだ。40代,50代のベテラン教師になって,どうしようもない学級にしてしまっている人がいる。
そういう教師に限って「自分の責任」と考えずに「子どもの責任」にするから,救いようがない。
次の学年になっても,その次の学年でも,ひどい学級を作ってしまうのである。
若い頃から,教師修業を積んだ人は,幸せなクラスを作れることが多い。
もちろん,すべてがうまくいくとは限らない。
神様は,ちゃんと「新しい困難,新しい問題」を用意してくれる。
しかし,それは必ず克服できる問題なのだ。これまでの修業から得た知恵が,次へと導いてくれる。
向山だって,その年その年の山ほどの問題に出会ってきたのである。
愛媛の上杉先生から便りをいただいた。
■愛媛TOSSデーが終了しました。TOSS大洲は今年も5会場で開催し,179名の参加をいただきました。今回は,ほとんど,地元の方に参加していただきましたので,十分満足できる結果が出たと考えております。
今年は複数会場に参加される方がたくさんいらっしゃり,5会場すべてに参加された方もいらっしゃいました。その方は,教職歴25年のベテラン女教師でした。
そして,本日(5月27日)TOSSデー後,初例会を開催しました。拡大例会として案内したところ5名の方に参加していただきました。先のベテラン女教師の方も参加されました。皆さんの感想は以下の通りでした。
「テンポがよくて,びっくりした」
「授業を受けて,子どもの気持ちがよく分かった」
「細かいところまで,指摘され,このようにすればよいという意見が出されて勉強になった」
「みなさんが,楽しそうに研修をしているのでいい雰囲気だった」
これからも,拡大例会の開催,サークル通信の発行,五色百人一首大会のお手伝い依頼などいろいろと働きかけます。
また,今回は愛媛県のTOSSデー責任者を仰せつかりました。こちらの方は,参加者が前回よりもかなり減少しました。TOSS愛媛例会のおりに,第4回TOSSデーの進め方や地上戦のやり方をお伝えしたつもりでしたが,うまくいきませんでした。
参加人数が減少したサークルは,地上戦の弱さが出ました。ノウハウをお伝えするだけでは,うまく進められないのだなあと思いました。TOSSデー後,各サークルの地力をつける必要があると思いました。
県内を動かすというのは難しいなと,勉強になった今回のTOSSデーでした。
全体としては前進したが,部分的によく見るとうまくいかなかった点もある。
教室での実践も同じである。
前進,停滞,後退を,1つ1つの事実を,正確にとらえるべきなのだ。
それぞれに,必ず「原因」がある。「結果」は「原因」から,もたらされる。「なぜ」なのか,「仮説」を出さねばならない。「仮説」を「実行」してみる。「仮説」が正しければ,「前進」するし,「仮説」が間違いならば,「停滞」する。
そのとき,「次の仮説」を考え,「実行」するのである。
「1つのやり方」ではダメだ。「二策」「三策」「四策」「五策」とやっていくのだ。
どこまでやるのか。
成功するまでやるのである。
これが「成功する法則」なのだ。
いかなる道であれ,成功した人は,必ずこのやり方をしてきたのである。TOSSデーは,「成功哲学」「成功法則」を学ぶ,またとないチャンスなのである。
もちろん「自分の人生」「教室の実践」にそのまま適用できる。
TOSSデー参加者には,粗く3つのタイプがあった。
第一は,次々と多くの会場へ来られた教師である。
多くを学びたいのである。学んでよかったと思っているのである。だから「県内の会場」を調整して,1つ1つの会場の特徴をはっきりさせることが必要だった。
A会場もB会場も「何でもあります」ではいけないのだ。
A会場は,「算数のスキル,ワークの正しいユースウェア」,B会場は,「感動のドラマを生む跳び箱,なわとび,逆上がり指導」というような特徴を出すことが必要だった。
第二は,自分の友人,周りの人を誘って参加してくれた教師である。
この人は,「すぐれた技術・方法」を,多くの人に紹介したいのだ。
TOSSの教師と同じ心情をもっている。
その行動に深く感謝しなければならない。
サークルへのお誘いも必要だ。
第三は,一度は来たけれど,次の年は来なかった人だ。結構いると思う。「誘い方の工夫」は,もちろん大切だ。近くなったら,ハガキを出すくらいの行動は必要だっただろう。
しかし,本質は,そこにはない。
「一度出て,TOSSの指導法は分かった」と思い込んでしまったのである。
ちょっと見ただけで,全部が分かったように感じてしまったのである。その人たちには,「技能,技術,知識」の違いが,一目ではっきり分かるパンフレットが必要だったのだ。
例えば,次の図。
(図省略)
このようなステップがあり,その入り口がTOSSデーだと分かれば,次も出たくなる。
あるいは,「国語授業力一覧表」みたいにして「何十もの目次」を作り,「今年はこれをやりました」とすれば,「来年も来よう」となったと思う。
さて,「TOSSデー」の後は『算数が出来ない子100人を出来るようにした教師の物語』(明治図書)の普及である。
向山型算数しかできなかった珠玉のドラマ集だ。TOSS中央事務局は,第一は「全国すべての地方新聞社」,第二は「全国すべての教育長先生」,第三は「全国のPTA,ロータリー,ライオンズ,JC,青少年問題協議会」などに寄贈しようと準備中である。
この本を大々的に広げよう。
感動のドラマを1人でも多くの人に読んでもらおう。
それが,日本の子どもを救い,基礎学力を保証する近道となる。
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- 明治図書