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巻頭論文
算数授業へのこだわり
教室現場の小さな子どもの事実を大切に
向山洋一
本誌に届けられる便りを楽しみに読む。
教室という現場の空気にふれられる。
かつて私は,そこで32年間をすごしてきた。教育現場にこそ,「教育」のすべてがあるのである。
「小さいこと」に見えることでも,大切なことは山ほどあるのだ。
「ノートに書いてきた解答」を見る。「これはいい」と思って,黒板に書かせる。
すると,左,右で書いている子の影響をうけて「違ったこと」を書く子がいる。
誰でも,体験することだろう。
小さなことだ。
教師は,「困ったことだ」と思う。「よい意見」だから,「正解」だから書かせようとしたのに,黒板に出てわずか十秒で変化してしまったのだ。
このようなとき,私は「困ったことだ」とは思わない。
「しめた」と思う。この小さな出来事の中にこそ,大きなテーマがかくされていると思うからだ。
多くの教師は,特に女教師は「困ったことだ」と思う。向山は,「しめた」と思う。
「そこに大きなテーマがある」と直観するからである。
では,「向山はなぜそのように考えるようになったのか」「向山の思考方法の原理は何なのか」ということが,問題になってくる。
大森修先生が,「なぜ向山先生は,こんな発問を考えつくのだろうか」と,昔から追究していることである。
本人もよく分からない。
私は,そのようにしてしまうのだ。
しかし,「そのようにしてしまう思考方法」の原則があるはずだ。それを一般化できるはずだ。
という,研究は実に少ないのである。
谷先生などの努力に期待したいと思う。
昔,昔,浜上先生の分析がいいなと,彼の手書きの返信を見て,チラッと思ったことがあった。
さて,今月の手紙から。
愛媛の先生である。
■今回の授業は,何度やってもうまくいかなかったところです。過去3回,3年生を相手に授業をしました。1つ前の教科書は,車の走行距離の問題でした。そして,練習問題が1問。計2問が1時間で収まりませんでした。子どもたちは意味が分からず,いつも強引に「こうなるんだよ」と。子どもたちは,ただ言われたことをなぞっているだけという授業でした。
一番難しいところは女の子の言葉。
「大は小の3倍の2倍だから…」
この点々の所です。
「3倍の2倍だから『3×2倍』」と,いうところがどう教えたらいいのかわかりませんでした。
結局,3倍を「×3」,2倍を「×2」と表し,合体させて「3×2」とわけのわからないことをしていました。
今回,挑戦の問題に取り上げていただき, 再度このページの授業を考える機会をいただきました。どこでつまずくか分析をしました。
○問題文が長すぎて内容がわからない。
○その下の線分図の大の箱は,小の箱と中の箱の情報が入り交じっているのでわからない。
○3倍の2倍が3×2倍,がわからない。
その点を改善して授業を組み立ててみました。逐一指導になってしまいました。 それにしても,ドルフィンの魔法学校は,
最悪です。教科書の3分の2をくだらないイラストで埋め尽くし,肝心の問題文の字は小さくて読みにくいし,その下の図は小さくて書き込めないです。〈向山〉「ドルフィンの魔法学校は最悪です」というような意見は,他にもあった。
「くだらないイラスト」で「埋め尽くし」と考える教師は多いだろう。
編集部では,著者たちは「子どもが喜ぶイラスト」と考えたのだろうか。子どもたちに使わせてみると,「邪魔だ」と思うのである。
「元気な子」は,イラストが好きだが,「算数が苦手な子」(クラスの3割の子)には「くだらないイラスト」は邪魔なだけなのである。
「何度やってもうまくいかなかった」が本当のところだと思う。だから,大切なことなのだ。「3倍の2倍」が難しいのだ。
簡単な問題を2度繰り返すと難問になり, 3度繰り返すと難関中学の入試問題となる。
私は,かつて面積の問題で書いたことがある。
◆三角形ABCが24p2のとき,斜線の面積
はいくらになるか。
(図省略)
1年生のたし算でも同じである。
(1) 3+8
(2) 3+8+6
(1)と(2)は,同じではない。1年生の頭では大きく飛躍しているのである。
山口の先生。
■向山先生にお礼が申したく,手紙を書いています。学級に,特別支援を要するAくんがいます。4月,何度も「分からん!」「できん!」とさけんでいました。とにもかくにも,赤鉛筆で,薄く書きました。そのAくんが100点を取りました。文章はあまり読めないので, 私が読みました。テストに「ぶちぶち(山口弁です。“とても”という意味です)ものすごくうれしいよなぁ。なんねんぶりははははに!!」と感想を書いていました。小学3年生が「何年ぶり」とよろこんでいるのです。胸が苦しくなりました。向山先生のおかげです。ありがとうございます。〈向山〉「分からん!」「できん!」とさけんでいた子が,算数テストで100点を取った。
その子の喜び,その子の両親の喜びが伝わってくる。
「できない子」を「できる」ようにするのは, 教師の最も大切な仕事だ。「考える力をつける」という,きれいごとを言って,「算数のできない子」をたくさん作り出している算数の問題解決学習とは,教育に対する考え方が違うのだ。
私たちは,どこまでも,あくまでも「できない子」の側に立ち,「できない子」をできるようにする能力を身につけ,「できない子」と「できない子の両親」に,笑顔を贈り届ける努力を続けるのである。
そのために心ない一部の算数の問題解決学習の教師から「教科書を使うな」など,デタラメの攻撃を受けているが,ひるんではダメだ。
正義と真理は「子どもの事実」だけが説明してくれるのである。
福井の先生。
■7月号巻頭論文,「守」と「破」のお話, とにかく学び続けなければと思いました。理屈っぽい論文が書けるようになるにはやはり, 学びがたりないのだろうと思いました。
昨年,2年生で受け持ち,この手紙にも書いたことのあるM君は,3年生で隣のクラスになりました。たし算の筆算が大好きで,指を出して,必死に計算し,満点でした。今年限りで退職される隣の組の先生に,7月号の木村先生のくり上がりの書き方のページをコピーしてさしあげ,「このようにしてください」とお願いしました。その先生は,くり上がりを書く位置について,「真下(位の)に書くか, 少し横にずらすか」質問され,私と同様の方法で進めてくださっています。その先生が, M君について「Tセンセイの努力の成果。すごいよ。先生」とほめてくださいます。M君に少しの希望でも持たすことができたのなら, 教師としてこんなにうれしいことはありません。
〈向山〉今年で退職される先生から「センセイの努力の成果すごいよ」と言われたという。
心あたたまる話だ。私も経験がある。調布大塚小学校の先輩には,何人もそういう先生がいた。
「向山先生,分析批評いいよ。うちのクラスでもやってみた。あと十歳若ければ向山先生と一緒に研究会やったんだけど…」と言ってくれた。
子どもの事実を指標にして「いいものはいい」と言ってくれる先輩教師はありがたい。私たちもその歳になったとき,年下の教師のよさを素直にほめられる教師になりたいものだ。
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