向山型算数教え方教室 2006年9月号
あなたは問題解決型授業と徹底論争できますか

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向山型算数教え方教室 2006年9月号あなたは問題解決型授業と徹底論争できますか

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ジャンル:
算数・数学
刊行:
2006年8月1日
対象:
小学校
仕様:
B5判 92頁
状態:
絶版
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目次

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特集 あなたは問題解決型授業と徹底論争できますか
問題解決型授業との徹底論争ここが打倒のポイント
信念をもって、穏やかに闘うための5つの論点
木村 重夫
「子どもの事実」に勝る論点なし
河田 孝文
問題解決学習へのユーモア付き打倒の一言集
事例別「問題解決学習撃退法」したたかに、しなやかに
松崎 力
なぜ、子どもの「事実」から目をそらすのか
小田原 誠一
校内での私のしたたかな闘い方・対応術
授業の事実で示す
吉田 高志
研究主任として、こう対応した
泉 範子
共通テストの平均点や全員のノート等、子どもの事実を公開する研修にする
伴 佳代
ミニ特集 「数の不思議・美しさ」を教材化する
ピタゴラスの大発見、「完全数」を見つけよう
川原 奈津子
規則が分かると「美しさ」をつくれる
水野 正司
美しい定理「四角数」を九九尺で授業する
大関 貴之
正方形のまま折り紙の面積を半分にする
根本 直樹
フィボナッチ数列で見る自然の美しさ
越智 鈴穂
円周率に挑戦した日本人
馬場 慶典
グラビア
新提案・翌月指導教材を演習模擬授業で示す
村田 斎
若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
教師の指示を通す
小倉 郁美
向山型算数キーワード
学校力・教師力・人間力
木村 重夫
巻頭論文 算数授業へのこだわり
教室現場の小さな子どもの事実を大切に
向山 洋一
学年別9月教材こう授業する
1年・10より大きい数
例題指導
荒井 紀之
「練習問題・スキル」と教材教具
宮崎 昌美
2年・ひき算のひっ算
例題指導
鎌倉 輝美
「練習問題・スキル」と教材教具
酒庭 和夫
3年・あまりのあるわり算
例題指導
吉田 真弓
「練習問題・スキル」と教材教具
井田 惠
4年・三角形
例題指導
川口 智子
「練習問題・スキル」と教材教具
山口 浩彦
5年・小数×小数
例題指導
山口 有実
「練習問題・スキル」と教材教具
山田 仁
6年・分数×分数
例題指導
植弘 俊則
「練習問題・スキル」と教材教具
南 尚美
中学難教材こう授業する
2年/連立方程式の利用
渡邉 緑二
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第78回)
中学校で「赤鉛筆」指導をする2つのポイント
井上 好文
向山型算数に挑戦/論文審査 (第82回)
改悪された教科書の導入を補っていく
向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第84回)
グレーゾーンの子が3名いる模擬授業に挑戦する(前)
木村 重夫
向山型算数WEBサロン (第78回)
直方体の見取り図の描かせ方第3の方法
赤石 賢司
“若葉印”教師が向山型算数でダッシュするとき (第18回)
ほめ続ければ子どもは変わる
大西 永祐
“問題解決学習”隣の教室の実態ルポ
点数だけが力ではない
内田 大輔
教科書通りは落ちこぼしを作る?
山下 信二
〈教室の障害児と向山型算数〉特に気になる『あの子』への向山型アプローチ
毎日の挑戦から見つけた10のアプローチで「初めての100点」がうまれた
石井 研也
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第84回)
低学年
太田 健二
中学年
松原 貴大
高学年
森下 人志
ビギナー専科=向山型算数ココが授業の勘所
1年/自分の授業を、もう1人の自分で見る
松山 英樹
2年/おたすけとけいシートを使おう
寺田 真紀子
3年/扱わない所を見抜き、授業を早く終えよ
楠 康司
4年/わり算の筆算は「うつす」が勘所である
中川 貴如
5年/子どもの板書を向上させるとっておきの指導法はこれだ!
浅尾 真治
6年/サークルで分かった間のとり方
田中 敏樹
向山型算数セミナー
向山型算数は力量アップだけでなくドラマも作り出す
板倉 弘幸
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
赤鉛筆指導で子どもが輝いた
北倉 邦信
初心者でも子どもを救える!
本多 崇敏
子どもが熱中する!向山型算数
苑田 知久
できない子ができるようになる事実がある
岸 義文
問題解決から向山型へ
角銅 隆
「算数が好き!」が最高の評価
泉田 剛志
向山型算数で救われた教師人生
千明 浩己
論文ランキング
6月号
木村 重夫
実物ノートと指導のポイント
わり算の筆算3つのポイント
佐藤 志保
読者のページ
第40回達成!セミナー仙台の反響
編集後記
木村 重夫赤石 賢司
TOSS最新情報
赤石 賢司
向山型算数に挑戦/指定教材 (第84回)
向山 洋一

