- 特集 先生不在“算数ガイド学習”の問題点
- 〈巻頭特集論文〉教師が教えるべきことを子どもに押し付ける算数ガイド学習
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- 子どもの事実を真正面に見据える教師だけが学力の保証ができる
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- ガイド学習は「いつ」「だれ」が子どもたちに「算数の力」をつけるのか?
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- 特別支援を要する子,お勉強の苦手な子,…全ての子どもたちの尊厳を私は大事にしたい
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- そこに特別支援を必要とする子どもへの配慮があるか
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- 授業の中で教えるべきことを教える
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- ガイド学習では学力差が開いてしまう
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- 疑問の多かった「独自学習」と「相互学習」
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- ミニ特集 これがPISA型にも対応する「ひと目でわかる図」だ
- 分数ならば,面積図を活用する
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- 「体力派」の子どもの考えも予想する
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- 図をかかせ,説明をさせる
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- 面積の定義に迫る!
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- ひと目でわかる工夫を書かせる3つの手だて「モデル提示」「ほめる」「個別評定」
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- 似た考えを束ねて分類し,ネーミングする 子どものかいた図を生かして問題を解く
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- グラビア
- “学ぶ意欲を大切にする”これはすべてに優先する
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- 若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
- 消しゴムは使わせない
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- 向山型算数キーワード
- 言語力の育成
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- 巻頭論文 算数授業へのこだわり
- 知的追究力を育てる
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- 学年別11月教材こう授業する
- 1年・たしざん
- 例題の「基本型」
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- 「練習問題・スキル」と教材教具
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- 2年・かけ算(6〜9の段)
- 例題の「基本型」
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- 「練習問題・スキル」と教材教具
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- 3年・大きい数のしくみ
- 例題の「基本型」
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- 「練習問題・スキル」と教材教具
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- 4年・わり算の筆算(2)
- 例題の「基本型」
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- 「練習問題・スキル」と教材教具
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- 5年・図形の角
- 例題の「基本型」
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- 「練習問題・スキル」と教材教具
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- 6年・直方体と立方体
- 例題の「基本型」
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- 「練習問題・スキル」と教材教具
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- 中学難教材こう授業する
- 2年/1次関数の利用
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- 中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第92回)
- 単元末の練習問題を検討させる
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- 向山型算数に挑戦/論文審査 (第96回)
- 算数の授業をもっと知的に!
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- 向山型算数実力急増講座 (第98回)
- PISA型・学力テストB対応向山型「論証」の授業
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- 向山型算数WEBサロン (第92回)
- 特別支援を要するHさんは,向山型算数で変わった
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- 向山型算数をDEEPに学ぶ女教師たち
- DEEP研究会に入ってからの私
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- “問題解決学習”隣の教室の実態ルポ
- 泳げない子を無理やり海に突き落とす指導法と同じ
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- 子どもの事実がすべてを物語る
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- 〈教室の障害児と向山型算数〉特に気になる『あの子』への向山型アプローチ
- 確定したアルゴリズムで授業の骨格を安定させる
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- もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第98回)
- 低学年
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- 中学年
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- 高学年
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- ビギナー専科=向山型算数ココが授業の勘所
- 1年/単元を貫く基本型を示し書かせる大切さ
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- 2年/計算スキルの我流は,目に見えない部分にあった!ユースウェアをなぞることでは,本当の指導にはならない
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- 3年/リズムとテンポを学ぼう
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- 4年/すべての問題を子どもと同じノートに解く
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- 5年/逐一(丁寧)指導は向山型ではない
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- 6年/難問で教室熱中。しかし,我流では……
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- “若葉印”教師が向山型算数でダッシュするとき (第32回)
- 子どもたちの「わかった!」の声を聞くために
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- 向山型算数への苦言・提言・辛口応援歌
- 説得力のある向山型算数の研究を
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- 向山型算数セミナー
- 2007年8月夏セミナーの覚醒
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- 腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
- 導いてくれたのは子どもたち
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- 基本型で子どもに力をつける
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- 算数少人数指導で目覚める
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- 8月号
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- 実物ノートと指導のポイント
- 教科書チェックはノート指導の最後の詰め!
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- 学力テストB問題の衝撃
- 編集後記
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- TOSS最新情報
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- 向山型算数に挑戦/指定教材 (第98回)
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巻頭論文
算数授業へのこだわり
知的追究力を育てる
向山 洋一
「学問する」とは,未知のことを追究する知的な活動である。課題をつかみ問題を設定し,いくつかの下位群に分解し,先行研究を調べ,現状を知り,検討し,問題を解決する方向を決め,仮説を立て,実行し,検証する。
これらの行動の原動力は,未知なるものへのあくなき好奇心である。
未知なるものへのあくなき好奇心がエンジンだ。
「学習する」とは,未知なるものを知り,身につけることである。
時に,「ていねいに教える」ことも必要だが,子どもの「知的追究力」を生かすことが大切だ。
私が若い時の,自分の研究テーマは「知的追究力を育てる」であった。
ここで,「学習する」方法について,基本的な視点を述べておこう。
「自動車学校」「スイミングスクール」「書道教室」「サッカー教室」「英会話学校」などの学習システムは,「習得システム」である。
「どれだけの時間学習したのか」ということは関係ない。「学習ステップ」を,マスターすれば,次のステップにすすめる。
自動車学校で,「私は100時間授業を受けたのだから進級(合格)させて下さい」ということは,通用しない。
たとえ,1000時間受けようと,「学習すべきこと」を身につけなければ,合格はしない。
およそ,あらゆる教育システムの中のほとんどは「習得システム」である。
ところが,学校は違う。学校は「履修システム」だ。決められた時間だけ,授業を受ければ進級できる。どれだけの実力をつけたかは,問題にされない。
教師の免許更新制度が作られるそうだが,限りなく「履修システム」に近い。
「実力がつく」「実力を保障する」のは「習得システム」である。
「履修システム」は,実力を保障しない。
向山型算数指導は,「習得システム」を大幅にとり入れた学習システムである。
「教科書のすべての問題」を「ノートにする」とか,「赤ねこ計算スキル,で満点をとらせる」とか,「市販テストで平均90点以上をとらせる」とか,すべて「原理として,習得システム」を採用している。
履修したことを,習得するシステムによってきたえ,習得するまで保障しようというわけだ。
さらに,「知的追究力」を育てていくことをも内包している。
だから,逐一指導は,向山型算数指導ではないのである。「知的追究力の育成」をもっと深く研究してほしい。
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- 明治図書