巻頭論文

算数授業へのこだわり

教室現場の小さな子どもの事実を大切に

向山洋一


 本誌に届けられる便りを楽しみに読む。

 教室という現場の空気にふれられる。

 かつて私は,そこで32年間をすごしてきた。教育現場にこそ,「教育」のすべてがあるのである。

 「小さいこと」に見えることでも,大切なことは山ほどあるのだ。

 「ノートに書いてきた解答」を見る。「これはいい」と思って,黒板に書かせる。

 すると,左,右で書いている子の影響をうけて「違ったこと」を書く子がいる。

 誰でも,体験することだろう。

 小さなことだ。

 教師は,「困ったことだ」と思う。「よい意見」だから,「正解」だから書かせようとしたのに,黒板に出てわずか十秒で変化してしまったのだ。

 このようなとき,私は「困ったことだ」とは思わない。

 「しめた」と思う。この小さな出来事の中にこそ,大きなテーマがかくされていると思うからだ。

 多くの教師は,特に女教師は「困ったことだ」と思う。向山は,「しめた」と思う。

 「そこに大きなテーマがある」と直観するからである。

 では,「向山はなぜそのように考えるようになったのか」「向山の思考方法の原理は何なのか」ということが,問題になってくる。

 大森修先生が,「なぜ向山先生は,こんな発問を考えつくのだろうか」と,昔から追究していることである。

 本人もよく分からない。

 私は,そのようにしてしまうのだ。

 しかし,「そのようにしてしまう思考方法」の原則があるはずだ。それを一般化できるはずだ。

 という,研究は実に少ないのである。

 谷先生などの努力に期待したいと思う。

 昔,昔,浜上先生の分析がいいなと,彼の手書きの返信を見て,チラッと思ったことがあった。

 さて,今月の手紙から。

 愛媛の先生である。

■今回の授業は,何度やってもうまくいかなかったところです。過去3回,3年生を相手に授業をしました。1つ前の教科書は,車の走行距離の問題でした。そして,練習問題が1問。計2問が1時間で収まりませんでした。子どもたちは意味が分からず,いつも強引に「こうなるんだよ」と。子どもたちは,ただ言われたことをなぞっているだけという授業でした。

 一番難しいところは女の子の言葉。

 「大は小の3倍の2倍だから…」

 この点々の所です。

 「3倍の2倍だから『3×2倍』」と,いうところがどう教えたらいいのかわかりませんでした。

 結局,3倍を「×3」,2倍を「×2」と表し,合体させて「3×2」とわけのわからないことをしていました。

 今回,挑戦の問題に取り上げていただき, 再度このページの授業を考える機会をいただきました。どこでつまずくか分析をしました。

○問題文が長すぎて内容がわからない。

○その下の線分図の大の箱は,小の箱と中の箱の情報が入り交じっているのでわからない。

○3倍の2倍が3×2倍,がわからない。

 その点を改善して授業を組み立ててみました。逐一指導になってしまいました。 それにしても,ドルフィンの魔法学校は,

最悪です。教科書の3分の2をくだらないイラストで埋め尽くし,肝心の問題文の字は小さくて読みにくいし,その下の図は小さくて書き込めないです。〈向山〉「ドルフィンの魔法学校は最悪です」というような意見は,他にもあった。

 「くだらないイラスト」で「埋め尽くし」と考える教師は多いだろう。

 編集部では,著者たちは「子どもが喜ぶイラスト」と考えたのだろうか。子どもたちに使わせてみると,「邪魔だ」と思うのである。

 「元気な子」は,イラストが好きだが,「算数が苦手な子」(クラスの3割の子)には「くだらないイラスト」は邪魔なだけなのである。

 「何度やってもうまくいかなかった」が本当のところだと思う。だから,大切なことなのだ。「3倍の2倍」が難しいのだ。

 簡単な問題を2度繰り返すと難問になり, 3度繰り返すと難関中学の入試問題となる。

 私は,かつて面積の問題で書いたことがある。

◆三角形ABCが24p2のとき,斜線の面積

はいくらになるか。


(図省略)


 1年生のたし算でも同じである。

 (1) 3+8

 (2) 3+8+6

 (1)と(2)は,同じではない。1年生の頭では大きく飛躍しているのである。

 山口の先生。

■向山先生にお礼が申したく,手紙を書いています。学級に,特別支援を要するAくんがいます。4月,何度も「分からん!」「できん!」とさけんでいました。とにもかくにも,赤鉛筆で,薄く書きました。そのAくんが100点を取りました。文章はあまり読めないので, 私が読みました。テストに「ぶちぶち(山口弁です。“とても”という意味です)ものすごくうれしいよなぁ。なんねんぶりははははに!!」と感想を書いていました。小学3年生が「何年ぶり」とよろこんでいるのです。胸が苦しくなりました。向山先生のおかげです。ありがとうございます。〈向山〉「分からん!」「できん!」とさけんでいた子が,算数テストで100点を取った。

 その子の喜び,その子の両親の喜びが伝わってくる。

 「できない子」を「できる」ようにするのは, 教師の最も大切な仕事だ。「考える力をつける」という,きれいごとを言って,「算数のできない子」をたくさん作り出している算数の問題解決学習とは,教育に対する考え方が違うのだ。

 私たちは,どこまでも,あくまでも「できない子」の側に立ち,「できない子」をできるようにする能力を身につけ,「できない子」と「できない子の両親」に,笑顔を贈り届ける努力を続けるのである。

 そのために心ない一部の算数の問題解決学習の教師から「教科書を使うな」など,デタラメの攻撃を受けているが,ひるんではダメだ。

 正義と真理は「子どもの事実」だけが説明してくれるのである。

 福井の先生。

■7月号巻頭論文,「守」と「破」のお話, とにかく学び続けなければと思いました。理屈っぽい論文が書けるようになるにはやはり, 学びがたりないのだろうと思いました。

 昨年,2年生で受け持ち,この手紙にも書いたことのあるM君は,3年生で隣のクラスになりました。たし算の筆算が大好きで,指を出して,必死に計算し,満点でした。今年限りで退職される隣の組の先生に,7月号の木村先生のくり上がりの書き方のページをコピーしてさしあげ,「このようにしてください」とお願いしました。その先生は,くり上がりを書く位置について,「真下(位の)に書くか, 少し横にずらすか」質問され,私と同様の方法で進めてくださっています。その先生が, M君について「Tセンセイの努力の成果。すごいよ。先生」とほめてくださいます。M君に少しの希望でも持たすことができたのなら, 教師としてこんなにうれしいことはありません。

〈向山〉今年で退職される先生から「センセイの努力の成果すごいよ」と言われたという。

 心あたたまる話だ。私も経験がある。調布大塚小学校の先輩には,何人もそういう先生がいた。

 「向山先生,分析批評いいよ。うちのクラスでもやってみた。あと十歳若ければ向山先生と一緒に研究会やったんだけど…」と言ってくれた。

 子どもの事実を指標にして「いいものはいい」と言ってくれる先輩教師はありがたい。私たちもその歳になったとき,年下の教師のよさを素直にほめられる教師になりたいものだ。

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